8.5話 信頼の始まり、その先へ
これは、1体の魔物が出会った話ではない。
その出会いの先で、“選んだ”話だ。
本来あり得ない関わり。
だが、あの方はそれを当たり前のように差し出した。
——だからこそ。
少年と一匹のシャドウウルフを村長の元へと案内をしていた頃。
私は村長に報告をしていた。
「村長、あの方達は……少し違う気がします。」
「ここまでの間、会話でやり取りしましたが、警戒していた心を解き、話し合いに応じていたのです。」
村長は私の話を聞くとありえないと表情を作っていた。
「そんなばかな、相手の話術だったらどうする?それにここに案内しては村が滅ぶかもしれんぞ?」
確かな意見だった。
しかし、それを聞いてもなお、この少年なら“今の”私たちを救ってくださる。そんな気もしていた。
——あの時のことを、思い出す。
ある村にて
その村は100体はいるであろうゴブリンの村だった。
「こっちにおいでよ〜」
「まって!まってってば!」
子どもたちのやり取り。
「今日の獲物はこいつだ。どうよ!」
「いいなぁ、そいつで仲間たちとパーッとやろうぜ」
大人たちのやり取り。
あちこちで賑わっていた。
だが、突如として平凡な日常は終わりを告げる。
「ぐあっ!」
不意打ちを受けたとばかりに仲間である村のゴブリンが攻撃を仕掛けてきた。それも複数による攻撃だ。
「おい!やめろよ。どうしたんだよお前ら!」
急なことで驚き静止させながら声をかける。
それでも暴れ出したゴブリンたちは言葉を発することなく暴れ続ける。
私は仲の良い一匹のゴブリンとその光景を見て硬直する。
仲間同士で争う。その意味が分からないでいた。
そうして標的を変えたゴブリンがこっちに向かってくる。
その時、私の“右目”に捉えたのは
(このゴブリン何かおかしい。静止するゴブリンたちよりも急に強くなり、自分の意識が無い。そんな気がする)
この頃、子どもだった私は複数のことが考えられず身動きが取れなかった。
瞬間
容赦のない攻撃が飛んでくる。
「危ない!」
咄嗟に声を出し、私に抱きついたその勢いで攻撃を避ける。
友だちが助けてくれた。
「ありがとう。ごめんね。」
その友だちに視線を向けて感謝と謝罪をする。
「怪我がなかったならよかったよ。」
笑顔になりながら話してくれる。
私たちは腕を組んでその場から逃げる。
ふと、感じ始める違和感。
(なにか、無理をしている気がするな)
友だちは笑顔だった。だが、何かを隠している。
「ねぇ、何か無理してない?大丈夫?」
口が開く。
ーーーすると、
「やっぱり隠せるものじゃないね。」
そう言って友だちは組んでる腕とは逆の手をどけると大きい腫れができていた。
「これ、いつからなの?いつからこんな無茶してたの?」
肩を掴んで揺さぶる。
「ごめんね。さっき攻撃された時勢いで庇ったでしょ?その時に少し当たってたみたいで、、、」
(くっ)
「私を庇ったせいで、本当にごめんね。」
下唇を噛んで謝罪する。
後悔と悔しさでいっぱいだった。
「気にしちゃだめだよ?私たちは仲間なんだから。助け合わないと!だよ?」
再び笑顔で話しかける。
「じゃ、、、、私はここに残るよ。」
「え?」
突然のことに意表をつかれた私は疑問に思ってしまった。
(なんで?一緒に逃げたらいいじゃない。なんで残ろうなんて言うんだろう)
続けてその子が口を開く。
「今の私じゃ足手まといになっちゃうし、今ならここの村長が正気を保ってるゴブリンたちと逃げる準備をしているから。」
私は唖然としていた。
「で、でも、まだ大丈夫だよ!一緒に逃げよ?村長のところまで行けば助かるからさ!」
必死に伝える。
しかし、先ほど襲ってきたゴブリンが近付いてくるのが見える。
そのゴブリンを友だちも視認するが、私に振り向き話を続ける。
「このままじゃ追いつかれちゃうし、どちらかが助かるなら私は君を助けたい!私の場合じゃ2人とも助からないよ」
私はただ、唯一の親友とも呼べる1匹のゴブリンの言葉をただ聞くことしかできなかった。
そして、
「私の分まで長生きしてよね!」
「そして、、、、、」
満面の笑みでそう告げる。
その表情の奥には恐怖と覚悟が伝わっていた。
瞬間、私はその言葉を聞き、
「絶対に助けに来るから!絶対に!」
後ろへ振り向き走り出す。
村長の元へと辿り着き逃げる準備をしていた仲間に声をかける。
「はぁはぁ、、この先に、、、私の、仲間がいるんです。助けてくれませんか!」
その声を聞いたゴブリンが私に声をかける。
「無理だよ。今の私たちじゃ勝てる相手じゃない。なにより数が多すぎる。ごめんね。」
その言葉を聞き、残っていった友の姿を思い出す、、、
(絶対に助けるって言ったのに!)
私は涙を両目に溜めながら村長の元へと向かい助けを伝える。
だが、
「逃げおうせた仲間を危険に晒すわけにはいかない。悪いが諦めてくれ。」
残酷な事実を突きつけられる。
私は振り向き友だちの元へと向かおうとする。
瞬間腕を掴まれてしまい向かえなかった。
「待ちなさい。今あの村へと向かってはダメよ。やられに行くようなものよ」
「やめて!私の、、、私のたった1人の友だちがいるの!だから離して!」
私の“右目”にはここにいる人たちが恐怖を感じて萎縮してしまっていること。力自慢の仲間たちまでもがやられてしまい絶望していることが分かる。
そして、叫ぶ私の言葉とは裏腹に
大人たちに連れられて村を後にする。
そして、あの村はもう戻れない場所になった。
それでも私は生きている。
約束を胸に、
——そして今。
別の村で、私はあの方と出会った。
私は約束をした。
親友との約束。
(そのためにはこの人たちを信用する)
彼女は約束を胸に行動をする。
私はその一歩を踏み出すべく、
「おはようございます。」
挨拶から入り、今日の始まりを迎える。
最後まで見ていただきありがとうございます!
前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!
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0.5話シリーズ第二弾!
次の0.5話でもお会いしましょう!




