10話 可能性の提示
⚪︎前回のあらすじ
新たな刺客とはスライムだった。
俺から協力し合う提案をするがゴブリンたちは不満げになってしまい、改めて会議の場を設ける。
家に戻ってクロとスキルの研究をしていると、、、
「、、、完了しました。」
俺はシステムの声を聞き、期待を胸にクロに視線を送る。
じっと見つめてくる俺に答えるようにクロも見返して口元を動かす。
「付与できたの?すごいね!」
初めて聞く初めての仲間の声に感動していた。
「本当にご主人の話している内容分かるよ。それに、私の声もその様子だとしっかり届いているみたいだね!」
ニヤニヤしながら答えるクロに照れながらも話を続けた。
「付与が成功してよかった〜初めて聞いたよ。クロの声。」
少女らしい高い声。だがどこか落ち着いていて、年齢以上の静けさを感じさせる声だった。
また人生を積み重ねた人のような雰囲気も感じさせる。
そんなギャップを感じていた。
「にしても、こうして心から話せる相手がいるのってやっぱり嬉しいものだなぁ。、、、」
そんな話をしているとパッと思い出したことをクロに伝える。
「あ、それとさ、ハイゴブリンの子にも付与をしようとしたけどできなかったんだよね?なんで、クロにはできたんだろう。」
クロも考えるような様子で答えてくれる。
「私の知る知識でも分からない。種族のことならまだ分かるけど、スキルって未知の世界だし、、、」
「あ、そうだ、それならさ、私とハイゴブリンの子との違いを考えてみたらどうかな?」
俺は1つ、クロと話してて思ったことがある。
(クロ、、お前めっちゃ頼りになるなぁ、聞いたらしっかり答えてくれるし)
期待の眼差しを向けていると
「そんな、頼りになるな〜みたいな目線を送ってもダメだからね?とりあえず違いを探しましょ」
見抜かれてしまった。
(俺ってそんな表情に出てたのかなぁ、まぁ、見た目が子どもの姿だし?表情が豊かなんだろうな)
自分で自分を納得させつつ、
その日の夜は寝るまでの間、クロと話し合っていた。
ーーー朝、
「ふぁぁぁ〜〜」
大きなあくびと共に目が覚める。
「おはよう。夜通し話したし結構疲れてる様子ね」
(あ、そうか、俺昨日の夜クロにスキルを付与することができたんだった。)
昨日の出来事がぼんやりとしている中、クロの一声で覚醒する。
「今日は朝から会議があるんでしょ?スライム族とゴブリン族の、そんなゆっくりしてていいの?」
俺は言われてハッとなる。
「しまった!昨日の出来事が大きすぎて、すっかり忘れてた!急いで向かうぞ!クロ!」
早足で準備を終えて会議へと向かう。
クロはやれやれと言わんばかりの様子だ。
会議の場へと着くと、
スライム族の代表とその側には2匹のスライム。
ゴブリン族は村長と側にはハイゴブリンの子が1人。
互いに距離を取る形で待機していた。
静かな空気に不思議な圧を感じる。
緊張感が一気に込み上げてくる。
「ごめんね。みんな待ったよね、、」
申し訳ない様子で家の中へと入る。
「いいえ、そんなことはありませんよ。村長もお迎えに行った際にはいくらなんでも、、、と、言うので説得に時間がかかっていたので」
村長もここに来るまでに心の準備に時間がかかっていたようだった。
スライム族はと言うと、、、、
クロが何か聞いていた。
(行動早いなぁ、有能ってこれのことだよね)
思っているのも束の間、翻訳して伝えてくれる。
「私たちは大丈夫だってさ。まぁ、スライム族って倒されない限りずっと生き続ける種族だからさ。時間の感覚も薄いのかもしれないね。」
スライム族はほぼ永久の時を過ごすらしい。
「分かった。ありがとうクロ。また翻訳頼むよ。」
そうして俺は向き直り気持ちを切り替えて指揮を取る。
「じゃあ、今から俺含め、ゴブリン族とスライム族の代表による会議を始めたいと思う!」
「まず、俺が共存しないか?と提案したからその理由について改めて伝えたいと思う。」
ここは最初に意見した俺が話をするのが流れだろう。
伝えたいこと、、、
