【外伝11話】懺悔
今日は俺の誕生日
ルナから
“お誕生日おめでとう”
“プレゼントを用意したので、出来れば直接渡したいです”
“今日、帰ってこれそうですか?”
とLINEが来ていた
俺は
“ありがとう。”
“今日は21時には帰るよ。”
“プレゼント楽しみにしてる。”
“愛してるよ。ルナ。”
とLINEを返信する
「あ。スマホ見てにやにやしてるー。」
とblue roseのメンバーの瑛太が話しかけてきた
「愛する人からLINEが来てたからね。」
「はいはい。わかってるよ。愛する嫁のルナちゃんだろう?いつも無愛想で表情が変わらないくせに、ルナちゃん絡みになるとアーマーはメロメロになるからな。」
「今日は俺の誕生日だから早く帰って来て欲しいって。」
「相変わらずラブラブだなぁ。羨ましい。駆け落ちしてそのまま結婚したんだろう?結婚生活も3年目なのにずっと甘々だ。長年ラブラブでいられるなんてすげえよ。」
「ずっと甘々でラブラブというわけではないよ。最近は忙しくて2人で会える時間も少ないから寂しい思いをさせてるからね。」
「ほとんど家に帰っていないのに愛想つかさずに愛してくれる嫁なんて羨ましい〜。」
「何?ルナを狙ってるの?殺すよ?」
「ちげぇよ!俺は彼女と長く続いても1年で別れちまうからな。アーマーはすげぇなぁと思って。」
「愛が足りないだけじゃない?本当に好きなら別れるなんてありえないよ。」
「まぁ駆け落ちするほど好きになった女は確かにいないかもな。」
「ルナは俺の人生の全て。別れるなんて絶対にさせないよ。」
「アーマーみたいなイケメンに愛されるルナは幸せだろうな。誕生日おめでとう。ルナちゃんとラブラブに過ごして来いよ。」
「ありがとう。」
俺は仕事を終えて家へ直行する
ルナは誕生日というイベントをとても大事にする
俺を喜ばせようと
たくさんたくさん考えて用意してくれる
それが俺は嬉しくて
1年間で1番ルナから愛を感じられるから
俺の誕生日は大好きだ
貴族同士のつまらない上辺だけのお祝いとは全く違う
ルナだけは俺を心から祝ってくれるんだ
今日は何のプレゼントを用意してくれているのだろうか
嬉しい楽しみ愛おしい
ルナだけが俺に暖かな感情を与えてくれる
ルナだけが
俺に愛を与えてくてる
ルナだけが
ルナだけ
ルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナ
早く会いたい
ルナのことで頭がいっぱいになりながら俺は家の扉を開ける
ガチャ
「お…おかえり…」
出迎えてくれたルナは胸元が大胆に曝け出しているネグリジェ姿だった
目が合うと恥ずかしいのか伏せ目がちになり
赤くなってしまった
信じられない
あのマナが夜の誘いをしている
俺に抱かれたいと思ってこんなに恥ずかしい格好をしている
頭が沸騰する
理性が崩壊する
やっと…やっとルナが俺を受け入れてくれる
こんなに嬉しいプレゼントはない
最高の誕生日だ
「ねぇ…誘ってくれていると思っていいんだよね?」
「うん…」
俺はルナをお姫様抱っこで抱えてベッドに直行する
「え!ちょっと待って!料理とか食べてから…」
「ごめん。待てない。」
マナから誘われていてこんなの待てるわけないだろう
3年も待ったんだ
この日が来るのを
俺から折れて何度も襲ってしまおうかと葛藤したが
ルナから求められたくて我慢したんだ
ルナから求められる喜びを味わいたくて
引っ越した時に寝室を分けたのもその理由だ
一緒のベッドで寝ていると俺は絶対に襲ってしまうから
耐えて耐えて耐えて
やっと今日ルナが俺に抱かれたいと言ってくれた
なんて幸せな日なんだ
俺はルナをベッドに下ろした
「3年も待ったんだ。やっと俺を受け入れてくれるんだね…本当に嬉しい。スミスとかいう男なんてすぐに忘れるように優しく抱いてあげるから。」
ルナは監禁されてスミスに乱暴されている
セックスは嫌な思い出しかないだろう
俺が忘れさせて上書きしてあげなくちゃ…
「ん?スミス様は優しかったけど?」
「…は?」
「スミス様はずっと優しく抱いてくれたよ。嫌いになれなくて…」
頭の中で何かが切れた音がした
その後の言葉は聞きたくなくてルナの口を無理矢理塞いだ
ルナをずっと苦しめていた男が優しかった?
