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異世界冒険記  作者: 九重九十九
ペルウィーン国編
42/69

関所にて、別行動

 死体散らばる南地区を一台の馬車が走る。


「大和ー! そろそろ外に出る門が見えてくるはずだー!」


 なんやかんやあってレナントロジーの地図を大体頭に叩き込んだ鈴木が、馬車を操る大和に指示を出す。


「おう! もう見えてるぞ!」

「よし! 近くまで来たら馬車を止めろ!」

「わかった!」

 大和は返事をして、再び馬車の操縦に意識を戻す。


「さて、馬車が止まったらクラリアとアイリスちゃんは左右に展開して周囲警戒。天汰は馬車に残りつつも全員に肩代わりの設定を掛けてくれ。で、黒石は……お前魔法使えるん?」

 報告では聞いたものの、実際に黒石が魔法を使っている所を鈴木は見たことが無いので未だにマイフレンドが魔法使い(三十歳過ぎて、の意味ではない)になったのだと信じがたい。


「うん、何故か魔力が結構減ってるけど、まだ魔法は普通に使えそうだよ」

「ほう」


 地区ひとつ壊滅させるだけの魔法を使っておきながら、まだ魔法が使えると黒石は言う。

 なんとなく、話しの流れでギルド嬢は黒石が南地区を壊滅させた張本人だと分かっていたので、これから更に魔法が使えると言う黒石に驚きと恐怖を同時に感じる。


「ん? どうかしましたか? 気分でもすぐれませんか?」

 ギルド嬢の表情の変化に気付いたクラリアが声を掛けるが、

「い、いえ、なんでもないです」

 とギルド嬢は引きつった笑みで返すだけだった。


「で、どんな魔法が使えるんだ?」

「僕が使える魔法はまだひとつだけなんだけど、触れると爆発する炎の球をだす魔法なんだ」

「へえ、爆発ねぇ。使い勝手は悪そうだけど、まあパワーゴリ押しで脳筋プレイするにはいい感じか」


 そんな黒石に天汰がそれとなーく一言。

「あー、黒石? その魔法、近くに味方がいる時に使うなよ?」

「そりゃもちろんだよ! この魔法は、戦闘では役に立つ場面は多いみたいだけど、範囲が広いから前線に人がいない時にしか使うなってニーナさんにも教わったし」

「ふぅん……」


 なんとなく微妙な空気が流れそうになった所で、丁度大和が大声で話しかけてくる。


「そろそろ馬車を止めるよ!」

 その言葉の通り、馬車のスピードは徐々に遅くなってゆく。


「はい、二人とも外へ。ぼさっとすんな、完全に止まってから出るなんてスナイパーからすれば撃ってくださいと言ってるようなもんだ、ほい早く! 天汰、もう肩代わり設定は済んでるか? できるか分からないが、馬車本体と馬にも肩代わり設定しておけ。最悪体が頑丈な大和の肩代わりはしなくていい、大丈夫バレはしねーって」

「オイこらクズ司令塔! ちゃんと聞こえてんぞ!」

 外から雑音が聞こえてくるが鈴木は気にしない。


 鈴木の言うことも一理あると思ったクラリアとアイリスは、まだ緩やかに動いている馬車の両扉から飛び降りる。

 綺麗に着地するアイリスと、着地の衝撃を転がってしっかり受け身をとるクラリア。ここら辺にヴァルキュリーであるアイリスと、ただの人間であるクラリアの差が出ていたりする。


『あるじ、みたところ敵影はないです』

『こちらクラリア、私の方も敵を見つけられない』


 さっそく二人は通信機で鈴木に連絡を飛ばす。


『ほいほい、了解。一応、このあと敵が湧いてくる可能性もあるから、警戒を続けてくれ』

『はい』『了解しました』

 それぞれ返事をして、二人は与えられた仕事(にんむ)を続ける。


 馬車は次第に動きが緩慢になっていき、そして止まった。


「さて、と」

 鈴木は開けっ放しの扉から馬車を降りる。

 鈴木と、後から降りてきた天汰たちは、関所の大きさにまず驚く。


「いやあ、扉でっけーな」

 北地区の関所はこれほど大きくはなかった。


「多分これアレじゃないかな。前にアイリスちゃんが言ってたじゃん、外側に行くほどモンスターが強くなっていくってやつ。北より南の方が強いモンスターがいるんじゃないかな?」

 天汰が憶測でいうが、実はその通りだったりする。


「でさ、すーさんこの扉どうやって開けるの?」

 馬車の操縦席から大和が問いかける。


 扉は金属製(なんの金属かは鈴木達の知識ではわからない)で、見た感じ分厚そうだ。ちょっとやそっとの攻撃ではこじ開けることはできないだろう。


「考えてなかったけど、お前らみたいな力自慢に黒石の爆発魔法があるんだ、どうとでもなる」


「守門を壊すつもりですか!」

 ギルド嬢が声を張り上げるが、やっぱり鈴木は相手にしない。


「なんて恐ろしい……そんなことをすればモンスターがペルウィーンに入ってくるじゃないですか! もしそうなったらペルウィーンはおしまいです!」

「今現在進行形で終わりに向かっている国があるらしいぞ」

 皮肉を飛ばしながら鈴木は次の行動を考える。


(さーて、北地区からここまでで半日か)

 いつの間にか、空は赤みを帯び、夕方になっていた。

(ここからの事を考えると、まあ、一日分の食料を確保しておいた方がいいか)

 考えはまとまった。


「よし、決まった。天汰」

「おう」


「お前はクラリアとアイリスと一緒にこの場所を死守。何があっても馬車を壊されるなよ」

「わかった。すーさんはどうするの?」


「残った他の面子は火事場泥棒で食料品とか金目の物を集める。食料はそんなに多くなくてもいい、一日分あれば十分だ」

「火事場泥棒ね、あんまりいい気はしないけど、必要なんだろ?」


「最悪一日メシ抜きでもいいんだけど、その後がちょっち厳しい。この国は当分ダメになるからとりあえず他の国に行くんだけど、行った先の国で金がなければどうにもならんからな」

 ちなみにこの時鈴木は、アイリスにお金を持たせていることなどすっかり忘れている。


「そうだな。いや待って、他の国に渡るって結構長いこと馬車を走らせるんじゃないのか? 一日分の食料でなんとかなるのか?」

「一応なんとかなる、ハズ。ここから一日離れた所に『ラナーシャ』という国があるみたい、この国の避難民もそこに行くみたいだから、そいつらについて行けば道に迷うこともない」


「なるほどね」

「じゃあ、そういうことだからここの守りはナイト様にお任せするわ。おう大和! いつまでそこにいるつもりださっさと降りてこい」

 鈴木は『自分関係ないですわー』といった顔の大和に呼びかける。


「貧弱もやし系司令塔と爆破マンとなんかよくわからんけど足引っ張りそうなやつの三人じゃパーティー構成ガバガバすぎる。普通にお前が攻撃の要として必要だからはよこっちにこい」

「マジで? 俺必要?」

「おう、だからはやくそこから降りろ」

「よし、じゃあ俺がみんなを守る!」

 単純馬鹿を調子つかせると、魔法職二人に向き直った。


「バカがヘマしたらフォローはお前らがするんだからな?」

 黒石とギルド嬢の二人は分かりやすく嫌な顔をした。

今後ギルド嬢の扱いどうしようかなー、連れてくるつもりはなかったんだけどなー……

名前すら決めてぬい……

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