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第24章 ― 爪と抱擁の狭間で

二人の間の沈黙は空虚ではなかった――重く、張りつめていた。ズリは低く、しかし確かな声でそれを破った。まるで不安定な地面を踏みしめる者のように。


「なぜ、娘を少し外に出してやらない?」


カエリラはすぐには答えなかった。視線を土と砂の地面へ落とす。そこに、自分を追い続ける記憶が刻まれているかのように。やがて口を開いたが、その声の強さは、疲れ切った身体とは釣り合っていなかった。


「私は失わない。」呼吸が一瞬途切れる。

「もし私が間違っていると思うなら……私と向き合って。証明して。」


それは誇りの挑戦ではない。武装した絶望だった。


ズリは腕を上げ、壊れやすいものに触れるかのように、慎重に彼女の頬へ手を置いた。


「子は、永遠に親の腕の中で生きるために生まれるわけじゃない。学ぶ必要がある。転び、立ち上がる。お前もわかっているはずだ。」


彼女はその手を握り返す。嵐の中で錨を握るかのように、強く。


「守りたいだけなの……」かすれた声は、癒えぬ古傷と疲労に歪んでいた。


最初の仔の名は、口にされる必要はなかった。

それはそこに在った。見えないまま、二人の間に。


ズリは深く息を吸い、続ける。


「あの出来事は重すぎた。お前にも……俺たち全員にも。だが、もう二度と起こさせない。俺が許さない。お前は始原の存在かもしれない。俺はオメガだ。だが俺も父親だ。父親は傍観しない――共に背負う。」


彼の強さは対立ではなく、均衡だった。


「教え方はそれぞれ違う。」声はさらに穏やかになる。

「村を見ろ。」


カエリラは視線を上げた。狼男たちは働き、壊れた構造を修復し、武器を整え、若い者たちを鍛えている。何人かは彼女の方へ控えめに視線を向けた――裁きではない。敬意と、共有された喪失の眼差しだった。


「彼らもお前の痛みを感じている。」ズリは言う。

「そして罪悪感もな。最初の仔を探せと命じたとき、彼らはあの子の意味を知っていた。守れなかった……その重みを背負っている。」


カエリラは再び洞窟の入口へ目を向ける。ズリカがいる場所だ。

だが今度の視線は監視ではなかった。恐れが、ゆっくりと内省へ変わりつつあった。


「あなたも……守ってくれる?」その問いは、ほとんど子どものようにかすれていた。


ズリは小さく、誠実に微笑む。


「約束する。夜に出る必要はない。朝なら慎重でいられる。だが慎重は牢獄じゃない。注意を伴った信頼だ。監視じゃない……導きだ。」


彼女は目を閉じた。


純粋な意志だけで村を支えてきた身体が、ついに限界を迎える。カエリラはその場に座ったまま、横へと崩れ落ちた。何日も拒み続けていた睡眠に、ついに敗れたのだ。


ズリは彼女を受け止める。


そっと髪を撫でる。


「もう十分だ、我が伴侶。」囁く。

「今度は俺の番だ。」


彼は彼女を丁寧に整え、その場で休ませた。久しく見なかった表情がそこにあった――強さでも威厳でも恐怖でもない。ただ、人間らしい安らぎ。


周囲の狼男たちもそれに気づいた。


静かな視線が交わされる。控えめな微笑みもあった。女王が眠っている。それは、痛みがようやく休息を見つけ始めた証のようだった。


ズリは彼女のそばに留まる。穏やかな表情の奥で、その重責を理解している。浮かべた微笑みは勝利ではない。受け入れた責任の証だった。


彼はカエリラを理解していた。


恐れも理解していた。


だが同時に知っている。愛とは閉じ込めることではない――世界へ送り出すための準備なのだと。


その日、村が少し軽やかに呼吸する中で、オメガは決意した。


娘に戦う術を教える。

だが、喪失の恐れに隠れる術だけは教えないと。



---


次章へ続く。

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