第26章 ― 月明かりの下、鍛える物語
歩きながら、満月は銀色の輝きで道を洗い流し、二人の顔に柔らかな影を描いていた。ズリカの尻尾はのんびりとしたリズムで揺れ、彼女の耳は一歩ごとにかすかに動いた。まるで森が彼女だけにささやく秘密を聞き取っているかのようだった。
ズリは娘の好奇心に満ちた視線に気づいた。立ち止まり、腕を上げて開けた空を指さした。
「夜がどれほど美しいか、見えるか?」
「うん……夜は素敵だよ」
ズリカは小さく、どこか敬意を含んだ微笑みで答えた。
ズリも微笑み返した。乾いた葉の絨毯の上に腰を下ろすと、葉が小さくぱちぱちと音を立てた。ズリカはしばらく彼を見つめたあと、まねをするように隣へ腰を下ろした。
「ねえ、パパ? 訓練しないの?」
彼女は少し不安げに尋ねた。
「するって言っただろう」ズリは答えた。「でも、楽しむ時間も必要だ。おばあちゃんがどんな人だったか、知りたいか?」
ズリカの目が戸惑いに満ち、その様子にズリは小さく笑った。彼は一瞬目を閉じた。まるで自分の記憶の奥にある古い扉を開くかのように。
「俺がまだ小さかった頃……ちょうどお前くらいの大きさだったかな。その頃に、おばあちゃんに出会った。」
彼は目を開け、月を見上げた。ズリカも同じように空を見上げながら耳を傾けた。
「お前の母さんは、体つきがあの人によく似ている。おばあちゃんに何が起きたのかは正確には知らない。でも、二つだけ確かなことがある。あの人は恐ろしいほど強くて……そして戦った。」
「どうして戦ったってわかるの、パパ?」
ズリカは首をかしげて尋ねた。
ズリは腕を上げ、遠くに見える砕けた山を指さした。古い火山に囲まれ、今は木々と歳月に覆われている場所だった。
「あれが見えるか? 俺が覚えているのはあれだ。」
彼は腕を下ろし、真剣な表情で自分の手を見つめた。
「村が人間の軍勢に襲われたとき、両親と子どもたちは全員避難させられた。女王の命令だった。俺は木の後ろに隠れて……そして赤いオーラを見た。すべてが赤く染まった。火山が噴火した。あの力は女王のものだと言われていた……お前の母さんの母親のな。」
ズリカの目が大きく見開かれた。
「じゃあ、わたしのおばあちゃんは強かったの?」
「とてもな。」ズリは軽く笑った。「しかも死んではいない。原初の者たちは不死だという噂を聞いたことがある。だからどこかで生きているはずだ……あるいは今もお前を見守っているかもしれない。お前はあの人の血を引いているんだからな。」
ズリカは視線を落とし、考え込んだ。
「わたしのおばあちゃん……」
ズリは優しく彼女の頭を撫でた。
「悲しむな。むしろ誇りに思え。おばあちゃんはお前の母さんよりもさらに恐ろしい存在だった。戦のオーラがあまりにも強烈でな……俺は、まあ、逃げた。母さんに――」
彼は急に言葉を止めた。
待て……なんで恋の話をしてるんだ? まだ小さいのに。やめておこう。
ズリは咳払いをして、大げさな笑顔を浮かべた。
7「いや、なんでもない! 母さんに何かを頼んだわけじゃない。ただ一緒に遊ぼうって言っただけだ。おばあちゃんには断られて、怖がらせられて……それに臆病者って呼ばれたんだ!」と大声で笑った。
「でも今のパパなら、おばあちゃんに勝てるの?」
ズリカは一瞬だけ真剣な顔で尋ねた。
「ははは! 無理に決まってるだろ。母さんだってすでにとても強いんだぞ。おばあちゃんなんて想像してみろ。俺が成長したオメガでも、あの人の一発で宇宙の彼方……いや、あの世行きだ!」と彼は豪快に笑った。
ズリカもこらえきれずに笑い出した。
「もう、パパ! あはは!」
「その通りだ。」ズリは立ち上がった。「さあ行くぞ。楽しみの時間だ……そして訓練の時間でもある。」
ズリカも立ち上がった。二人は再び歩き出す。足元では葉がやわらかく舞い上がり、森が静かで神秘的なまま、まるで一歩一歩を見守るかのようだった。
次章へ続く。




