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異世界冒険記  作者: 九重九十九
ペルウィーン国編
43/69

ジルの決心

 さて、鈴木、大和、黒石とギルド嬢の四人は馬車および関所から離れて崩れた家々が並ぶ道を歩いていた。


「さーてー、しかし、この辺は激戦区だったんだな」

 死体はもう生ごみのレベルまでいっており、鈴木はたまにぐにっとした『元人間のパーツ』を何度も踏んづけている。

 鼻がマヒするほどの強烈な臭いはもう慣れてしまっていた。


「すーさん、『比較的形状が無事な建物』なんてもうこの辺にないんじゃない?」

 並んで歩く大和が鈴木に言う。


「そうかもなー、アテが外れたかもしれん。あんまり長居するのも見つかる可能性もあるし、この辺で見切りをつけた方がいいのかもしれんな」

「ねえすーさん、本当にここ何があったの!? 流石にこの死体のありようは異常だよ!」

「はいはい、黒石くんは黙って使えそうな物がないか探してどうぞ」

 鈴木の優しさなのだが、記憶にない黒石にとっての鈴木のこの反応は不信感を高めるだけである。それは鈴木も気が付いているのだが、だからといって本当のことを言う訳にもいかない。


(しかし、これはもう食料品は絶望的だな。大和が崩れた家を片付けるのもどれだけ時間がかかるんだって話で現実的でもない。完全な無駄足だったな。少し欲張りすぎたか)

 思うに鈴木は反省する。

 これからは不確定事項の決定にもう少し慎重になるべきだと思った。


「ああ、鈴木さん! アレなんかどうでしょう!」

 と、指さして遠くに見える崩れた――しかし、他と比べれば比較的マシな家を教えてくれたのは名前は分からないギルド嬢だ。

 最初こそ火事場泥棒行為に反対的だったが、恐らくそういう性格なのだろう、探し始めると一番熱心に辺りを見回していた。


 鈴木はギルド嬢の指した指先を見詰める。

「お」

 半壊してはいるが、建物の半分がきれいに残っている。

「いいね、アレを見てみようか」

「はい!」


 ・ ・ ・


「……そうか、ホーリィとニーナもやられたか」

 風精霊からの連絡を受けたジルは、ふうと溜息をつく。


(誤算だった。いや、計算に入れたくなかったのかもしれない。あのガキ共、次々と戦局を変えていきやがる。これではフロイターの計画が崩れてしまう)


 別の『アルファリエンス』の情報で東地区は完全に押し返されたとの情報も入ってきた。生き残りを南地区に下げているとのことだが、これ以上押されるとこちらももう後がない。


(西地区は完全に抑えた、南地区も邪魔な冒険者はもういない。西地区から大軍を率いていけば南も取れるだろう)


 最初『アルファリエンス』が優位に思われたこの戦いだが、気が付けば北と東はギルド側に、西は『アルファリエンス』が押さえて、南は東の残党と西から部隊を出せば何とか取れるだろう。

 いつの間にか戦況は半々になっていた。


(もともと『アルファリエンス』の主戦力がオレ達『クナスナイル』なんだ、『アルファリエンス』の人間は戦えないこともないが一騎当千級のやつなんて早々いない。せいぜいあのじいさんやマッドサイエンティストが関の山って所だろう。なら最初から期待しないでいたほうがいいか)


 ジルはひとつ決心を付ける。

(オレが、あのガキ共を始末する)

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