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19話 観察者そして変化

⚪︎前回のあらすじ

魔物から自分が狙われていると分かると、単独で迎え撃つネクス

日々の鍛錬の成果を発揮し、翻弄し、終始優勢だったが、

新たな存在が現れ、その力を目にし冷や汗を流していた。


ーーーとある崖の上にて


体を透明化させ、気配を遮断し、ネクスと魔物の戦闘を見る者がいた。


「なるほど、そのように動くのか、あの魔物たちは使い捨て、自身を本命として後から出す。いいねぇ、」

手を覗き込ませるような仕草で遠くを見る。


「私のとっておきで用意した魔鉱石、いい感じで働いてくれてるし、このままあの少年が負ければそれまでだが、、」


「あの方たちへの報告も後回しでいいだろう。会議に向かわれてるが、いつも長期間戻ってこないからな」


(君たち異種族の村が役に立つかどうか、見定めるとしよう)

不気味な笑を浮かべていた。


ーーー同時刻、戦闘では


「かはっ、やばいな、攻撃が貫通してくるとは思わなかった。なにより、体の節々が痛いな。」

魔法の同時発動、複数戦、体への負担、いくつもの条件が重なり、ネクスの体は時間が経つごとにボロボロになっていた。


森の奥へと視点を上げると、

2体の狼型魔物とその間に、1体の狼とはかけ離れた姿の魔物がいる。


角や牙は伸びており、

眼光が鋭い。

なにより、額に宝石のような物を目にする。


「ん?あのキラキラ光る石みたいなやつ、変な感じがするな」

はめられている魔物とは別に石からはまた別の力を感じていた。


「もしかしたら、あの石のせいで本来の見た目が違うとか、何かしらの強制を働かせているとか...」

(もし、そうだとしたら、さっき会話ができそうになかったのも、裏で操っているから意識が無い。なら、納得できる理由ではあるな)


額の汗を拭いながら、両手で頬を軽く叩く。

「よし!俺の話し合う気持ちは変わらないし、可能性があるなら、試そうかな。」


目の前にいる3体を相手にするのを心では難しいと判断していた。しかし、1つの可能性にかけて力を振り絞って戦ってやると、決意していた。


「ネクス様、大変そうじゃん、私が手伝ってあげるよ」

ふと、自分の影から声がする。


みるみると大きくなり出てきたその存在と声の持ち主、それはクロだった。


「よぉ、クロ、まさか来てくれるとは思わなかったよ。正直、村のみんなに危険なことはさせられないからさ」

ネクスはクロを見るやどこか安心すると感じつつ、本音を伝える。それを聞いたクロは笑って返す。


「ま!そうよね〜、ネクスって優しいし?村のみんなに被害が及ばないように立ち回るだろうな〜って、思ってたよ。」


「だけど、私たちもある程度力を身につけたんだから、自分の身くらいは自分で守れる!って思う子たちの方が、多いと思うけどな〜」

片目を閉じて、イタズラっぽく伝える。


すると、横から草むらが揺れて影が現れる。

「ほら、やっぱり1人で向かったのを見ていた子たちって放っておかないのよ。」

クロが囁く。


草むらから現れたのは木材で作った防具を身につけ、槍を腰と手に一本ずつ装備したゴブリン。


「ネクス様、微力ながら助太刀しに参りました。」

センがフル装備をしてこちらに歩み寄ってくる。


「悪いけど、今の俺は正直、余裕があまりない。だから、、、」

言葉を続けようとした瞬間、間に入るように遮る。


「はい。だから、私たちがその穴埋めをしにきました。足手纏いにはならないよう立ち回りますので安心ください。」

センは、ネクスの言うことを先読みし、そのことを伝える。


「ネクス様、自分が狙われてるからって1人で頑張らなくていいんだよ?私たちや村のみんな含めて、仲間じゃん」

にっこりと笑顔でクロが話しかける。


その姿を見て、目を見開く。

(そうだな。たまには君たちを頼るのも、いいのかもしれないね。)


