21話 目覚め、もふもふ?
⚪︎前回のあらすじ
魔王幹部の1人、エニュートと激闘の末、倒すことができたネクスたち一行。
様々な出来事や戦闘を糧に、ネクスはボロボロになっていた。
仲間たちはネクスを連れ、急いで村へと向かうのであった。
ーーー???
(頭が痛い。体が重い。瞼を開けることすら、出来ない。)
エニュートとの戦闘で気を失ったネクスはその後、自身の体が言うことを聞かない状態でいた。
声を出したくても出せない。疲弊しきった体では、なにもやる気が起きない。
「回答。目標を達成しました。」
脳内に響くような声。
スキルによる機械的な声。
(そうか、俺の頼みを聞いてくれたのはお前だったか、、、)
(ありがとう)
体に力が入らない。
自分の頼みを聞いてくれた俺のスキルに対して、心の中で感謝をした。
「憂慮。個体名ネクスの体が最優先。今は眠ることを推奨します。」
(あぁ、分かった。ありが、、と、う。)
返事をして、また眠りにつく。
---数日後
その日の夜、静まり返った部屋の中、
「ん、ん〜、よく寝たなぁ、体の節々が痛いや。」
ネクスは大きな伸びをしながら、目を覚ますこととなる。
「ここは、村の中か、」
辺りを見渡し、見覚えのある光景に、自分の部屋だと思い出していた。
「俺がここで、寝ていたってことは、どうにかなったんだな。良かった。」
安堵を覚えつつ、心の奥底では悔しさも溢れていた。
「エニュートって言ったっけ、あいつ強かったな。少なくとも、あの時の俺じゃ勝てなかったな。」
数日前までの記憶を辿りながら、反省を交える。
その時、ネクスはある異変に気付いた。
「なんか、いつもより、目線高くないか?」
ベッドから降りて立ってみる。
「やっぱり、身長ちょっと伸びたな。」
ネクスは以前より、少し身長が伸びていた。
それは、中学生並の身長まで成長しており、急な身体の変化に少し驚いていた。
(ん〜でも、魔法や剣がある世界だし、そういう変化もあるのかもしれない。成長期ってやつかも?)
その後、ネクスはベッドの上であぐらをかいて座る。
「本気を出したとは言っても、もっと改善できる部分は多いと思ったんだよなぁ、まぁせっかくの機会だし、色々いじってみますか!」
自分に意識を向ける。
すると、機械的な音声と共に話しかける声があった。
「回答。個体名ネクスの申請により、スキルの閲覧を開始します。」
そうして目に映ったのは、見たことないスキルに、上位互換の様なスキル名の数々があった。
「なんだこれ、Rスキルの土魔法とか雷魔法っていうのは何となくニュアンスで分かるけど、見通しって言うのと、Sスキルっていうのも2つあるな」
自身の知らない間に本来無かったはずのスキルがあることと、既存のスキルがほぼ無くなっていたことに驚いていた。
「この、法則改変っていうのがあれか、Rスキルの管理の上位互換みたいな感じか」
少しずつ照らし合わせて理解を深めていく。
そんな中、疑問に答えるように脳内に話かける者がいた。
「回答。個体名ネクスは神化をした事で、その代償にスキルのほとんどを消費しています。」
「また、残った既存のスキルは進化。新規獲得のスキルもあります。」
機械的な声に頭に残るような話し方、間違いなくスキルの声であった。
(なるほどねぇ、俺が倒れていた間に進化したんだなぁ、にしてもありがとな!おかげで助かった)
改めて礼を伝えるが、何も返ってこなかった。
「さてと!じゃあ、軽くだけど、スキルを試してみますかね。」
そうして、ネクスは部屋の中で
土・風・雷魔法を手加減して発動させる。
見通し・威圧の2つに関しては言葉としては理解しているものの、現状では試す機会が無いため諦めて後日に回していた。
「そういえば、自分のことでいっぱいになってたけど、クロたちはどうなったんだ?見に行くか。」
視線を外に向けると真っ暗だった。
(流石に、こんな夜遅くに行くのも、申し訳ないな。なら、研究を続けますかね!)
