【外伝13話】話し合い
ルナは歌い終わった後、気絶するように眠った
ルナは花音と呼ばれる女に支えられて介抱されている
「警察と救急車を呼ぶ!」
と翔が言っているのを
「それだけはどうかやめてください!ルナさんは必ず心身共に回復するよう手配させます!」
とマネージャーが止めている
2人の怒号のような言い合いが続いていると
「うるさい!こんな場所にルナを置いとけるか!!祐也君。ルナをおんぶして私達の家に連れて帰るわよ。」
と花音がブチ切れて言う
ルナは祐也という男におんぶされて連れて行かれそうになったので
「待って…」
と俺が止めようとしたら
「黙れ。警察呼ばないだけ感謝しろよ。ルナをこんな目にあわせたやつのところに預けられるわけないだろうが。」
と殺意剥き出しの目で睨みながら言われた
可愛い系の女がキレると恐ろしさが倍増だというが本当だな
自分のやってしまった罪の意識もありそれ以上は何も言えず
ルナは祐也とルナに連れて行かれてしまった
blue roseのメンバーとマネージャー、そしてルナのバンド仲間の翔が部屋に残された
翔は現場の証拠のためにと言って寝室やリビングの写真を何枚も撮っていた
写真を撮り終えてから俺達全員で部屋の掃除をした
そして一段落終えて、俺達はリビングで話し合いが始まった
「それで…どうしてルナさんはあのような状態になったのですか。教えて貰えますか。アーマー。」
とマネージャーが俺に聞く
「ルナを監禁していた悪の根源の男がいて…ルナはその時の生活のことを深く話したことはなかった。思い出すことも話すことも嫌だと思ったからだ。それなのに…昨日俺に抱かれる前に言ったんだ“別に嫌いじゃなかった。優しかった。”とそれで…頭にきてしまって。自分を抑えられなくなって…」
「ひどい暴行をしたと。」
「そうだ…」
「はぁ…事情はわかりました。アーマー君に同情は出来ません。痴情のもつれとはいえ犯罪行為です。世間にバレてしまえばblue roseの信用は地に堕ちる。今が1番売り出しの時期に事件を起こすな。」
「blue roseはやめる。俺はルナにひどいことをしたからこそ罪を償う為には…」
「あのね…アーマーには広告契約や案件が何件も抱えている。そんな簡単にやめさせられない。」
「違約金なら払う。」
「そんな問題じゃない。残されたblue roseのメンバーはどうなるの?」
「俺より才能ある作曲家もギタリストもたくさんいる。俺がやめた方がblue roseは売れるよ。」
「そんなこと…!!」
「あのー。その話は後でもいいですか?」
と翔が話を割って入ってきた
「えっと…坂本翔さん。でしたね。ルナさんのバンドメンバーの。」
とマネージャーが言う
「はい。」
「すみません。ビジネスな話を先にするなんて配慮が足りませんでした。本当に申し訳ございません。」
「いえ。急に売れっ子がやめると言い出したらそうなるのは仕方ないと思います。俺が口出しするならやめたい人を続けさせる方が上手くいかないと思いますよ。やる気がないメンバーとは一緒に活動出来ません。」
「…。」
「まぁ…そんな簡単にはいかないんでしょうけど。その話は貴方達の事務所とかでお願いしますよ。」
「はい。すみませんでした。」
「じゃあルナの話に戻っていいですか?」
「はい。」
「まず確認するが、アーマーは嫉妬したから暴走してやったと?」
「そうだ。」
「ルナのことは好きなのか?」
「当たり前だ。ルナは俺の世界の全て。ルナしかいらない。」
「じゃあ何でここ1年はルナをほったからかしにしていたんだ?」
「それは…経済力がない男はルナに捨てられると言われて…」
「ルナにそう言われたのか?」
「いや…同じバイトで働いていた男に。コンビニでフリーターをしている男なんてすぐに捨てられると…」