ネクスは話を受け止めて、進める。

「分かった。俺は自分で手一杯になると思う。だから、カバーを頼むよ」


目の前にいる魔物に視点を変えて、そう伝える。


それを聞いたクロとセンは返事をする。

「はい。任せてください。」

「うん!任せてよ!」


そうして、3対3の構図になった。


先手で動いたのはネクスだった。

すぐさまウィンドモアとスタックパワーを発動。相手のリーダー格を狙って速攻を狙う。


「さぁ!この直進速攻、どう動く!!」

ネクスは相手を見失わないように突撃をする。


後に続くように、相手の2匹の狼型魔物がネクスの動きを抑えようと同時に迫りに来る。

しかし、それは途中で遮られる。


「ネクス様の邪魔はさせませんよ。」

片方の狼型魔物を押さえ込んだのはセンだった。


片方の腕の防具をあえて噛ませにこさせ、後ろに回り込み上から押さえつける形で捉えていた。


一方の狼型魔物はクロが相手にしていた。

「わるいけど、君たちじゃネクス様どころか、私すら倒せないね!」


「影ノ鞭 (シャドウウィップ)」

すると、クロの足元の影と周りの木などの影が伸びて捕まえる。その影に捉えられると完全に身動きが取れなくなる。


「この魔法、強いんなけど、意識強く持たないといけないから動けなくなるのがダメなのよね〜」

軽く不満を漏らしていた。


「よし!これでお前の取り巻きは抑えたぜ!あとはお前だけだな!」

攻撃を繰り出す。が、それは空振りで終わってしまう。


「な!どこだ」

確かに攻撃をした。

しかし、その魔物はそこに“存在しなかった”ように消えた。


「え?分からない。どこだ!?」

見渡しても分からない。


「ネクス様!右です!」

センから声をかけられる。


瞬間、ネクスは発動中のウィンドモアの出力をさらに高め、スタックパワーで体を強く耐久性をあげる。

そして、右を向いた瞬間、手の甲で振り払うように攻撃を繰り出す。


「グフッ、、、」

「ぐあっ、、、」


両者の攻撃が同時に当たる。

魔物は顔に手の甲が勢いよく当たり

ネクスは腹部に爪による攻撃を受ける


強い攻撃を受けてしまい、お互いにダメージを受ける形となってしまう。


「いちち、バフを強めたから耐久性は上がっているのに、このダメージかよ、クロの調子が良くて絶好調の時と同じくらいか、それより強くね?」


「ガルルゥ......」


ネクスの攻撃をもろに受けた魔物もダメージが相当大きかったようで、倒れてから起き上がるのに苦戦していた。


「さて、じゃあ、そろそろ終わらせようぜ」

そういうと、ネクスは手を前に出し意識を強くする。


すると、倒れている魔物の上、何も無い所から、岩や瓦礫などが雪崩のように降り注いでいた。

その様子を見ていたネクスや、クロ、センは勝負がついたかのように思っていた。


「......はぁ、ズルはだめだなぁ、これじゃあ試した意味がないじゃないか」


クロとセンは見ていた。

勝負がついたと思った矢先、

その場にはいなかったはずの存在が急に現れ、ネクスの額を片手で掴むと持ち上げていた。


ネクスはその手首を掴んで離そうと抗うが、びくともしなかった。


「お前も情けないな。貴重な魔鉱石を埋め込んだと言うのに、苦戦するとは」


服は上下含めて黒い服を着込んでいる。

額にはツノが生えており、

身長も成人男性くらいはある。


「はぁ、私が見たかったのは、あなた1人がどこまでやれて、どのように対応するか、それを見たかったんですよ?なのに、仲間に頼るとは、ガッカリだ。」

そう言うと、ネクスは小石を投げるかのように投げ飛ばされ、地面に叩きつけられる。


「ぐふぁ!!」

目の前の景色が揺れている。

脈動が早い。手足が痺れている。

(魔力の使いすぎだな、ダメージもでかすぎる。やばい、こんな強い奴がいたなんて、センと、クロを守らない、、と、、)