「理由は2つある。1つは俺の願いである。平和な世の中にする。これは他種族や種族間での争いを無くし何不自由なく生活していく。」
「そして、2つ目だが、これは俺の恩人でありその願いでもある。」
「守る力が欲しい。」
2つ目の意見を伝えた瞬間、2種族ともに何を言ってるんだ?と言いたげな表情をしていた。
俺はそんなことお構いなしに話を続ける。
「目の前で助けたいはずの存在を守りたいのに守れなかった。失うしかなかった。」
「俺は弱かった。」
「だから、足りない分、助け合えば守れないっていうリスクは少しでも減ると思うんだ。だからみんなの力を俺に貸して欲しい。」
代表2人は真剣な表情で俺の意見を聞いていた。
「誠に勝手な意見だな。その結果、裏切られた時はどうする?協力を約束して放棄したら」
村長からの意見もわからないでもなかった。
なにより前世での俺は人に裏切られ続けたのだから。
「村長の言う意見も最もだ。正直初対面でもあるスライムたちに対して危険がないと言えば嘘になる。」
自分の言うことが全てだと思うのは違う。
「だけど俺は学んだ。困った時、助けを求めた時、誰が手を差し伸べるのかって、」
俺はゴブリンとスライムの代表2人に投げかける。
「知らない相手だから無視するのか?誰も手を差し伸べられなかった相手はどうなる?再び立ち上がるなんて1人では無謀だろ?」
俺は俺の意見をまっすぐ伝える。
相手の気持ちを考慮した上で。
「俺はスライムたちの姿を見て思ったんだ。こいつらにも家族や守りたい仲間の存在がある。それはゴブリンたちも同じ。なら守りたいものがあるもの同士なら!共存できるんじゃないのか?」
スライム代表の様子を見てみるが、ただ静かに話を聞いているだけだった。
話の内容を完全に理解している様子はない。
だが、反対する気配もない。
ただ流れに身を任せているようだった。
そこでクロが口を開く。
「改めまして代表の皆さん。私はクロと言います。1つ私から皆さんにお伝えしたいことがあります。」
かしこまった様子で皆に伝えようとする。
(クロのやつどうしたんだ?多分、何かしらのフォローをするつもりで話してくれるのだろうけど、、)
「私は元々知性の無い魔物でした。ですが、そんな私を助けてくれた。生まれ変わるきっかけをくれたのが主人様です。」
目をゆっくりと閉じ、ゆっくりと開ける。
その動作には1つの確信と希望を伝えるそんな覚悟が伝わってきた。
「主人様の願いは身勝手と言われるかもしれないし、無理だと反対する者もいると思います。」
「でも主人様は前を見て、何もしないより、進んで変わろうとしている。あなた方も偏った思想を変えて、一度信じてみてもいいんじゃないかな?」
1つひとつの言葉に重みを感じる。
他人の心に問いかけるための力、、、
俺にはない力だ。
その言葉を聞き、1人話し始める姿があった。
「村長、1度信じてみませんか?。協力するって決めましたし。ここに来る前にも結論は出てたじゃないですか。もぅ試す必要はないですよ。」
ハイゴブリンの子が進める。
(ん?試す?もしかして、責任が取れるのか?とか決意がどれだけのものなのかを確認したかったって感じなのか、、)
「はぁぁ」
ため息ひとつ、村長が口を開き伝える。
「まぁ、そうなんだが、、、、」
「、、、信頼はする。だが、何かあればなんとかしてくれるだろ?」
鋭い目で俺を見てくる。
(うっ、そんな目で見ないで欲しいな)
「わかったよ!何かあれば俺が責任を取る。だからみんな協力しろよな!」
この日の会議は終えた。
・・・
ガサガサッーーー
「逃げた奴らは見つかったか?」
「いいや、だが、これを見ろ」
折れた草木などに目線を送る。
「この後を追いかけたらあいつ達に追いつけるかもな」
夜の森を進む影は、
静かに、確実に、この地へと近づいていた。
最後まで見ていただきありがとうございます!
前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!
よろしければ評価・お気に入り登録等していただけると励みになります。
次回11話もよろしくお願いします!




