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【外伝10話】凄惨

「おっせえええ!!」

今日はchariotの練習日なのに、ルナが集合時間から10分過ぎても来ない

以前も遅刻していたし、最近たるんでるんじゃないか?

俺達のような駆け出しのバンドなんて練習して上手くなることが大事なのに

音楽で惹きつけられる魅力があればリピートして来てくれる客が増えてきてやっと軌道に乗ってきて頑張り時なのに

ライブハウスの箱も大きくして今後より一層頑張ろうとしている時なのに

ルナは祐也よりもやる気と熱量があって気合いが入っていたはずなのに

連続で遅刻するなんて…

ハァ…がっかりだよ

「LINEも既読つかないし、電話も出ない。」

の祐也が言う

俺もさっきから鬼電しているのに出ない

ルナは電話をしたらすぐに出るのに

寝ている時でも電話に気づいてすぐに電話を取るのに

スマホをどこかに落としたのか?

「あの…ちょっといいですか?」

と話すのは祐也の彼女の花音だ

「何?」

「もしも今日、ルナさんが連絡つかなくなったら合鍵を使って部屋まで迎えに来て欲しいと頼まれているのですが…」

「はぁ?なんだそれ。迎えに来いなんて生意気な要求すぎるだろ。」

「おそらく自分から動けない状況になるかもしれないと予見して合鍵を私に渡したんだと…」

「予見するような出来事があったのか?」

「昨日はアーマーの誕生日です。」

「あぁ…遂に別れ話でもしたんかな。」

「縁起でもないこと言わないでください!ルナちゃんはアーマーに愛されるように頑張っていたんですよ!」

「なんであいつらの恋愛事に俺らが首を突っ込まないといけないんだよ。めんどくさい。勝手にやれよ。」

「他に頼ることが出来なかったんじゃないかな。私と連絡先を交換することもアーマー君は禁止していたみたいだし…」

「はぁ?なんで?」

「chariotのメンバー以外と連絡先を交換するなと言われていたみたい。心配だったから強引に交換したけど…」

「アーマーは異常者だろ。ますます関わりたくねぇ…」

「連絡つかなくなったら助けて欲しいとお願いされているんです。放置するわけにはいかないですよ。」

「チッ…めんどくせぇ…わかったよ!迎えに行けばいいいんだろ!」

俺達は3人でルナが花音に教えた場所へと迎えに行く

「なんじゃこれ…」

指定されていた住所は高層マンションだった

しかも最上階らしい

「本当にここなのか?」

「LINEでもここって書いてあるわ。間違いない。」

「ますますアーマーという男が嫌いになるな。」

俺達は合鍵を使ってマンションの最上階へと向かう

一応、合鍵を使う前にインターホンを押す

「ルナー?いるかー?」

と声を掛けるが返答がない

仕方がないので合鍵を使って部屋に入ることにした

扉を開けた瞬間に嫌な予感がした

「お邪魔します。」

と花音が言って入っていく

俺達も花音に続いて部屋へと侵入した

リビングに入るとテーブルには豪華な料理がそのまま放置されていた

おそらくルナが手料理したであろう誕生日祝いの料理

一口も食べた形跡がなく

虚しさと悲しさが込み上げる

「こんなに手の込んだ料理なのに一口も食べていないなんて…」

と花音は悲しそうに話す

「アーマーは忙しくて帰ってこなかっただけじゃないか?いじけて泣いているんだろ。」

「そう…なのかしら。あんなに楽しみにしていたのに。」

「だから早く別れた方がいいといつも言ってんのに。」

「好きな人とやっと一緒にいられるようになったのに別れられないよ。」

「苦しむような恋愛なんて時間の無駄だ。料理からただよう哀愁でさえ見てられないのに。」

「優しいんですね。坂本さん。」

「俺はいつも優しい男だよ。」

そんなことを花音と話をしている間に祐也はルナを探して他の部屋の扉を開けていた

左側の扉をガチャっと祐也が開けると

「ル…ナ…?」

と祐也が言う

俺と花音も部屋を覗くと

信じられない凄惨な状態だった

ベッドの上に全裸で横たわるルナは全身に噛み跡とキスマークがあり血だらけだった

