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異世界冒険記  作者: 九重九十九
新異世界編
59/69

ドヤ顔されたので目潰ししました

 戦艦とかただのデカい的だわ、そう鈴木は思っていた。


 しかしながら聞くところによると、一度途絶えた戦艦という艦種は対空・対水上・対潜というオールラウンダー能力をもらって復活したそうな。しかもIAIによるIOSで全面防御とかいうフィールドも標準装備となっているらしい。


「つまり、巨大艦砲主義による戦艦ではなくて、どんな敵にも戦えるオルラウンダー論によるコンセプトから作られたのが今の戦艦になります」

「なるほど、コンセプトから変わったのか」


 食堂での騒動の後、いろんな聞かれたらまずい系の話もあるので鈴木たちはエイラを連れて自分らの部屋へ。そこで先ほどの反省を含めて戦艦の話を聞いていたところだった。


 ― ― ―


戦艦ルーテル 所属・イグラス国


  主砲  70センチ単装砲 40センチ連装 ×2

  対空  対空迎撃用26ミリ三連装機銃 ×8

  対水  水中ソナー&水中ネット

搭載IAI 全方位シールド(水中含む) 


 ― ― ―


「ルーテルは、対空が迎撃ミサイルが積んでないので少々不安ですけど、70センチ単装砲で発射前の空母を攻撃するのを目的とした戦艦です。この砲のせいで対空能力が低めになっているのですが、随伴の護衛艦がそれを補う形になります」


「70センチ砲って、いくら単装砲だとしても大きくないか?」

「そうですね、ルーテルの最大の特徴である長い砲は、戦艦だけど狙撃者と呼ばれているようです。最大射程は60キロほどと言われていますね、ここら辺の情報は他国の情報なので多少曖昧になります」

 エイラは自分の中にインプットされている情報を鈴木たちに教える。


「弾速もかなりのものとなっていて、IAIの演算もあって命中率は70パーセントとかなりのものです」

「70ってでもそれ十回に三回は外してるんでしょ?」

 天汰は70をかなりと表現したのを言っているようだ。


「天汰、よく考えてもみろ。60キロ先の相手だし尚且つ撃ってから狙った先まで届く間にも敵は動いている。ネットゲームで戦艦ゲームやったことあるけど、本当に当たらないものだよ。それを考えたら70はかなり当ててる方だと思う。まあ、そのゲームは駆逐艦の魚雷が一番強いんだけどな。やっぱり駆逐艦だよ、ああ駆逐艦をハイエースしてダンケダンケしたい」


「駆逐するッ!」


「ダンケダンケ!」


「駆逐するッ!」


「私はツッコミませんよ。まあ、戦艦ルーテルの方はそんなところです」


「ボケ殺しとかやめーや、俺ら芸人には一番やっちゃいけないからそれ」

「俺芸人じゃないけど!?」

 天汰が何か言っているけど鈴木は気にしない。


「でも、戦艦を知らないって、本当にあなた達は何者なんですか?」

 エイラは問う。


 ぶっちゃけエイラにはウソがバレてしまっているのだし本当のことを言ってもいい気がするのだが、言っても信じてもらえるかどうか怪しい。


「まあ、なんていうのかね。全く別の世界からやってきた異世界人レベルの知識しかないって思っておくといいよ」

 思っておくといいよ、というか、まったくもってその通りなのであるが、どうせ信じてもらえないので少々適当っぽく答えておく。


「――では、お二人の情報を暫定的に異世界人と修正しておきます」

「うん」


 暫定的にとエイラは言ったが、事実その通りである。もちろん、エイラだって本気で言っている訳ではないのだが。


「ついでに、今回私たちが乗る護衛艦イザリヤのことも話しておきます、これは普通の護衛艦とは少し違うので」


 ― ― ―


護衛艦イザリヤ 所属・フレイン国


  主砲  18センチ単装砲

  対空  12ミリ連装機銃 ×4

  対水  ソナー&対潜誘導ミサイル

搭載IAI 二方面シールド

  特殊  VPS格納工廠部


 ― ― ―


「まず、本来なら対空として必須のVLSがないことが一番の特徴です。これはVPS格納工廠部のスペース確保のために撤去されたものですね」

「ちょい、ちょい、ちょい待ち? VLS? なんだいそれは?」

 天汰と鈴木はまた出てきた横文字に頭を悩ませている。


「バーティカル ランチング システム、垂直発射装置です。天汰さんは私と戦った時に見ていると思います。あの四角い箱に入ったミサイルのことですよ。あれが上を向いているだけです。さっきの言い方をすれば迎撃ミサイルです」


