第10話 ダンジョン突入、再び
ごっそり魔力が持って行かれた感覚があった。
町で裏口作成を繰り返してもうけていた分、前回のダンジョン脱出の時よりレベルが上がっているにもかかわらず、魔力を半分ほど持って行かれた感覚だ。
「何だ、これは……」
一瞬戸惑うが、迷っている暇はない。サラサやドンガの切迫した様子は今も魔道具から漏れ聞こえている。
ロンドは勢いよく扉を開けるとダンジョンに突入した。
「ここは……」
残念ながら当初のもくろみとは違いそこはサラサたち3人のいる場所ではなかった。
見た感じ、小さめの石造りの部屋だ。
中央に30センチほどの大きさのクリスタルが置かれた台座があり、その向こうに豪華な宝箱と荘厳な扉がある。
「失敗か。でもあの扉の向こうに何が……
いやそんな暇はないな」
今、サラサたちが挟撃されているのは狭い洞窟の途中だ。あの扉をくぐった先に彼らがいるとは思えない。
「宝箱も気になるが、まずはドンガさんたちの救出だ。
一旦外に出て今度こそ3人の近くに裏口がつながるように祈りながら再チャレンジしよう。
でもせっかくだから、こいつだけでも頂いておこうかな」
そう呟くとロンドは中央の台座へ近づく。
宝箱も魅力的なのだが、罠が仕掛けてある可能性も考慮して宝箱は慎重に開ける必要がある。今、ゆっくりと宝箱にかまっている暇はない。
ロンドは台座に鎮座しているクリスタルを持つと、金属の金具で固定されていた結晶を無理矢理引っこ抜いた。
瞬間、ダンジョンが胎動した。
ゴウンという大きな音、床は揺れ壁は鳴動する。
「地震だ!」
ロンドは立っていられずにその場へとへたり込む。
30秒ほどのち、再び静寂が訪れたときに、ロンドの頭の中に声が聞こえた。
『本ダンジョンは迷宮核を失いました。本ダンジョンは攻略されました。
全てのモンスターは消滅します。全ての罠は消滅します。
モンスターの経験値とドロップ品は攻略者の元に集まります』
次の瞬間、ロンドは自分の中に何かが流れ込んでくる感覚に襲われる。力がみなぎる。魔力が満たされる。
「何だこれは……」
だが、驚くのはそれだけではなかった。
様々な輝きを持つ金属鉱石がロンドの周りに出現する。大きさもそれなりにあるものが多い。
それはロンド一人で持ち運べる量ではなかった。
『本ダンジョンは活動を停止しました。
入り口は消滅します。
攻略中の人間は強制的に排除されます。
攻略達成者は速やかに退出用の魔方陣に乗り、ダンジョンから帰還してください。
なお、この退出用魔方陣は一方通行です。
本ダンジョンが迷宮核を再生し、再び活動開始するまでは侵入できませんのでドロップ品などの持ち出しには注意してください。迷宮核再生はおよそ1000年後です』
再びメッセージが聞こえると宝箱の横に魔方陣が形成された。
脱出用の魔方陣だ。
この魔方陣に乗れば外に出られるが迷宮核の再生が終わるまでは二度と入れないという。
ドロップ品や宝箱の中身はとても気になる。今持ち出さなければ、次に持ち出せるのは1000年後と言うことだ。
しかしロンドはドンガたち3人が心配で、ゆっくりドロップ品を吟味する気にはなれない。そんなゆとりはない。
「人命最優先だ」と自分に言い聞かせるように呟き、直ちに魔方陣に飛び乗った。
次回「ダンジョンの入り口にて」
お楽しみに!




