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異世界冒険記  作者: 九重九十九
新異世界編
54/69

くしゃみをしたときとっさに顔を横に向けるけど、そっちに人がいたとしても俺は悪くない

「ぶえっくしゅん!」

「きったねぇ! こっち向けてするな」

「ハハン、悔しかったら防御でもしてみろ」

「敗者があてつけで嫌がらせとか(嘲笑)」

 風邪気味の鈴木と、健康体の天汰は今日も仲がいい。

 とりあえず二人は朝食を取りに、食堂へと向かっていた。


 食堂は、二人にとってあまり違和感はなく、普通の食券を選んでそれを渡すようなものだった。懸念事項はお金が必要かといったところだったが、ここの職員が自由に好きなものを食べれるようになっているようなのか、お金はとらないみたいだ。

 それはこの世界のお金を持たない二人にとってはラッキーと言えることだった。


 鈴木はカレーの、天汰はナポリタンの食券をそれぞれ提出する。

 しばらく軽口を叩き合いながら、それぞれ料理が来るのを待つ。


「ん、あれ」

 何となしに食堂を見回していた天汰だが、ひとり、研究者と軍人に混じって明らかに浮いている少女を見つける。

「あ?」

 つられて鈴木も少女を補足する。


「お、可愛い子やん」

「そうじゃなくて、研究者と軍人の中に年端もいかない子供がいるのはおかしくないか?」

「あの子が『普通の子』なら、な」

「あ、すーさん!」


 鈴木は料理も待たずにテーブルにポツンと座っている青白い髪の少女に近付く。


 ――まずは、フランクそうに、それでいて少し得体の知れない不気味さを演出するために。

「よ、こんちゃー」

 鈴木はあえて正面の席に座った。


「――第一に、誰でしょうこの平和ボケした顔の人は。第二に、研修中の行動にこんなアクシデントは聞いていません。第三に、なんか馴れ馴れしいです」


「わーお、超独特のしゃべり方だね」

「実は、個性を出すために頑張って考えました」

 まさかのキャラ付けのために自分で考えたものだった。


「ですが、なんか私の雰囲気と違う気がしてなりません。もっと味のあるキャラクターを考えようか迷っています」

 少女は表情を変えずに試案する。


「いや、君は素の方が素敵な気がする。下手にキャラ付けする必要もないよ」

「――ナンパでしょうか?」

 やはり少女は表情を変えずに首を少しだけ傾ける。


「すーさん、料理取ってきたよ。あと、置いていかないでくれ」

 天汰がカレーとナポリタンの皿を持ってきてくれる。


「おーサンキュー、タイミングよく離れて天汰に取ってきてもらおうと考えていたのがこうも簡単に成功するとは」

「テメェわざとか」


「いいじゃん、俺はほら、席キープしてたし」

「――いえ、この席は私がキープしていたものです」

少女が口を挟む。


「一人でテーブルひとつ使うってのか、俺らにも使わせろよ」

「まあ、構いませんが……」

「ありがとかわいいお嬢さん」

「――やはりナンパですか?」

 少女は自分のうどんをすする。


(まあでも、この子が――っつっても十中八九そうなんだろうけど、件の『舞姫』なら、ナンパでもいいのかもしれんけどな)

 なんて思いなおす。

 一瞬、アイリスの睨んだ顔が思い浮かび、なぜか背筋に悪寒が走った。

(何故ェ!?)


「じゃあ、お言葉に甘えさせて」

 天汰は鈴木の前にカレーを置いて、自分は鈴木の隣に座る。


「俺は天汰。こっちはすーさん。よろしく」

「はあ、よろしくされます」

 ズルズルとうどんをすすりながら少女は答える。


「お二人はどちら様でしょう。研究所のサーバーにアクセスしましたが該当データがないです。不審者ですか?」

「昨日ここに来たばかりだからね、データがないのは不思議でもないでしょ」

 鈴木がカレーにスプーンを刺しながら答える。

(つーか、その前にサーバーにアクセスって、どうやって? 見たところインフォンみたいな端末をいじってる様子はなかったけど)

 疑問が浮かぶが下手なことは言わない。ほんの齟齬一つで怪しまれてしまうのは明白だからだ。


「では、あなた達がこちらに亡命してきたという情報士ですか」

「ま、そんなところ」


「そうですか。お手合わせ願いたいですね」

 少女が、その年齢に見合わなそうなことをいう。


(なんで俺が関わる年下系女の子は戦闘系ばかりなんだろうか)

 クラリアに始まり、アイリス、そしてこの子とそんなのばかりだ。とりあえず鈴木は、

「いいよ、天汰が相手になるから」

 丸投げしておいた。


「はあ? ふざけんな」

 とか聞こえたけどきっと気のせい。


「――では、午後から調整をするのでそのあとでよろしくお願いします」

 少女は半分くらい残っているうどんを持って、「ごちそうさま」とどこかに行ってしまった。


「なんか、午後から手合わせすることが決まったな」

「マジで言ってるの?」

 天汰はげんなりとした顔でカルボナーラを口に運ぶ。


「いいじゃん。君は攻撃食らわないんだし、あの子の戦闘データもほしいし」

「いくら守りが固くても俺には攻撃手段がないんだが」

「素手でいいじゃん、君強化されてるんだしさ。まあ、何とかなるもんだよ? ガンバ」

「ファッキュー」

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