監禁されて
束縛されたことがトラウマで
自由を異常なまでに求めるきっかけになった男
スミス
何故はルナは優しかったなんて言葉が出る?
嫌いではない?
まさか…愛していたというのか
監禁して束縛していた男を!!
「ルナにトラウマを植え付けたやつなのに嫌いじゃない?好きってこと?優しく抱かれていた?愛し合っていたってこと?」
ルナの目は恐怖に満ちていた
あんなに嫌われることを恐れていたのに
ルナが俺を嫌うのなんて一瞬だ
本当の俺はルナを束縛しているのだから
ルナの嫌いな男のはずなのだから
あれ…束縛する男は嫌いじゃないんだっけ?
よくわからない
頭が怒りで湧いて
もう
何も考えられない
「そんな男すぐに忘れさせてやるよ。他の男なんて一生思い出せないようにしてやるから。」
俺はルナを手酷く抱いた
全身噛みついて
全身キスマークをつけた
気絶するまで抱き潰した
意識が戻ったらまたすぐに抱いた
何度も絶頂するルナは辛そうにしているが
やめられなかった
他の男に優しく抱かれて喜んでいたルナを想像するだけで
嫉妬で頭が割れそうだ
許さない
俺が忘れさせてやるよ
スミスに優しく抱かれて愛し合った記憶なんて抹消させてやる
俺に抱かれたことだけ体にも心にもわからせてやる
手を強く掴んで抑えつけても
逃げようとした時に髪を掴んだときも
ルナは1度もやめろとは言わなかった
苦しくて泣いているくせに
こんなことしたくないくせに
本当は優しくしたかった
愛しあって幸せなセックスをしたかったのに
何故こんなことになってしまったんだろう
後悔と自責で苦しくなりながらも行為をやめることは出来なかった
俺の衝動的な酷い行いをルナはずっと耐えていた
それどころか時折、俺を優しく抱きしめてくれた
こんなに酷いことをしているのに
優しいルナに俺はまた愛を感じて
涙を流して赦しを乞う
「ごめん…ごめん…ルナ…離してあげられなくてごめん…」
ルナは優しく抱きしめてくれた
優しい優しいルナ
こんなにも愚かな俺をそれでも愛してくれるのか?