 迎撃だけではなく普通に攻撃にも使えるのだが、エイラは混乱させる言い方はしない方がいいと思って言うのを控えた。


「あー、なるほど。試作三号機のサブね」

 天汰は自分の中の似たような知識を合わせてみる。ゲームだが、鈴木もやっていたので、大体のイメージは掴めた。


「なるほどわかった。ミサイル積むのを諦めてその部分にVPSをブッこんだ訳だ」

「その理解であってます」


「オイちょっと待てよ」

 鈴木はあることに気が付いて挙手する。

「戦艦の方も対空低くてこっちの船も対空低いってちょっとヤバくね? それともあれかな、この世界では航空機はそんなに強くないのかな?」

 航空機による制空権の重要性は鈴木たちの世界で歴史が証明している。


「それはルーテルと一緒に来る護衛艦に任せられますし、なによりもロメア型の『舞姫』である私がいます。対空迎撃くらいなら私一人でこなせますよ」

 天汰さんと戦った時は装機解放限界率が制限されていましたからね、と付け加える。


「え、何君、エイラちゃんはミサイルブッパ系女子だったの?」

 前後の会話を理解していればそれくらいわかりそうなものだが、やっぱり適当な性格の鈴木、話半分は聞いていなかったようだ。

「ええと、ミサイルだけではないですけど……ロメア型なので、そうですね」


(えーと、確かロメア型の情報士は、遠距離からの射撃戦が得意だったか)

 鈴木は前もって仕入れていた情報と照らし合わせる。

「とゆーか、君はキャラの統一がなっていないわ」

 そして割と関係ないことに気付いてしまう。


「それは、その。しかたないじゃない! あっ、じゃないですか! 私は生まれてまだ一か月もないんですよ。自我の安定化にはまだまだ時間がかかります」

「あー、そういえば君、人造人間だっけか」


「ええ、脳内でIOS処理ができる能力を持った人間強化です」

「強化人間?」


「人間強化です。私もこの辺の知識は詳しくはインプットされていないので、にわかな知識になりますが、BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)による装機との相互疎通が可能な双方向インターフェースによる情報士専用デバイスである装機と、直接、または間接的による高度なIOSを組み合わせた戦闘を可能にするために遺伝子工学の技術の結晶とも言われる人間強化、それが情報士であり、全ての工程を破格の資金と時間を掛けて造ったのが『舞姫』なんです。……あの、理解できます?」


 エイラは男どものアホ面をみて心配そうに一応聞く。


「??? うん? まあ、そ、そのぉ? ボクくらいになるとわかりすぎて一周半回って逆にわからないみたいな???」

 鈴木の発言を聞いてエイラはかなりわかりやすく一言で説明する。


「普通の人よりもすごい造られた人間なんです」

「分かってたしィ! ぜんぜんわかってるし!?」

「すーさん、うるさいよ」

「うぃす」

 天汰にピシャリと言われる。こうなると仕方がないので鈴木は静かにしておく。



「人間強化でも強化人間でもどっちでもいいけど、とりあえず情報士がすごくて、なかでもエイラちゃんみたいな『舞姫』はヤバいってのはわかったよ」

「あ、天汰さんのその理解でいいです」

「フゥン……」

 天汰は鈴木にドヤ顔をする。


 素直にうざいと感じたので右手をVの字にして両目に突き刺した。

「んんんンンノォオオオオオオオオオオウッ!」

 天汰にとって痛みもダメージもないはずだが、精神的にイキナリ目玉を突き刺されるとこうなる。人間が長期の人生生活において自然と覚える目玉を守ろうとする習慣を利用して天汰を攻撃したのだ。もちろん、天汰に『俺は防御チートだからどこにどんな攻撃されても大丈夫』という図太い神経があれば鈴木の騙し討ち的なこの攻撃は通じないのだが(例えば、エイラと対面した時、見えているミサイルを棒立ちしたのがこれに当たる)、戦いの雰囲気でもなく、天汰にとって親しい人物に、なんの予備動作もなく目潰しをされたのだ。流石にそれを天汰に求めるのは酷というものだろう。


 エイラがなにかヤバめな物をみたときの『うわぁ……』みたいな表情をしていたが、なにが見つけたのだろうか、鈴木はその辺におかしなものがないか見回してみたけど特にそれらしいものは見つけられなかった。


「えっと、あの、大丈夫なんですか?」


「君と天汰が戦った時に、天汰はどうだった?」

「あ、なるほど。大丈夫、なんですね?」


「まーそうだな、俺の『人間観測』での人格トレースである程度の方向性を示唆してあげてもいいけど」

 それどうやるんだよ、と天汰は思ったが、いまだに目つぶしの心のダメージから抜け出せてない天汰は声を押し殺す。


「ぜひ、お願いします!」

「オーケイ、じゃあ明日に間に合うように急ピッチでやってあげよう。あ、悪いけど天汰、これ割と深層心理とかマインドコントロールとか若干ソッチ系の見られてたら集中できないやつだからお前外に出とけ」

 と、鈴木は天汰を蹴り飛ばす。


「うおぉお!?」

 ダメージはなくとも押されれば飛ばされる。あわれ天汰は部屋の外に締め出されるのだった。


(アイツいつかマジでぶん殴ってやる)

 そう固く心に決める天汰であった。

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