足が痺れている時に触ってくる奴ってマジなんなの?
「うぅ」
沈んでいた意識が、徐々に鮮明になっていく感じがする。
「う、なんか頭がズキズキ痛い」
何か殴られた後のような、そんな痛みを感じながら黒石は目覚めた。
「オラ吐けよ! どこかに隠しているんだろ? そうなんだろアァン?」
目覚めてまず目にしたのは、地面に正座させられているエルフ兄弟と、二人を恐喝している鈴木の姿だった。
「何してるのすーさん!?」
ある意味で今までで一番の目覚めの良さだった。
よくよく見てみると、天汰、大和、クラリア、アイリスと仲良し少年少女隊は全員そろっている。それと、初めて見る桃色の女性もいた。
「あ、あるじ! 黒石さんが目覚めましたよ!」
最初に黒石の目覚めに気が付いたのはアイリスだった。
「マジか! 白石!」
「ブラックストーン!」
「マコちゃん!」
「よしお前らそこに並べ、ケツビンタしてやる!」
なかなか元気なようでなによりだ。
クラリアは三人が黒石に駆け寄るなか、ちゃんとエルフ兄妹を監視していたが、やっぱり意識を取り戻す黒石を見て安堵する。
(ちゃんと手加減できたようですね、ほっとしました)
改めて黒石は周りの様子を見渡す。
「えっと、なんか建物がボロボロで、その……グロッキーな感じの『人形』がそこらじゅうにあるんだけど」
せめてもの現実逃避に、死体を人形と言ってみる。
「気にするな、ただの背景だ」
「うん。いつもなら反論するけど、ちょっと精神衛生上今は背景だと思うことにしておく……」
珍しく鈴木の言うことを聞いておく黒石。
「それで、この状況ってなんなの?」
「お前憶えてないのか」
「ごめん」
鈴木は考える。
(まあ、普通に考えて南地区ぐちゃぐちゃにしたのは黒石の魔法だろうな。けど記憶が全くなさげだし。まあいらんこと言わないようがいいか)
そう判断して、通信機を通してみんなに操られていた間のことは誤魔化せと指示を出す。
「まあ、もう終わった事だし気にすることはない」
「そ、そう?」
「とりあえずお前はみんなに心配かけたから後でケツビンタな」
「ナゼェ!?」
とりあえず誤魔化した感じの雰囲気になったので、鈴木は黒石から離れて、再び正座中のエルフ兄妹に向かう。
「でまあ、黒石も目覚めたことだしぃ、君らの中に少しでも罪悪感があるんだったらそろそろ教えてくれてもいいよねぇ?」
ねっとりとした言い方で、並んで正座するエルフ兄妹の周りを歩く。
「えいえい」
長時間正座してびりびりに痺れているであろうホーリィの両足を鈴木は足で突く。
「――ググゥ!」
「兄さん!」
「あんたもだよニーナさんよぉ!」
鈴木は兄を心配するニーナの後ろにしゃがんで、正座で痺れているはずの足を両手でリズミカルに突く。
「ふぁ! や、やめなさ――ん、ふにゃああああああああああ!」
獣人族のような叫び方で、たまらずニーナは前に倒れ崩れる。
「ハァ、ハァ、む、むりぃ……」
息を乱れさせて、痺れた足をビクビクさせる。
「さー、これ以上痺れた足を触られたくなければ、お前らが使っていた馬車の場所を早く教えろ」
「言う! 言うからこれ以上妹をいじめないでくれ!」
鈴木の記憶する中で、初めて声を荒げてホーリィが言った。
「えっと、これってすーさんは一体何をしてるの?」
どうもまだ状況を理解できていない黒石は、近くにいた大和に聞く。
「えーと、多分拷問?」
更に訳が分からなくなる黒石だった。




