50-2
俺は咥えたLANケーブルに魔力を流し、目を伏せて魔力操作に集中した。
LANケーブルからノートPCへと進入し、PC内部を魔力で満たして行く。
OSを含めたHDDの内部を完全に掌握し脳内にコピーし、序にCPUの構造を解析して思考をCPUのコアの様に分割していく。
二つ、四つ、八つと倍々に増やして行き、百二十八個に分割した所で満足して目を開き、咥えていたLANケーブルをマサトに返した。
「ふぅ・・・・・終ったぞ。HDDの中身は全部コピーしたし、迷宮内部の解析も同時に始めたから直ぐに掌握出来るだろう。後は掌握出来次第奴等の住処に逆進攻を掛けるだけだが・・・・・パスワードの『ILoveDemise』は変えとけよ」
と、ここで迷宮の掌握が終わり、迷宮を異界から完全に切り離す事に成功。勇者や聖女の支配も解除出来たし、何時でも向こうに行ける準備が整った。流石に分割思考百二十八個はやり過ぎたかもしれない。
まぁ普段は使わなければ良いだけの話だ。奴等を倒したら使う機会も無くなるだろう。
「さて・・・ギービル、暫くの間留守を頼む。リトラ・・・そんな顔すんな、心配いらねぇよ。直ぐ帰るから晩飯の用意して待っててくれ」
不安そうな顔をしたリトラの頭を撫でてから「行って来る」と告げて転移をした。奴等の残した魔力経路を辿り、拠点へと着き次第一気に片を付けるつもりだ。
幾つかの防壁を突破し拠点へと到着した瞬間に全力で魔法を放った。
右手から聖属性魔弾六十四発を邪神と思しき赤黒い肌の女性に、左手から闇属性魔弾六十四発を天神と思しき白い肌の女性に向けて余計な事は何も考えずに打ち込んだ。
全ての魔弾が二人に着弾し、二人は悲鳴を上げる間も無く吹き飛ばされて趣味の悪い白と黒の壁に激突して気を失った。
「あれ?・・・防御か反撃位されると思ってたんだけど・・・・・ま、まぁ倒せたんだし良いか」
余りの呆気無さに少し罪悪感を覚えたが、過去一万回のゲームの事を思えばこの程度で許す訳にはいかない。
取り合えず拘束魔法で雁字搦めにして放置して、拠点に有る巨大な水晶の解析を始めた。
こいつ等がこの水晶を使って色々やっていた事はここに来るまでに気が付いていた。この水晶を支配して取り込めば、俺は更なる力を手に入れる事が出来るうだろう。
「ん?・・・んん~?・・・こいつ等と繋がってんのか、これ」
如何やらこの水晶はこいつ等が作り出した物だが、こいつ等の一部でも有るらしい。
この水晶を取り込むと言う事はこいつ等を取り込むと言う事と同義で・・・何かちょっと嫌だな。
かと言ってこのままにして置く訳にもいかないか。
と、言う訳で水晶を支配して二人の記憶や能力の殆んどを削除して、水晶と切り離してから水晶内の要らない物を削除して取り込むと、二人に変化が起こった。
失った能力と共に魔力が急激に減少し、その体が見る間に縮んで行く。
「な、何だ?何が起こって・・・・・」
「うぅ~うごけないよぉ~!」「いやぁ~たすけておじちゃ~ん!」
気が付いた二人は拘束魔法で身動きが取れなくてぐずり出した。
参った、完全に失敗した。先に処分するべきだった。
元はアレだし助けてやる義理も無い。皆には甘過ぎると言われるだろう事も容易に想像出来た。
だが、俺には記憶を失い何の能力も無い泣き出した幼女を見捨てる事が出来ず、拘束魔法を解いて連れて帰る事にしたのだった。
ここまで読んで頂き有難う御座いました。




