表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界冒険記  作者: 九重九十九
新異世界編
49/69

サバイバルはNG

 インフォンとは何ぞと思っていた鈴木だが、慣れれば高性能なスマホと何ら変わらないものだと気が付く。最初こそ操作に戸惑っていたが、割と便利なことに気がついた。


「お、やっぱりGPSみたいな機能があるな。地図アプリと連動させて……よし、島の全貌と現在位置がわかった」

「いいね、やるじゃん」


 ジャングルを歩く鈴木と天汰。先頭を天汰に任せて鈴木はその後ろをインフォンをいじりながらついてゆく。そのせいで歩いているうちに二回ほど転んだが、擦り傷程度の怪我をしてしまった、本人は気にしていない。


 インフォンをいじらずに前方警戒をしながら進む天汰にとりあえず得た情報を共有しておく。

「島の大きさはそこまで大きくないっぽいな。尺度がこれだから、えーと、最大全長が二十キロほど、楕円形の小島って感じ。後でまた地図の見方おしえるけどこんな形」

 鈴木は天汰に画面を見せる。


「ふうん、なるほどね。この矢印が俺たちの場所か」

 赤の矢印のマークの上に現在地と書かれている。


「たぶんそうだと思う。で、俺たちとはちょうど反対側にあるこの怪しげな建物。多分これが研究施設ってやつだと思う」

 現在地からちょうど島の反対側の建物を指さす。


「これで目的地が分かった訳か。よかった、闇雲に探し回るなんてことにならなくて」

 天汰も一安心だ。


「けど、このジャングルだと丸一日歩き続けないと二十キロは進めないね」

 別に傾斜がすごいとか、かなりの悪路だとかそういう訳ではないのだが、舗装されていないというだけで非常に歩きづらい。

 身体強化がある天汰はまだいいだろうが、鈴木は特別な能力やボーナス、アイテム等がある訳ではないので、一日かけて二十キロ歩くのは正直しんどい。


「二日くらいに分けて歩こうぜ、俺の身が持たない」

「それでも俺は構わないけど、その食料とかどうする? 馬車に食料はあったと思うけど、その馬車がどこに行ったのかもわからないよ?」


 天汰の発言で鈴木は食糧問題のことを忘れていたことを思い出して、舌打ちをする。


「あー、ソレもあったか。クッソ、こればっかりはどうしようもないな。ああ、クソ!」

 苦々しい表情で、地面の土を蹴り上げて八つ当たりする。


「すーさんちょっと飛んできたんだけど」

「スマン。だけど、食糧問題か。一応、策は思いついたけど」


「お、さっすがー」

「GPSで場所わかってるんだから島の名前も調べればすぐわかる。インフォンで島の名前と食べられる物で検索かければいいと思ったんだけどー、調理ができないんだよなぁ」


「あー、なるほどね」

「こういうヒモジイ思いしたくなかったから南地区で火事場泥棒したのに、あークソ!」

 鈴木のように考えて行動するタイプは、自分の想像を超えるような不測の事態においてかなり弱い。現に天汰は、ここまで鈴木が荒れているのを見たことがない。ので、それを指摘する。


「すーさんがそこまで声をあげるのって珍しいね」

「そらな。訳わからん状況で情報不足な環境に放り出されて丸一日歩かなきゃならんのにまともな食い物が全くないんだからそらそうなるわ!」


「確かに、そうだね」

「逆に、天汰がそこまで平常なのが意外だったな」


「そこはアレだよ、パニくってる人を見ると逆に落ち着くというかそんな感じ」

「ああね。なるほど」

 納得した。


 ところで、鈴木は天汰が警戒しているだろうと思って自分では全く周囲の警戒をしていなかった。天汰も、鈴木の用心深い性格を知っているので今も警戒しながら話をしているのだろうと思い込んでいた。

 だから、いつの間にか二人を取り囲んでいる軍人たちに全く気が付くことができなかった。


 ・ ・ ・

 数十分前。

 研究施設ではジャングル内に仕掛けたカメラにいるはずのない人間をとらえていた。


「これはどういうことだ?」

 施設防衛を任せられている軍隊長は施設の研究員を睨む。

「俺の記憶が正しいならこの島には月に一度の俺らの仲間が乗ってくる輸送ヘリに乗ってくるしかない。しかし、俺らにはこんな奴らを乗せてきた記録はない」


「我々にしても、驚いているところです。この島にはIOSジャミングを掛けているからIOSを使った上陸は不可能のハズです。我々はまずあなた達の裏切りを疑ったのですが、その様子では裏切った訳ではないようですね」

「あたりまえじゃないか! 舞姫計画は我が国の勝利のため絶対必須なのだぞ! 軍人としては不甲斐ないが、舞姫なしでは戦争もできない時代なのだ」


「軍隊長どの、我々研究者としても舞姫が必要なのはわかります。目下あのカメラに映る少年らが何者かはまだわかりませんが、今は早急に手を打つべきだと具申しますが?」

「そうだな。対『情報士』用の装備で奴らを殲滅する」


 軍隊長は研究員にいいか? と目で訴える。

「はい、お願いします」

 研究員も軍隊長にお願いする。


 研究員もこれで一安心である。

(どうやってIOSジャミングのなかでやってきたのかわからないが、二人とも男型、少なくとも敵国の舞姫ではないことは確か。舞姫ではないのならここの防衛軍が負けるわけがない。とりあえずこれで一安心だ)

 この時は心からそう思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