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異世界冒険記  作者: 九重九十九
ペルウィーン国編
35/69

南地区へ

 壊された馬車はもう使えないということで、ギルスが新しい馬車を向かわせるのを待って、天汰とクラリア、それと前の馬車で一緒だった大男と魔法使い。そして馬を操る桃色の髪のギルド嬢の五人は南地区へと向かった。


「ヨォ、ボウズ。聞けばお前の魔法具のおかげで俺達は助かったみたいじゃねぇか」

 揺れる馬車の中で大男が天汰に話しかける。


「別に俺は油断をしていた訳じゃない、だが馬車が崩れるなんて考えもつかなかった。こうして五体満足にいられるのはお前のおかげだよ、助かった」

 大男は頭を下げる。


「い、いえ、気にしないでください。助けたのもとっさに俺が勝手にしたことですし」

「僕からもお礼を言いたい。君が助けてくれたおかげで僕は南の仲間を助けに行ける。ありがとう」

 不健康そうな魔法使いも、殊勝な態度で天汰にお礼を言った。


(この人、悪い人ではなかったんだな)

 前の馬車の態度の変わりように天汰は少し驚く。

(まあでも、元々仲間想いな人みたいだし、悪い人ではなかったのかな?)


「みなさーん、そろそろ南地区に到着します!」


 外からギルド嬢の大きな声が響く。


「作戦の確認をします! 皆さんは南地区奪還の、また南地区の冒険者との合流のための先行部隊として動いてもらいます!」


 ギルド嬢は自分の頭の中で記憶を反復しながら喋る。


「活動時間は三時間! できる限りの敵性威力偵察、可能なら危険排除をお願いしますが、私達の目的は戦闘ではありません! 可能な限り戦闘は控えるようにお願いします! 私たちはあくまでも敵の情報を本体に伝えるとこが目的です!」


 現状、ギルド側は敵勢力圏の東地区を突っ切って直接南に行く必要はない。なので鈴木は、『偵察』という名目でギルスを説得して天汰達を南地区へと送り込んだ。


 東地区が陥落していないのに偵察を出すのは早急だとギルスは言うが、鈴木としても早く黒石を回収したいのでここは譲れない。結局話し合いの結果、この戦いが終わった後で通信機をペルウィーンギルドに譲るということで交渉を優位に立つ鈴木。もちろんギルスに渡した後でソーマが取りに来るんだろうなと思いながらもギルスはソーマの事を知らないので問題はないハズだと思う。


 お互いに良い取引ができた、Win&Winだねと鈴木は思ったが、これはまた後々禍根を残すような取引だと鈴木は気付いていない。

 いや、もしかしたら気付いていてわざとやったのかもしれないが、その辺は鈴木に聞いてみてもはぐらかされるだろう。


 とにかく、そういったことがあって天汰たちは南地区へと足を踏み入れることができたのだ。


 ・ ・ ・


 少し前。


 南地区に入ってすぐ、建物の陰に隠れて馬車を見送る人影があった。

 魔法使い風の男は呪文を口にして風の精霊を呼び出す。


「あの馬車を追って、行動を監視してくれ」

 風精霊は男の言葉に従い、馬車を頭上から監視するべく男の元から飛び去った。


「直接の戦闘だけが戦いではないことを教えてやるぜ」

 男はクククと笑った。


 そして、ギルド嬢はそんなことに気付かずに作戦内容を話してしまう。

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