ベッドのシーツには血と精液と愛液がへばりついており異臭を放っていた

髪も掴まれたのだろう髪の毛も散乱していた

目の前の現実を受け止められなくて俺達は暫く呆然と立ち尽くすことしか出来なかった

「ル…ルナちゃん!!」

花音が涙を流してルナに駆け寄る

ゆさゆさとルナを揺さぶって起こそうとするが返事がない

「ルナちゃん!ルナちゃん!ルナちゃん!!」

花音が必死に声を掛けて起こす

するとようやくルナが目を覚ました

「ルナちゃん!大丈夫!?」

ルナは目を覚ましたが声が掠れて出ないようだった

「待ってて!水持ってくる!」

と花音が水を取りに行く

「祐也と坂本さんはリビングにいて。ルナはまだ服着てないから…」

そう言われて俺達はリビングへと移動した

花音は水をルナに持っていき、ルナをお風呂に入れてあげたり、パジャマを着せてあげたりしていた

その間、俺と祐也は会話もなくリビングで座って待っていた

いつも笑顔で明るくルナがあんな姿になっていたことはかなりショックだった

それは祐也も同じだろう

他人の恋愛に口出しなんてするべきではない

何があっても2人の間の問題であり

他人が介入するべきじゃない

今でもその考えは変わらない

だが…あまりにも酷すぎる

あんなの性的暴行だ

「ルナは前に監禁されて性的暴行をされたことがあるって言ってたのに…こんな仕打ちあんまりだよ。」

と祐也は涙を堪えながら言う

「ルナは悪い男に捕まる呪いにでもかかってるんじゃないのか。お祓いした方がいい。」

「あんなにいい子なのにこんなのあんまりだよ…」

「…。」

祐也もかなりショックを受けているようだ

花音も同じようにショックを受けているはずなのに

明るくルナに話かけている

花音のメンタルの強さに少し安心する

祐也は本当にいい女を捕まえたな

花音がルナをお風呂に入れてパジャマを着せた後、

リビングで髪をドライヤーで乾かし始めた

「連絡なかったから心配したよ。合鍵渡してくれててよかった。」

「うん。」

「ルナの髪は栗色で綺麗ね。羨ましいわ。」

「うん。」

「私もルナとお揃いの色に染めようかしら。」

「うん。」

ルナは心ここにあらずで花音の話に相槌を打つだけだ

パジャマを着ても首筋や手首には噛み跡や掴み跡が残っていて酷い暴行跡が見える

「今日はchariotの練習日なのよ。みんなでルナを迎えに来たの。」

「あ…」

「今日は練習出来ないけど、元気になったらまた練習しようね。」

「歌わなくちゃ…」

「え?」

「そうだ…バンド練習しなくちゃ…歌わなくちゃ…」

「ルナ。今日は休んだら?動くのも辛いでしょう?」

「大丈夫…」

そう言ってふらふらとルナは歩き出す

無理に止めることも出来ずに俺達はルナについていく

ルナが入った部屋は楽器がたくさんある立派な防音室だった

部屋の真ん中にはセンターマイクも置かれていて音響設備も整っているようだ

ルナはベースではなく、ギターを抱えてセンターマイクの前に立った

目は虚で心も体も壊されたルナ

痛々しい姿に俺達は見守ることしか出来なかった

「今日は私の為に来てくれてありがとう。心を込めて愛の歌を…みんなに届くように歌います。」

ルナはギターを弾いて歌い出した

知らない歌

初めて聴く歌

でもわかる

この曲はおそらくルナが書いた曲だ

心に響く観客を沸かすことが出来る

最高の曲だった

俺の曲よりも格段にいいじゃないか

こんな最高の曲も書けることを隠していたなんて

アホだなあいつ

俺の曲が霞むかもしれないと気遣ったのか

ふざけやがって

俺だって負けてねぇよ

俺とルナの曲があれば武道館に行ける

それに祐也のドラムもあわせて

最強バンドchariotを世界中に轟かせよう

ルナの男運は最悪だが

ルナの音楽の才能は天才的だ

俺達で必ず武道館に行こう

恋なんてしなくても

音楽で俺達が幸せにしてやる

絶対に

だからそんな風に悲痛に歌うな

泣くなよ

愛の歌のくせに

悲しそうに歌うな



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