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異世界冒険記  作者: 九重九十九
新異世界編
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久しぶりに友達と会ったら意外なことやってって記憶の中の友達像と現実のソイツと結びつかないあるある

 赤村一輝はクラスでは特に目立つような位置にはいなかった。とはいえ、それは目立たない子だったという意味ではない。ノリは非常にいいしおふざけのなんたるかも理解していた。でなければ鈴木天汰大和などという三バカと友達していられるわけもないが。

 とにかく、赤村一輝は自分から前に出ていくような人物ではなかったと記憶している。

 彼の人となりはここではあまり関係ない。

 問題は、そう。問題はそんな彼が何故こんなところにいるのかということである。



「やあ、すーさん。久しぶり」

「なんでお前がここにいるんだ、赤村一輝(あかむらかずき)!!」

 赤村は日常の延長のように気さくに呼びかけた。それに対していくつもの『何故』が頭に浮かぶ鈴木は乱暴気味に赤村に問い叫ぶ。


「まあまあ、色々思うところはあると思うけど」

 と、赤村は少し離れた位置にいたはずだが、ほんの一瞬で距離を詰められていた。

「まず(これ)は返してもらうよ」

「ッ!」

 杖をとられていた。


「はい、もう取られないようにね」

「わーいマスター、ありがとうですぅ!」

 ユー・ダレスに杖が返されていた。


(いま、何をされた?)

 瞬間移動? いや、辛うじて目で追えた、今のは超高速移動だ。撫子型の情報士が使えるような技だが、つまり赤村は情報士になってしまったのか?


「さてと、今の質問だけどじゃあお答えしますかね」

 そうもったいぶって赤村は鈴木の問いに答える。

「すーさん、君んところのソーマを倒すためだよ」


「――――は?」

「といっても僕は後詰め、すーさん達への牽制みたいなものだよ。実際にソーマを討ち取るのはこっちのリーダーだけどね」


「赤村、お前どうしちゃったんだよ、本当に俺の知ってる赤村なのか?」

 鈴木は自分の知っている赤村と今ここにいる赤村がどうも結びつかない、だからそんな素っ頓狂なことを言ってしまう。

「すーさん、ガラじゃないけど真面目に話すとさ、今こうして目の前に立っているだけでも異常なことなんだよ、僕の腕なら不意打ちの一撃ですーさんの首をはねることもできた。でもそれをしないのはなんだかんだ言って友達だったから。だから、この場では情けを掛けてるんだ」


「お前……なんなんだよ!」

「運が悪かったね、そっちの陣営にいるなんて」


「陣営……」

 その言葉に、鈴木はやっぱりかと思った。思い出すのはソーマの姉、黒の世界にいた長すぎる髪の喪服っぽい服を着た絶対存在者。彼女と会話した時から彼女と戦っている存在がいることも予測していた。

 が、予測していても実際にそれらとかち合うのはまだ先のことだと思っていた。だから対策など全く考えていなかった。


(できることは――とりあえず情報収集か)

 意識を切り替える。ここにいるのは友達ではなく敵としての赤村だと。


「そっちには誰がいるんだ」

「それはすーさんの知り合いでって意味かい?」

「ああ」

「それなら答えられる。僕と徳浦(とくうら)が異世界召喚されてるよ」


「とくうら? ああ、隣のクラスの」

 昔の記憶を思い出してみると赤村や天汰、ギリギリ黒石とも仲が良かったような気がする。鈴木個人では知り合い以上友達未満くらいの人間だったので別にさほど興味はない人物だったりする。

「なんか、聞いておいて割とどうでもよさそうだね」


「んー、どうでもいいって訳じゃないけど……あー、そいつなんだーみたいな、そんな感じ」

「すーさん仲悪かったっけ?」


「良くも悪くもない、普通だぞ」

「ちなみにアイツはVPSのパイロットだ」


「ああー、印象通りだ。普段からキラのセリフしゃべってたもんな。『やめてよ、僕が本気を出しても守りたい世界があるんだー!』だっけ?」

「混ざってる混ざってる」

 鈴木も赤村もそこまで詳しくはないが、明らかに間違っていることくらいは分かる。ほんの冗談だ。

 赤村は手持無沙汰な左手でユー・ダレスの頭をなでる。されるがままのユーは気持ちよさそうに目を細めた。


「こっちには来てないけど、なんかエースパイロットらしいよ」

「らしいってなんだよ、直接見たわけじゃないのか」

「担当の世界が違うからね」

 それ以上のことは言わない。しゃべる気はないということだろうか。


「あ、どうやら終わったみたいだよ」

 赤村が今知ったかのように言う。テレパシー? いや、この世界の技術水準を考えると通信機でも仕込んでいたのかもしれない。

「今回の勝負、この世界にVPSを広めることはできそうにないけど、ソーマを討ち取れた。試合に負けて勝負に勝ったような感じだね」

「なに? ソーマ負けたのか」

「うん、そうみたい」

「まじかー、俺アイツにいつか一泡吹かせてやろうと思ってたのにな――うわ!!」

 突然、鈴木の足元に魔法陣が展開された。


「あわわ!? マスターなんですかこれは!?」

「転移陣。ソーマが最後の足掻きにでたんだろうね。すーさん、どうやらおしゃべりはここまでのようだよ、次に会ったときは見逃せないかもしれないから、その時はごめんね」

「お前は――――」


 最後の質問をしようとしたところで、鈴木は転移陣によってまたまた別の世界へと飛ばされた。

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