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異世界冒険記  作者: 九重九十九
新異世界編
50/69

少しはこの世界の『世界観』が見えてきた気がする

「天汰? IOSってなんぞ?」

「あれだろ、携帯のやつ」

 先行する天汰は振り返ることなく答える。


「それはこれだろう?」

 鈴木はインフォンのメモ帳を開いて『iOS』と書く。


「俺が言ってるのは全部大文字のコレ」

 続いてメモ帳に『IOS』と書く。ちなみに天汰は見ていない。


「実はさ、さっきからこの世界のことを調べているんだけど。インフォンみたいな機械があるから技術力が高い世界なんだろうなぁとは思っていたんだけどさ、人造人間造って戦わせているような世界だったわ」

「サイボーグか」


「いや、そんな感じじゃなくて遺伝子操作とかそっち系みたい。もちろん銃持たせたり戦闘機のパイロットとかにもしているらしい。で、あとこの世界特有? の『物や空間の情報解析技術』とそれを元にした『IOS』という技術があるらしい」

「へぇ」

 鈴木はインフォンで調べたことを共有する。


「つーか、IOSってなんだよ、どういう意味だよ何かの略か何かかよ! そもそも物や空間の情報解析ってなんだよ、成分の解析とか湿度とかがわかるって意味か! 訳わからんわ!」

「まあまあ」

 突然ヒートアップした鈴木を天汰はなだめる。


「いつものすーさんらしくないぞ、確かに情報不足で不安になるのもわかるけどさ」

「逆にお前はなんでそこまで落ち着いている訳? ペルウィーンでは時間がなかったからそのままにしておいたけど、君のその防具のこと、全然わからないからね? 例えば肩代わりの制限は? どこまでダメージを受けられる? 受けたダメージは蓄積するのか、しないのか。もし蓄積するとしたらそれは薄れていくのかいかないのか! 単発ずつのダメージは大丈夫だったけど、連続したダメージには対応できるのか! 調べることはたくさんあるんだぞ!」


「まあまあ、落ち着て。声がうるさい」

 ここで天汰は初めて振り返る。

 振り返るとき、天汰は目の端にキラリと何かが光るのを見つけた。


(ん、今のは何だろ――)

 ブァアン! 大きな音とほぼ同時に天汰の脳天に強い衝撃がきた。

 衝撃で天汰の体は倒れる。


「天汰!」

 突然のことながら、狙撃の文字が鈴木の頭に思い浮かぶ。

 倒れこむように地面に伏しているかもわからない狙撃者を探す。が、ジャングルということもあって見つかるものではない。


「天汰! 大丈夫か!」

「いたたたたた、あー、びっくりした。大丈夫、ちょこっと痛かったけど、全然大丈夫」

 天汰は鈴木と同じように地に体をつけたまま鈴木に近寄る。


「痛みは!?」

「ほんの少しだけ、でも全然大丈夫」

 と、天汰は言うが、鈴木はそうは思っていない。


「お前は元々強靭な体になった上に防具の性能でかなりの防御力を持っているんだ。防御力以下のダメージは痛みなんて感じるはずがない。人が死ぬレベルの攻撃(鈴木が前に銃弾を撃ったこと)を痛みすら感じないお前が、少なくともちょっとは痛かったと言うんだ。狙撃の攻撃力は相当なものだぞ。ここは一旦引くぞ、匍匐前進で逃げよう」


「すーさん、攻撃はあっち側から来た。で、ジャングルで障害物がある中撃ってきたんだ、だから狙撃者はきっと近くにいる。俺がすーさんを肩代わりして二人で同時に襲い掛かれば狙撃者を倒せるんじゃないか?」


「確かに、そうかもしれない。だけど、さっきも言ったようにお前の防具は分からないことがまだ多いし、この世界の法則がお前の防具に通用するとは限らない。それに狙撃者が一人だけとは考えにくいし、ここはやっぱり引くべきだと思う。臆病な選択かもしれないが、情報不足の現状、これだけは譲れない」

「わかった。俺はすーさんの言うとおりにするよ」

 と、天汰はアッサリと鈴木の言葉を通す。


「すまんな」

「いいって、すーさんのいいところはそのシビアは考え方なんだから。言われてみれば一理あるようなこと言ってるのは間違いないんだし」


「そうか、そんなたいそうなことは考えてないんだけどな。まあいい、とにかく今は逃げるぞ、あっちから狙撃されたって言ったな。ならこっちのほうに――」

 と鈴木が言っているところに何かが降ってきた。


 それは、鈴木たちの世界にもあって、しかし実際に実物を見たことはない投げる消費武器だった。


「手榴弾だ――――!」

 おそらく、この至近距離でも天汰の肩代わりで鈴木は傷つくことはないだろう。だけど、理解よりも先に恐怖が動いた。


 手榴弾から逃げるように、体を起こし手榴弾を背に向けて走り出す。その時に「いたぞ!」だとか「逃がすな、追え!」という声とババババババババという短期間にバという重音が聞こえる、ソレがアサルト銃のフルオートだろうと思いつくのはそう時間がかからなかった、それを聞いて、(ああ、やっちまった)と鈴木は思った。


「ちょお! 俺を置いて逃げるなよ!」

 ドゴォン! という爆発の中から天汰は鈴木を追走する。


「スマン天汰やっちまった!」

「君の立場(しじだしやく)ではソレやっちゃいけないと思う!」


 近くの細木や地面に銃弾が撃ち込まれる中、二人は後ろをチラリとみる。ジャングルの迷彩を施した服、構えているのはライフル銃。それが何十人と二人を追いかけてきていた。

「天汰! 追ってきてるぞ!」

「んなことは分かってるよ! いいから足を動かせ! 俺でも守り切れんぞ!」


 先ほど鈴木が言ったように、情報不足な今、『防具の限界』と『この世界の法則・攻撃・天汰の防具に反応しない攻撃がある可能性』など、広い可能性を考えて行動しなければいけない。わずかながらも天汰の無敵の防御を抜けてくる攻撃があるかもしれないのだ。

「うぉお!? いま顔の横掠めた! いま顔の横掠めたって!」

「いいから走れぇええええ!!」


 この数十分後にバカ二人は、迷彩服着きてライフル銃持った人たちに捕まった。


 ・ ・ ・


 狙撃者は不信感を抱いた。


 今回、狙撃に使用したのは対情報士向けの特殊な銃弾だ。これは舞姫級以外の情報士のIOSを受けないような特別なものだ。


 つまり、弾丸にIOSはかけられない。撃って、当たりさえすれば致命傷を与えることができるのだ。

(情報士に常識が通じないのは理解している。でも、これは……おかしい気がする)


 狙撃者は最初、ターゲットの一人を撃った。もう一人のターゲットは狙撃に気が付いたらしく地面にしゃがんで狙撃から狙われにくいようにした。そればべつにいい、仲間が投げた手榴弾に反応して走り逃げたので結局見つけたわけだからなんの問題もない。


 問題はその後に撃たれたはずのターゲットも手榴弾から逃げ出したことだ。

 仮に銃弾が頭蓋骨にうまい具合に当たって弾丸を滑らせて生きながらえたとしても、頭にあのダメージをうけてすぐに動けるのはあまりにもおかしい。


 その後、二人のターゲットは仲間たちが捕まえたらしいのだが、この時、狙撃者は『始末』ではなく『拘束』なのはおかしいとすぐには気が付けなかった。

投稿する話を盛大に間違う。

すいません、これが正しいほうです。

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