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49-2

チェスボードの様な白と黒のタイルが全面に張り巡らされた10m四方の部屋の中心に、直径2m程の魔法陣が刻まれた巨大な水晶球が浮いており、その水晶球を挟んで白と黒の椅子に座る女性が突然起こった原因不明の事態に、目の前に浮かぶ半透明のモニターの様な物を睨みつつ、キーボードの様な物を叩きながら言い争いをしていた。


「ちょっと!あんたもサボってないで手を動かしなさいよ!」


黒い椅子に座り、白い椅子に座る女性を怒鳴りつけるのは邪神。


「私は貴方と違って繊細に出来ていますの。これは休憩であってサボっている訳ではありませんわ。そもそも、そちらの不始末から始まった事なのですから貴方が私以上に働くのは当然じゃありませんか」


白い椅子に座り、のらりくらりと交わすのは天神だ。


先日送り込んだ魔王が消失し、今後の対策を協議していた筈だと言うのに、邪神の目を盗んで天神が勝手に天使を送り込んだ為に問題が起こり、二人はその対応に追われていた。


「何言ってんのよ!あんたが勝手に天使を送り込んだ上に返り討ちにあったのが原因でしょうが!何なのよ、死んで無いのに魔王が居なくなるってどんな状況よ?!そのせいでシステムに不具合が出まくってんのよ!あんたが何とかするのが筋ってもんでしょうが!!」


このゲームのルール上、魔王は聖女の祝福を得た勇者でしか倒せなくなっている。その為に邪神は伊竹を倒す為に代わりと為る魔王を送り込んだのだが、天神はその基本ルールを無視して天使を送り失敗。

ここまでは良かったのだが、伊竹が天使を取り込み魔王で無くなってしまった事で、勇者以外は魔王を倒す事は出来ないと言う前提条件と魔王の死亡時にと言う勝利条件が破綻した。

そして魔王の適合者はその世界に一人だけ。居なくなったが死んだ訳でもない為に代わりを送り込む事も出来なくなり、システムは矛盾を抱えてエラーが出まくり、その対応に追われて居ると言う訳だ。主に頑張っているのは邪神だけだが。


以前邪神が言っていた『世界を滅ぼして移動すればいい』と言うのは脅しでもなんでも無いのだが、送り込んだ魔王の魂や四天王達の魂の回収がシステムエラーの為に出来ないのは困る。

故に邪神はデバッグに前向きだが、指令を与えるだけで何かを回収する必要の無い天神は非協力的と言う訳だ。

それに天神は魔王が居なくなった時点で自分の勝ちだと思っていて、ゲーム自体を終了すればシステムの復旧は容易だと思っている。


天神は適当にお茶を濁して邪神に諦めさせるのが狙いなのだ。


疲れきった所で上手く交渉して人界の1/5を渡す位で手を打てれば等と考えており、邪神より腹黒い奴なのである。


と、ここで新たなエラー音と言うか警告音が鳴り響いた。


「ちょっ!如何言う事?!何でシステムの一部が切り取られてんのよ!あんた何やったの?!間違えて削除しましたとか言わないでしょうね?!」


「あら、私はお茶を飲んで休憩していたでは有りませんか。貴方が間違えたのではなくて?さっさと復旧して下さいな」


まさか外部から、しかも見下している地球から等とは思いもせずに、原因究明よりも復旧を急ぐ邪神と、その邪魔でしかない天神。

マサトの思い付きで分離してしまった【迷宮をつくろう】のシステムは、二人の住む異界のシステムと魔術的に深く繋がっていた為にその一部を剥ぎ取られてしまったのだ。


そして、破損してシステムが動かせなくなり、慌てて天神も復旧作業に取り掛かったが、失った部分を修復する為には【迷宮をつくろう】が必要で、今回だけのシステムに予備など有る筈も無く、一から作り直す事となった天神と邪神は、さながら納期直前に不具合が見付かって修羅場を向かえたSEの様だったと言う。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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