そうして、徹夜する勢いで研究を進めていたネクスだったが、体調が万全ではない状態で頭を酷使した結果、再び眠りについてしまったのは言うまでもない。
---朝、
(ん〜暑いし、重いし、息が苦しい、)
寝ていたネクスは体調の悪さとは別で、外側から何かされている。そんな状態で苦しんでいた。
「なんなんだよ!暑苦しいわ!」
咄嗟に声を出して勢いよく体を起き上がらせる。
その反動で、ひとつの影がベッドからずり落ちる。
「ネクス様〜良かった。目を覚まして〜」
ひっくり返りながらも声をかける正体はクロだった。
「いや、まぁ、心配かけて悪かった。あとさ、そういうのは体制を整えてから言ってくれるか?」
クロが倒れながら話すのを目に、ツッコミを入れる。
「俺、どれくらい寝てたんだ?昨日の夜に目を覚ましたんだけど、」
「えっとね、昨日目が覚めたならその時点だと、3日くらいかなぁ」
(意外と時間が経ってるな。ここは、センや村のみんなにも挨拶回らないとなぁ、)
天井を見上げて、考え事をしていると、布団の中でモゾモゾと動いている何かに気付く。
「ネクス様、それって何?」
クロも気付いたようで、視線を動くそれに合わせる。
「いや、俺にも分からん。けど、気になるよな。」
その動く物体が何なのか、不気味に思いながらも勢いよく布団を引く。
「うっ、眩しいなぁ、なんだよ〜」
そこにいたのは、
白い毛並みが特徴で、
方や、眩しそうにこちらを薄目で見てくる。
方や、未だくるまって寝ている。
クロと同じような見た目の狼型の魔物だった。
「あ、どうもご主人様、以前は助けていただきありがとうございます。」
座り直し、首を下げる。
「すみません。寝ているそいつは、私の妹です。ちょっとマイペースなところもあって、、」
申し訳なさそうに伝えながらもちょいちょい起こそうとする様子を見る。
「あ〜うん。それはいいんだけどさ、君たちって誰かな?」
白い狼型の魔物になんて、会った記憶が無かった。
(ん〜、エニュート戦で、出会った狼型の魔物ならまだ分かるけど、見た目もAOも全然違うし、白い個体すらいなかったしなぁ)
首を傾げながら、出会った経緯を思い出そうとする。
「まぁ、分からないのも無理ありませんよ。私たちは、あなたとの戦いの後、助けてくださいましたので。」
「助けた?...えっと、それっていつの話かな?」
思い出せない申し訳なさも感じつつ、聞き返す。
「いやですね〜、魔王の幹部と戦っていたじゃありませんか。あの時、戦っていた魔物が私たちですよ。」
(うん。まぁ何となく予想してた通りではあるんだけど、変わりすぎじゃない?)
信じ難い変わり様に驚きつつ、クロが横から話しかける。
「事情は分かったんだけどさ!そろそろ離れたらどうかな?ネクス様も起きられないし」
ちょっと、キレ気味な感じだった。
そんな中には嫉妬さえ感じられるものがあったが、ネクスは気を使ってくれたと思っていた。
「あ、すみません。そうですね。お〜い、早く起きろ」
声のトーンから、男性であろうと分かる。
寝ている妹を起こす所を見ていたが、なかなか起きないため、ネクスは自分の布団から出る。
毛布をその妹にかけてその場を後にした。
「ねぇ、ネクス様、今からどこに行くの?センの所かな?」
「あぁ、そうだな。戦いに応戦してくれたし、迷惑をかけたしな。」
そうやり取りをしていると、歩いて近寄ってくる姿があった。
「ネクス様、大丈夫ですか?」
その声はゴブチたちだった。
同じハイゴブリンである“ゴブス”、“ゴブフ”を引き連れていた。
「ネクス様起きたんだ。大変だったみたいだね。何も無くて良かった。」
「俺たちでネクス様が起きたこと、伝えて回ろうぜ!」
諸々、自分たちだけで、話を進め、ネクスが目を覚ましたことを伝えにその場から3匹とも居なくなった。
ゴブチは、何か話があったみたいだが、他2匹に無理やり連れ回されてしまい、嵐のように去ってしまった。
「ゴブチも大変そうだなぁ、まぁ、楽しそうで何より」
急にその場を後にするゴブチたちを見て、クロは作り笑いをしていた。
少し経ち、センの家へと着く。
「お〜い、セン〜、心配かけて悪かった、今目が覚め、」
声をかけながら中に入ると、
突如として、ネクスは押し倒される。
それは、毛むくじゃらで、フワフワの綿菓子のような触り心地だった。
最後まで見ていただきありがとうございます!
前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!
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