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【外伝18話】chariot

chariotは事務所からデビューすることが決定した

デビュー曲はキャッチーで流行りやすい曲を作って欲しいとマネージャーの大木さんに言われているが

私達は早速行き詰まっていた

私の曲も翔の曲もことごとくボツにされてしまうからだ

“どれもとてもいい曲だ”

“しかし売れる曲ではない”

“デビュー曲はインパクト重視だ”

“売れる曲を意識して書きなさい”

と言われて私も翔もことごとく撃沈している

そんなもの作れるならとっくに作っている

流行りの曲調に合わせて作ることも考えたが

どうしても自分の曲のような感じがしない

それは翔も同じのようで…

「自分の曲と流行りの曲を作るバランスが難しすぎる…」

と翔が言う

「わかる。しかも魂込めて作った曲が“これは売れない”とか言われるとメンタルがボロボロになる。」

「わかる。いい曲なんだけど〜…これでは売れないかな〜…みたいなことを言われて…俺って一生このまま売れない曲しか作れないのかと…」

「どうしていい曲なのに売れないの!?意味わかんなくない!?いい曲なら売れるだろ!!」

「世の中そんなに甘くないんだよ。俺達の曲は玄人向けらしいからな…万人受けする曲ではないらしい。万人受けする曲ってなんだよ…わかんねぇよ…」

「新しい曲作った?」

「まだ…」

「私も。もう既に2曲没にされてるし、やる気出ない…」

「俺なんかもう10曲没されたぞ!!無理そうなら作曲家雇うかとか言われたから思わずお願いしようかと…!!」

「何言ってんの!自分達で作曲しないバンドなんて全然ロックじゃない!!」

「わかってるよ!だから保留に…」

「その場で断りなよ!バカ!!」

「うるせーー!!じゃあルナが早く流行る曲を作れよ!!俺はもう限界だ…何回書いてもこれでは売れないと言われるだけなんだから!!」

「締切ってあと何日だっけ?」

「2週間。」

「出来る気がしない…」

「諦めんな!俺達のメジャーデビューがかかってるんだ!!死ぬ気でやれ!」

「翔がやってよ!chariotの作曲はずっと翔じゃん!」

「もう10曲もやったわ!!これ以上どうしろってんだよ!!」

「あと2週間であと10曲作ればなんとかなる!」

「無茶言うな!!」

「死ぬ気でやれって翔が言ったんじゃん!!」

「うるせーー!俺は売れる曲なんか書けねぇんだよ!!ルナの方がまだ万人受けしそうじゃねぇか!死ぬ気でやれ!!」

「私も書けないよ!」

お互いにストレスがMAXに溜まっているのもあって

私と翔はお互いに責任転嫁のなすりつけあいという醜い争いをしていた

そんなことをしている暇なんてないのに

「あの…ちょっといいか?」

と祐也が言う

「「何!?」」

私達はハマって返事をすると

「俺、一応曲書いたから見てくれよ。」

と祐也が言うので

「え!?嘘でしょう!?祐也書けるの!!」

「祐也は昔、作曲も一応していたんだ。」

「すごーい!見せて見せて!!」

私達は祐也が書いた曲の楽譜を見る

「かっこいい…!!めっちゃいい!!」

「これは…売れる!!凄い!祐也でかした!」

「いや…わからんけど…」

「ねぇねぇ早速合わせてみようよ!」

「いいこと言うじゃねぇか。ルナ。」

私達はベースとギターを抱えて軽く演奏を始める

そして歌パートになると

なんと2人とも歌いだした

「え?私だよね?ボーカル。」

「何言ってんだ!chariotのボーカルはずっと俺だろうがよ!!」

「でもこの曲の一人称は“私”だよ。これって私の為に作った曲だよね?」

「男でも“私”は言うだろうが!!」

私達は睨み合い牽制する

「ねぇ!祐也!この曲って私がボーカルでしょう!?」

「違えよな!俺がボーカルだろ!!祐也!!」

「えっと…この曲は不倫で許されない恋を書いたから、男目線でも女目線でも歌えるように書いたんだ。」

「それで?どっちなのよ!」

「だからどっちもだよ。」

「え?」

「翔もルナもどちらもメインで歌えるように作ったんだ。」

「えぇ…じゃあどうするの?」

「上手い方だろうが。」

「そんなの私の勝ち目ないじゃん!」

「諦めろ!バックコーラスしとけ!」

「やだやだやだやだ!!この曲めっちゃ好きだもん!!私もメインで歌いたい!!」

「じゃあ第三者の判断に委ねよう。」

「まさか…マネージャーの大木さんに決めてもらうの?」

「その通り。」

「翔の方が歌が上手いからって勝ち戦に持ち込むなんてむかつく。」

「歌が上手い方がやるに決まってんだろうが!」

「絶対下剋上してやるんだから…!!」

そして後日、私達は事務所に伺い

「売れる曲を持って来ました。」

と翔が大木さんに告げる

「3人ともいい顔をしているね。とても楽しみだ。」

「でもメインボーカルを誰にするかで揉めているんです。」

「それは中々面白い展開だね。」

「だから2回聴いて大木さんに判断して欲しいんです。どちらがボーカルに相応しいか。」

「責任重大だなぁ。どちらを選んでも恨まないでよ。」

「わかっています。」

そして私達は大木さんの前で2回歌った

最初に私が歌って、その後に翔が同じ曲を歌う

「どうですか?どっちがボーカルに相応しいですか?」

パチパチと拍手を大木さんはする

「素晴らしい。本当にいい楽曲だ。これは売れるよ。ボーカルもどちらも凹凸つけ難い。不倫の曲だから男女の心情どちらも取れて…素晴らしかったよ。君達が良ければどちらのバージョンも撮るのはどうかな?」

「俺もルナもメインで歌うってことですか?」

「そうだ。話題にもなっていいと思う。女性バージョンと男性バージョン。同じ曲だけど、違った視点に聴こえる。そんな曲になりそうだ。」

「いいですね!面白そうです!!それでデビューしましょう!!祐也もルナもいいよな?」

「いい!楽しそう!!」

「俺も賛成です。」

こうして私達は異例のダブルボーカルとしてデビューした

デビュー曲はインパクト大で世間から認知されるようになり大ヒットになった

私のバージョンも翔のバージョンもYouTubeで3000万再生されて人気バンドの仲間入りをした

3人とも作曲が出来る珍しいバンドどしてその後も翔の曲、私の曲もデビューさせてもらい

どんどんファンを増やしていった

メジャーデビューしてから半年でchariotは武道館公演が決定し、念願の武道館ライブが待っている

私達は泣いて喜び最高のライブを作りあげようと半年後の武道館ライブの準備をしている

はじめこそつまづいたけれど、その後の活動は順調で充実した日々を過ごしていた

忙しくなってアーマーと過ごす時間も少なくなってしまったけれど

毎回家には帰らせてもらっているので少ない時間でも毎日会っている

アーマーと触れ合う時間が前よりも増えたことで夫婦関係も順調になってきた

今まさに人生の絶頂期

楽しくて仕方がない日々だ

いつも通りにchariotのメンバーと仕事場へと歩いて移動していると


「お久しぶりです。ルナお母様。」

と話しかけてきた青年がいた

グレーの瞳

私が元の世界でつけて欲しいと頼んだお揃いのグレーダイアモンドのピアス

そこには私よりも背が高くなって立派になった

「グレイ!!!」

私は抱きつく

元の世界で拾った私の息子

グレイが会いに来てくれた

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