「それで金を稼ぐ為に芸能事務所に入って金持ちになったからルナに捨てられない男になれたと?」
「そうだ。」
「つっこみどころが満載だが…アーマーの言い分は一応理解したよ。」
「ルナに絶対に捨てられなくなかった。」
「はぁ…暴行したから捨てられると思わなかったのか?」
「頭が沸騰して…感情を抑えられなくて…ずっとずっと我慢していたから…俺は最低な人間だ。」
「そうだな。最低だ。」
「…。」
「そう思っているなら離婚してやってくれよ。ルナが可哀想だ。」
「それだけは無理だ!ルナだけは…!!ルナだけは俺から取らないでくれ!!」
「これからも感情が暴走したら暴行する恐れがあるのだろう?」
「もう2度としない!約束する!!」
「感情が暴走する人間は信用できない。」
「ルナを…俺から…取るつもりか…?」
「そうだが。」
俺は翔に殴り掛かろうとすると
マネージャーが慌てて俺を止める
「やめろ!この馬鹿!!」
「離せ!!こいつはルナを…俺からルナを取ると言ったんだ!!殺してやる…」
「こわすぎ…関わりたくねぇ!!ルナもこんな地雷男に捕まって…馬鹿だろあいつ!何で俺がこんなことしなくちゃいけねぇんだよ!」
「そう思うならお前がルナから離れろ!2度とルナに近づくな!!」
「はぁ…ルナは俺のバンドメンバーだからな。困ってたら助けねぇとダメなの。俺がリーダーだし。」
「ルナに近づくな…」
「こわ…だから早く別れろとずっと言ってたのに。」
「なんだと!?」
「ルナはお前と付き合ったら不幸になる。好きなら別れろ。」
「…そんなことはわかっている。それでも離れられない。ルナは俺の全てだ。ルナのいない世界なんて何の意味もない。ルナだけは俺から取らないでくれ。」
「お前のその自己中なところがダメなんだよ。そもそも経済力がないと捨てるなんてルナは一言も言ってない。ルナはボロアパートで一緒にお前と暮らしていた時は幸せそうにしていた。ルナが不安そうにしているのはここ1年だ。アーマーが家に帰らなくなったからだろう?ルナは経済力なんて気にしてなかったはずだ。ただ側にいて欲しかっただけ。そんなことも分からずに暴走してルナに暴行するような男は許せないよ。ルナは渡せない。」
ぐうの音も出ない
こいつが正しくて
俺が最低な男だ
それでも…
「2度とルナを傷つけないと約束する。頼む。ルナだけは…」
「はぁ…お前がバカで自己中でどうしようもない最低男だということはわかった。それでもルナのことは好きなのこともわかった。ルナが落ち着いた頃に話し合う場を設ける。その時にルナが別れたいと言えば諦めろ。」
「…わかった。」
絶対無理だけど
別れたいと言われたら監禁してでも俺のものにするけど
「少なくともルナの体の傷が治るまでは会わせない。連絡もさせない。スマホもどうせGPSとかついてるんだろう?スマホもここに置いておく。どこにいるかは教えない。いいな?」
「…わかった。」
「俺から連絡するまで反省してろ。最低暴行男。」
「わかりました。」
翔は話し合いを終えて外に出ようとすると
「あ…あの…ルナさんの歌は素晴らしかったので是非私達の事務所でデビューを検討して頂きたいと…」
とマネージャーが話すと
「結構だ。ルナは俺が武道館に連れて行くから。」
弱者バンドのくせに
強くまっすぐな意志がある
ハリボテの人気しかない俺とは大違いだ
「そうですか…残念です…。」
とマネージャーが言う
部屋から出る直前に翔は振り返って話した
「ルナはお前の誕生日にどうやったら喜んで貰えるかなと悩みながらも楽しそうに話していたよ。」
そう言い残して翔は出て行った
どんな言葉で攻められるよりも
1番深く心に突き刺さった




