なんでお前がここにいるの?
鈴木がまたまた勝手にはぐれているなか、アイリスとエイラは予定通りエイラの部屋に到着、そのままエイラのボディスーツを見つけることができた。
エイラのボディスーツは青と水色のツーカラーで、甲と肘を除く両上下肢部分は水色、首から股までのラインと手の甲、肘のプロテクター部は青の配色だ。
実はこのスーツ、背中側にファスナーがあって、一人では着脱しにくい作りになっている。なので、アイリスが手を貸してエイラはボディスーツを着ることができた。
「よし」
エイラは手のひらを握ったり開いたり、軽く体を動かしてみて着心地を確かめる。
「うん、これなら想定された100%のパフォーマンスを発揮できます」
「なんというか、未来的な服装ですね」
アイリスは今まで見たことないが服装に興味と好奇心が半分くらいの反応を見せる。
「情報士の基本的なスーツですよ? あなたもそれだけの力量があるなら他の情報士くらいは見たことがあるのでは?」
「あー、えっと」
話の流れから、アイリスは鈴木がエイラに異世界の話をしていないのだと察する。
「こんなこと急に言われても信じられないかもしれないけど、実は――」
と、言いかけたところでエイラの部屋にノックの音が響く。誰か来たようだ。
「「――‼」」
二人とも何も言わず一瞬で扉の左右、何者かが入ってきても挟撃できる布陣に展開できるのは、戦える系女の子だからなのだろう。
「俺だけど、みんないる?」
アイリスとエイラは聞きなれた声に安堵した。それでも、扉を開けて他に敵がいないかを確認するまでは気を抜かないが。
「ああ、つけられたりとかはしてないから大丈夫だとおもう」
部屋から頭だけを出して廊下の左右をみるアイリスに天汰は言った。
「というか、久しぶりだねアイリスちゃん」
「はい、お久しぶりですね。色々情報共有したいので、とりあえず中に」
「うん」
天汰と、一緒に行動していたクラリアはエイラの部屋へと入った。
「おや、鈴木さんの姿が見えませんが」
「あるじは……勝手に迷子になりました」
「えぇ……」
これには流石のクラリアも想定してなかったみたいで、顔を曇らせる。合流せずに天汰と先に脱出するのが正解だったかもと考え直すが後の祭りだ。
「まあ、いいでしょう。あの人のことです、なんだかんだで死ぬことはないでしょう」
半分諦めが混じってるなぁと頭を抱えるクラリアをみてアイリスは思った。
「それで、そちらの子は?」
クラリアは面識のないエイムに質問をする。
「私はロメア型『舞姫』級情報士のエイラです」
「ロメア型というと、たしか遠距離射撃タイプでしたか。ここにいるということは、我々の味方ということでいいのでしょうか?」
エイラの目をじっと見てクラリアは問いかける。
「はい、こんな戦いで私は死にたくないので、マスターの側について一発逆転を狙おうかとおもい、マスターの下につきました」
「マスターってあるじのことね」
アイリスが補足する。
「すーさんが、催眠術を使ってその子の意識を乗っ取ったのは知ってるけど、いまそれ多分催眠溶けてるでしょ? よくケンカにならなかったね」
「なったけどもう仲直りしたので」
「あ、そうなのね」
やっぱりケンカになったのねと天汰は内心で苦笑いした。
「天汰さん、今この場で一番状況を知っているのはアナタだと思います。なので、次の方針を考えてもらえますか?」
「え、俺ですかクラリアさん」
「はい、私やアイリスは今さっきこの世界に来たばかりなので論外だとして、その子、エイラさんも申し訳ないですがまだ信用しきれません。しかし天汰さんならある程度の信頼はありますし、今現状をよく知っているはずです。お願いします」
「わかったよ。じゃあ、すーさんはこの船から脱出しようとしていたから、それを目標とする形で。で、そのすーさんは見つけられたら一緒に脱出。見つけられなくとも多分自分で何とかすると思うから無理に探す必要はない。こんな感じかな」
「そうですね、わかりました。その案でいきましょう。天汰さん、脱出ボートまで案内をお願いします。他の人は各員周囲警戒をお願いします」
「はい!」「了解しました」
まとめ上げは普通にクラリアでいいのではと天汰は思った。
その鈴木はというと。
「かえして! かえしてください~!」
「誰が返すかバーカバーカ、大事そうに抱えてたこの杖がお前のデバイスであることは確定的に明らかだった、なら油断を誘ってそれを奪えばお前のIOSを封じたも同然だワーハハハハ!」
そこには、女の子から杖を取り上げて高笑いしている奴がいたそうな……。
「お、ちょうど水兵さんがきた、おいここだこのガキ侵入者だぞ早く撃ち殺――うわっ、俺ごと撃ってきやがった!」
「お前バカだろですぅ!」
「忘れてたー! 俺も普通に攻撃されることを忘れてたんだー!」
「杖返してくれてたらあの人たちおっぱらってやるです!」
「そのあとは俺の命もなくなるだろうが!」
「チッ、ばれたですぅ!」
「誰でもいいから助けてくれ~!」
両手をあげて誰に言うでもなく叫ぶ。その願いが通じたのか、鈴木とユーの向かい側から一人の男が走ってきた。この世界に似つかわしくない剣を携えて。
「お前!?」
「あ、マスターですぅ!」
そいつは鈴木たちをこして、二人を銃撃していた水兵に一太刀あびせて撃沈させると、懐かしそうにこう言ったのだった。
「やあ、すーさん。久しぶり」
「なんでお前がここにいるんだ、赤村一輝!!」
実はちゃんと一話目にでてます。




