【外伝22話】結婚の約束
ソフィア様が生まれてから6年が経ち、表向きは穏やかな日々が続いている
グレード家は戦争を回避する為に敵国の情勢を常に把握出来るようにしている
敵国にはアーマーのように1人で一国を滅ぼせるような力を持った人がいるらしい
コバルト・ライという青年1人でグリード家を崩壊させているようだ
アーマーと同じように魔法を複数使える天才らしい
ライさえ殺すことが出来れば
グリード国にも勝機があり、勝てる見込みが大幅に上がるそうだ
どうにかしてライを暗殺することがこの巻き戻した10年でやり遂げるべきことのようだ
ライは敵国の騎士であり、10年巻き戻しても20歳で手練れた騎士だ
簡単に暗殺することは不可能だ
計画を練りにねって確実に暗殺しなければいけない
戦争が始まる前に
戦争が始まってしまうとアーマーがいないグレード国に勝ち目がない
戦争が始まっても武力で負けないように騎士の人数を増やして武力を上げてはいるが
絶対的な天才を前にしては雑魚が群がっても死人が増えるだけだ
アーマーお父様が敵国の騎士団を全員皆殺しにしたように
ライも圧倒的な力を持っているのであれば人数が増えたところであまり変わらないだろう
慎重に今度こそ失敗しないように
「グレイ。今日は私の6歳の誕生日だよ。」
ソフィア様はすくすくと成長された
心の声も時々聞いてみるが、裏表なく可愛らしい女の子だ
「おめでとうございます。ソフィア様。」
「今日のお誕生日パーティにグレイも参加してくれるわよね?」
「もちろんです。」
「えへへ。今日はグレイにサプライズがあるから楽しみにしててね!」
「ソフィア様の誕生日なのに僕へサプライズがあるのですか?」
「そう!とってもびっくりでいいことだから楽しみにしててね!」
「それはそれは光栄です。楽しみにしております。」
サプライズが何かは心の声を聞こうとすればわかるが、せっかくソフィア様が準備してくれたのだ
僕はそれに乗って知らないまま誕生日パーティへ行った方がいいだろう
ソフィア様にはずっと穏やかに過ごして欲しい
戦争とは無縁な世界で
ソフィア様には赤目が遺伝しており
魔法が覚醒すればグリード家の血筋と同じ炎の魔法使いになる
炎の魔法使いはグリード家しか遺伝しない特殊な魔法であり
圧倒的な強さを誇る
その為、グリード家がこの国の王家なのだ
ライの暗殺が失敗してしまえば
ソフィア様が戦争の最前線を戦う可能性がある
それだけは絶対に阻止して欲しい
僕は心を読む魔法しか使えない
僕に出来ることはせいぜいこの国にいる敵国のスパイを暴くことぐらいだ
とはいえスパイを暴く仕事はポール様であり
僕の仕事はソフィア様のお世話係だ
ソフィア様が幸せに暮らせるように尽力することが僕の仕事
人を育てるということは難しいけれど
日々の成長を見守るのはとても楽しいものだ
ルナお母様は僕を育てる時もそうだったのだろうか
記憶の中のルナお母様はいつも笑顔で
僕は愛されていたと実感する
僕はルナお母様のように愛想はないけれど
愛情を注ぐことはしているよ
ソフィア様は僕を家族のように慕ってくれるようになった
僕の大切な女の子
僕の命よりも大事な女の子
ソフィア様が幸せになれる未来を心から願う
夜になり、ソフィア様の誕生日パーティが始まった
6歳の誕生日パーティは他の貴族を呼ぶことなく
屋敷内で行われる
身内だけのパーティだ
王様と王妃様にこの屋敷の使用人達が集まってお祝いをする
戦争が始まるかもしれないという張り詰めた空気の中でソフィア様だけがこのグリード家の癒しだ
どんなに辛いことでもソフィア様を守る為ならと
この屋敷の全ての人間がそう思っているだろう
ソフィア様は屋敷のみんなに盛大にお祝いをされて楽しく過ごしている
僕もソフィア様に懐中時計をプレゼントした
時計を読めるようになったソフィアにピッタリだと思ったからだ
「ありがとう。グレイ。一生大事にするから!」
ソフィア様は懐中時計を受け取りとても喜んでくれた
「気に入ってくれてよかったです。」
「グレイ。ちょっとこっちに来て。」
僕はソフィアに手を繋がれて移動する
「どうされましたか?」
「私からサプライズのプレゼントがあるって言ったでしょう?」
ソフィア様は僕を王様と王妃様の前まで連れてきた
「お父様!お母様!ソフィアは将来グレイと結婚します!!」
心臓が止まるかとても思った
これがソフィア様のサプライズのプレゼント…
ソフィア様には気に入ってもらえていると思っていたけれど
まさか親の目の前で結婚宣言されるなんて思いもしなかった
僕はおそるおそる王様と王妃様の顔を見ると
王妃様は微笑ましく笑っていたが
王様は顔が引き攣っていた
「ソフィアはグレイが好きなの?」
と王妃様が言う
「うん!グレイが1番大好き!!」
「そっか。でも今のソフィアじゃグレイと結婚出来ないかな〜。」
「なんで!!どうして!?」
「だってお勉強もよくサボっているソフィアは立派なレディになれないもの。」
「うぅ…」
「グレイのようなかっこいいお兄さんはソフィアよりもずっとずっと綺麗なお姉さんをお嫁さんにするわよ。」
「やだー!グレイは私と結婚するの!!」
「じゃあお勉強もサボったりしちゃダメよ?」
「グレイはそのままの私が大好きって言ってくれてるもーん。」
「そんなの猫が好きって言ってるのと同じよ。おバカな女をお嫁さんにしたいなんて誰も思わないわよ!」
「そんなことないもん!グレイは私のこと大好きだもんね?」
「僕はソフィア様が大好きですよ。でもお嫁さんには出来ないかもです。ごめんなさい。」
「うぅ…うわああああああああああああああああああん!!!」
「ソ…ソフィア様!?泣かないでください…」
「ひっく…ひっく…グレイとしかソフィアは結婚しないもん!!やだやだやだ!ちゃんとお勉強頑張るから!!ソフィアをグレイのお嫁さんにして!」
「ソフィア様が大きくなって立派なレディになった時に僕とまだ結婚したいと思ってくれているなら。」
「絶対だよ?誰よりも立派なレディになるから!!」
王妃様の口車に乗せられてソフィア様はこの日からお勉強をサボることなく頑張るようになった
王妃様は子供の扱いが上手く勉強になるなぁ