突如として現れた人型の魔物によって、ネクスは気を失ってしまった。


その光景を目の当たりにした、クロとセンは、現実では数分程度の流れが、体感数時間に及ぶ恨みと、後悔を感じていた。


「この程度の攻撃で気絶か、ネクス、お前は脅威ではないな。しかし、可能性は低いが、あの方にこれを見られたら、私の命も危険かもしれない。」


手を顎にして、考え込んだ後、クロとセンに向けて話しかける。

「念の為目撃したお前たちもここで、リタイアしてもらおうか。」


センとクロは、目の前でネクスがやられてしまい、感情が高まっていた。


「よくも、よくも、ネクス様をやってくれたなぁ、私、本気で怒ったよ、、、」

クロは怒りにより力が込み上がって居た。

足場の影がみるみるうちに大きくなり、見晴らしの良い場所の足場全てを覆い込んだ。


「クロさん、落ち着いてください。ネクス様は気絶しただけで、命までは取られていません。」

落ち着かせようと声をかけているセンは、苛立ちを覚えながらも、相手の目的等を冷静に分析をしていた。


「ごめん、センさん、私もう、耐えられない!!」

そう言うと、クロは影の中に潜り込む。


すると、人型の魔物の足場が歪む。

「ん?全体が闇で覆ったと思えば、私に攻撃を加えようというのですか?」


「闇の波状攻撃 (やみのれんだん)」


闇からクロが出てきたかと思うと、何十体ものクロの分身が現れる。

そして、闇から闇への瞬間移動を利用し、瞬速の攻撃を連続で行っていた。


「へぇ、やりますね。ネクスより楽しませてくれそうではないですか。」

人型の魔物は笑みを作ると、指パッチンをすることで、強風を発生させ、影を振り払い、クロを弾き出した。


「あなたは一体何者ですか?何が目的でこんなことをされてるんですか?」

余裕で相手取る魔物に、センが質問をする。


「私ですか?私は新参者で魔王の幹部の一柱、エニュートと言います。以後お見知り置きを、目的は言えませんが、強いて言うならそこに倒れているネクスを見定めるのが目的だと思ってください」

にこりと微笑みながら答えてくれる。


クロを相手取りながらも、余裕を見せながらこちらに視線を送り答える。それを聞いたセンは戦うことを諦めていた。

(このエニュートっていう魔王の幹部、とんでもなく強い、クロさんどころか、万全のネクス様でも勝てない)


「こんの〜!ネクスをよくも!」

ヒートアップするクロを見てやれやれと言わんばかりに対応していた。


「もぅ、いいよ、君、」

そう言うと、右手をクロに向けてくる。すると、クロの動きが完全に止まる。


「う、動かない!!」

自分の身体が上手く動かない様子に驚きを隠せないでいた。


「まぁ、これは俺の力のほんの一部さ、これからやられる君たちには関係ないけど。」

そして、そのまま地面に叩きつけられ、重力が襲うかのように地面に押しつぶされている。


「ふっふっふ、そのまま潰れますか?」

不敵な笑みを浮かべながらクロを見下していた。


その様子を見ていたセンは気付く。


エニュートの背後、先程やられてしまったネクスが立ち上がっていた。


その姿を見て安堵をしつつ、異変に気付く。


確かに見た目はネクスだが、

AO(アビリティオーラ)が完全に消えている。

さらに、その瞳の奥には金色の瞳孔があった。


ネクスは顔をゆっくり上げ、エニュートに近づき、

小さな声で呟く。


「...完了。これより自動戦闘モードに移行します。」

最後まで見ていただきありがとうございます!

前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!


よろしければ評価・ブックマーク等していただけると励みになります。

次回20話もよろしくお願いします!

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