こんな最低な俺で本当にごめん
俺の本性が醜くて野蛮で穢らわしくてごめん
それでもやっぱり離してあげられなくてごめん
俺を抱きしめたままルナはまた気絶して眠りについた
朝まで抱き潰してしまった
仕事があるので、俺はシャワーを浴びて急いで仕事場に向かった
今日は事務所で次のツアーの打ち合わせ
「おう。アーマー。昨日の誕生日はさぞ愛するルナちゃんと楽しんだんだろう?羨ましい〜。」
と瑛太が話かけてきた
「俺、blue roseやめる。」
「…は?」
「芸能界も引退して、事務所も辞める。今までお世話になりました。ありがとうございました。」
「いやいやいや!何言ってんの!?それではいそうですかなんてならないよ!?」
「俺は金を稼ぐ為に芸能界に入っただけだ。目的を達成したからもう辞める。」
「いやいやいや!blue roseは結成してまだ1年しか経ってないし!まだまだ売れて世界にも轟かせることが出来るバンドなのに!」
「他にメンバーを補充して。とにかく俺は辞めるから。」
「無理だって!ちょっと!マネージャー!!アーマーがおかしくなっちまった!!」
瑛太はマネージャーと他のメンバーを呼んで
全員で俺を攻め出した
「そんな簡単にやめさせることは出来ない。だいたい辞めたい理由はなんだ!!」
「そうだ!そうだ!」
と言われたので
「愛する嫁を傷つけた。もっと寄り添う時間が欲しい。」
と答える
「昨日お嫁さんと喧嘩したのか?会える時間が減ったから?」
「そうじゃない…とにかく俺が悪いんだ。今はルナと一緒に過ごしたい。」
「アーマーは事務所の稼ぎ頭だ。そんな理由では辞めさせることは出来ない。プライベートの時間を今後は増やす方向にするから…」
とマネージャーが説得していると
ピピピビピ
とアラームが俺のスマホから警告音が鳴った
「…誰か知らない人が家に侵入している。」
「はぁ!?不審者か!?」
「いや…鍵を使って入っている。おそらくルナが渡した…」
「それなら大丈夫なんじゃ…」
「俺、帰ります。さようなら。今までお世話になりました。」
「待て待て待て!!帰せるか!!」
「鍵を使ったとは言え知らない人が家に侵入しているんだ。帰った方がいいだろう?」
「ルナちゃんの知り合いなのでは…」
「そうじゃない可能性だってある。愛する嫁が危険かもしれないのに仕事なんて出来ない。」
「わかった。それでは私達も同行しよう。」
そう言ってblue roseのメンバー全員とマネージャーは俺の家に来ることになった
誰が部屋に侵入した?
ルナの知人?
勝手に合鍵を渡しているなんて…
約束を破ったなルナ
何かあった時の為に助けを呼べるようにしたのか
とことん俺は信用されていないようだ
誰に合鍵を渡したんだ
まさか…翔なんてことはないよな
俺からマナを奪おうとしているのか
絶対に許さない
俺は家の鍵を開けて家に入る
blue roseのメンバーとマネージャーも入った
どこにも見当たらない
ベッドも散乱したまま
食事もそのままだった
残る場所は1つしかない
俺は防音室の扉を開ける
そこにはルナがギターを弾いて歌っていた
ルナが前の世界で書いた
愛の歌
“これは愛の歌なの”
“私が前の世界が恋しくなった時に歌うんだ”
とルナが俺に教えてくれていた
ルナは前の世界の人間を恋しく思っているのだろう
会いたいと
寂しいと
心から願っているのだろう
愛おしいそうに悲しそうにルナは歌っていた
防音室にはchariotのメンバーと知らない女が1人いた
全員でルナの歌を黙って聴いている
俺もマネージャーもblue roseのメンバーも防音室に入り
ルナの歌を聴く
「すげぇ…」
瑛太がそう呟く
ルナは天才だ
人の心を動かす本物の歌を歌うことが出来る
歌い終えたルナは涙を流してその場にへたり込む
俺はルナに駆け寄り
「皆さんが心配かけて申し訳ございませんでした。ルナは俺が看るので今日はお引き取りを…」
と話していると
翔が俺に掴みかかり顔を殴った
「ふざけんな!お前なんかにルナを預けられるか!!俺の大事なバンドメンバーを暴行しやがって…絶対に許さねぇからな!!」
「暴行したのは貴方の方でしょう?警察呼びますよ。」
「呼べよ!!警察!!そしたらお前も性的暴行罪で訴えてやるからな!!」
俺は翔と掴み合い殴り合いの喧嘩をしていると
他のメンバーが俺達を引き裂いて喧嘩を止める
「申し訳ございません!どんなことでもするので許してください!!警察だけは!警察だけは勘弁してください!!」
とマネージャーが叫んでいた
俺は悪者で
あいつがヒーローか
なんて残酷な世界なんだ
この世界にルナと俺だけでいいのに
そしたら平和に過ごせたのに
ルナを…傷つけないでいられたのに




