【外伝19話】再会
「グレイ!会えて嬉しい!!」
「僕もです。ルナお母様。」
「今すぐ話したいことたくさんあるけど…本当にごめん!仕事がまだあるの!!」
「仕事…ですか?」
「うん!私、バンドで稼げるようになったの!凄いでしょう?」
「ルナお母様は昔から凄い人でしたよ。」
「スマホ持ってる?」
「スマホ?何ですかそれは。」
「この世界に来てからどれぐらい経ったの?」
「まだ1時間ぐらいです。」
「えっ!じゃあ斎藤さんに保護して貰えるように伝えるから…ここのファミレスでご飯でも食べて待ってて!」
私はグレイにお金を手渡してファミレスで待つように伝える
「わかりました。お仕事頑張ってください。」
グレイは私が指示した通りにファミレスで待ってくれることになった
私はグレイと名残り惜しいが一度お別れをした
久しぶりに会ってすぐにでもたくさんお話ししたかったけれど…
今からchariotで雑誌撮影がある
グレイを連れて行くことはさすがに出来ない
私がこの世界に来た時に助けてくれた斎藤さんに連絡をして
グレイを保護して貰うように頼んでおいた
「なぁ。あの男だれ?」
と翔が言う
「前の国で私の息子だった人だよ。」
「は?どう見てもお前より年上だったけど…」
「拾って育ててただけだからねー。」
「ルナが育てたのか?」
「そうだよ。ほら。親子の証拠のお揃いピアス!」
「元彼とかではなく?」
「違うよ!私達は親子!そんな関係じゃないの!」
「ふーん…アーマーにバレてまた修羅場とかになることだけは避けたいからな。」
「アーマーと私の子供だから大丈夫だよ。」
「なんでそんな大事な息子も一緒に日本に来なかったんだ?」
「私達は命懸けでこの日本に来たの。死ぬ可能性だってあった。そんな危険な賭けを息子にさせるわけにはいかないでしょう?」
「じゃあ残されたグレイ君は困るのでは?駆け落ちなんてしなければよかったじゃないか。」
「困ったと思う。」
「親として最低だな。」
「一応、信頼ある人に任せてお金もたくさん残したけど…」
「子供を捨てるなんて最低だ。」
「それはそうですね。本当に。」
「まぁ過ぎたことはごちゃごちゃ言っても仕方ないからな。また会えてよかったな。」
「うん。本当にびっくり。日本に来るなんて命懸けなのに…」
「アーマーにはちゃんと伝えろよ。グレイが来たこと。」
「わかってるって!すぐ連絡したよ!」
私達はスタジオで撮影を終えて、今日の仕事を終わらせた
スマホを確認すると、斎藤さんから連絡があった
斎藤さんとグレイは無事に合流することが出来たようで保護してくれたようだ
グレイは私達が以前住んでいたボロアパートにいるようだ
私はさっそくタクシーでボロアパートへと向かう
「ただいま!グレイ!会いたかった!!」
と私はグレイを見つけてすぐに抱きつく
「ルナお母様が元気そうでよかったです。」
「ねぇ。ずっと気になってたんだけどグレイなんか背が高くない?今何歳なの?」
「僕は18歳ですね。」
「私と同じ歳じゃん。異世界転移する時に時間経過にズレがあるのかな…」
「そのようですね。あの頃はルナお母様より小さかったですけど、今は10センチほど高くなってしまいました。」
「ガタイのいい男になるなんて想像しなかったなぁ。」
「強い男になりたかったので、頑張りました。」
「うん。めっちゃかっこいい。」
「ありがとうございます。」
私は床に座り、膝の上にグレイが乗るように誘導する
「ほら!久しぶりに会ったのだから母の愛を感じなさい!」
「僕はもう膝枕で喜ぶ子供ではないですよ。」
「そんなことない。私にとってはグレイはずっと大事な息子だもん。ほら。照れてないでおいでよ。」
グレイはしぶしぶ私の膝に頭を乗せる
私はグレイの頭を撫でた
「フフッ。確かに大人になっても悪くないですね。」
「そうでしょう?息子は何歳になっても親に甘えていいのよ。」
「異世界転移して甘えさせてくれなかったくせに。よく言いますよ本当。」
「2年間でありったけの愛情は注いだつもりだよ。」
「足りませんよ。僕はまだ12歳だったのに。」
「うん。本当にごめん。」
「でも…ルナお母様が幸せに暮らしていてよかったです。」
「うん。今とっても幸せ。聞いてくれる?この世界に来てからの話。」
「もちろんです。」
私はこの世界に来てからのことを話した
初めは貧乏でここのボロアパートでコンビニでフリーターをしながらバンド活動をしていたこと
アーマーとはすれ違いが多くて上手くいかなかったこと
最近ようやく仕事もプライベートも充実してきて毎日楽しくすごしていることを話した
グレイは黙って私の話を聞いてくれた
悲しげな顔をしながら
バンッと扉が勢いよく開き
「グレイ…久しぶりだな。」
とアーマーが入って来た
「お久しぶりです。アーマーお父様。」
「とりあえず今すぐルナの膝の上から離れないと殺す。」
「申し訳ございませんでした。久しぶりに会えたものでつい甘えてしまいました。」
「甘えるような容姿じゃねぇだろ。グレイは今何歳なんだ?」
「18歳になりました。ルナお母様と同じ歳です。」
「でかくなりすぎだろ。」
「日々鍛錬して鍛えましたから。」
「異世界転移はどうやってしたんだ?」
「異世界転移する魔法使いを見つけたのです。スズさんって言います。スズさんに異世界転移して貰えました。」
「スズさんと一緒にこの世界に来たのか?」
「そうです。スズさんは到着してすぐに観光してしまったのですぐにはぐれてしまいましたが…」
「よく見つけたな。異世界転移出来る魔法使いなんて。」
「とても苦労しましたよ。異世界転移の魔法使いはほとんど異世界にいるので探しても見つかり難かったんです。」
「このスズとかいう男は元の世界に帰るのか?」
「はい。1ヶ月観光して戻ることを繰り返しているみたいです。それ以上異世界にいると帰れなくなるらしいです。」
「へぇ。この世界は魔力のカケラも感じないから魔法なんて使えないと思っていたが、スズは使えるんだな。」
「どこの世界でも異世界転移出来るみたいですよ。」
「凄いな。それでグレイはこれからどうするんだ?」
「しばらくはここのアパートで暮らします。」
「そうか。不自由なことがあれば俺とルナを頼れよ。この世界は自由度が高くて何でも出来るからな。ゆっくり自分のやりたいことをやればいい…」
「…はい。ありがとうございます。」
「ルナに会いたいからってよく異世界転移する魔法使いを見つけたな。凄いよ。グレイ。」
「違うよね。グレイ。私に会いに来たんじゃないんでしょう?」
私はグレイに言う
「どういうことでしょうか。ルナお母様。」
「私に会いにこの世界に来たんじゃないんでしょう?」
「どうしてそう思うのですか?」
「私はグレイのお母様だから。わかるよ。」
「会いたかったのは本当ですよ。」
「違う目的があるから来たんでしょう?」
「敵いませんね。本当に。もう少し幸せな親子の感動を味わいたかったのに。」
「何でこの世界に来たの?」
「戦争を終わらせる為に。アーマーお父様を返して貰います。ルナお母様。」




