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極光のアリスト ~やられたらやり返すが信条~  作者:


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27/32

27 誘惑にも似た

「来たぞ」


 騎士団長の結婚式参列も終わり、騎士団長の妻をムチで打っていた家庭教師は俺が代わりに同じ所をしばいて来た。泣いて謝ってけど、お前がして来た事だぞと、取り合わなかった。


 そんなこんなで今日辺境伯の城に戻って来た俺は、夜に夫の寝室に突撃してみた。今夜は一応女性体でだ! 


「来た……とは?」


 オズヴァルトは寝台の上でビクリと肩を揺らした。ベッドの中で少し後ずさるような動きまでして。ほんとは女が怖いのか? 実は嫌いと言うより怖いとか?



「なんでそんなにビクついてるんだ? 生娘みたいに」


 そんなにでかい体で。


「び、ビクついてなどいない」


 目が泳いでいる。俺は一歩ずつ進む、寝台へと。


「じゃあいいんだな?」

「いいとも言ってない」


「妻なのに? 当然の権利では? 同衾程度は」

「……」

「愛せとは言ってない。心までよこせとは言ってない、多くは期待してない」


 オズヴァルト何故かその瞬間、まるで傷ついたような顔をした。

 同衾を拒まれてるのはこっちなのに?


「……」


 しかし、それ以上来るな。とは言われてないので、布団に入ってやると、くるりと背を向けられた。


 しかし、この程度ではめげないぞ。背中に引っ付いてやる!! ピトッと!

 ここ以外に今のところ行き場もないし。歩み寄りはする。


 別に! もふもふがしたいからじゃないから! いや、やっぱそれはしたいが!



「……っ!」


 オズヴァルトが少し身動ぎした。

 俺は逃がさないように、夫の腰に手を伸ばす。


「逃がさないぞ」


 俺は広くて温かい背中にひっつきつつ、ささやく。


「女の言うセリフではないぞ」


 それはそうかもしれないがな!



「じゃあBLっぽく言うか……俺から逃げられると思うなよ」


 などと、ほざいてみた。



「じゃあってなんだ! ビ ーエルとはなんだ!?」

「ボーイズラブの意味だ」

「ぼーいずらぶ」

「つまり男同士の恋愛的な」


「お前はそもそも女だろう!?」

「どちらにもなれるので」

「ややこしい!」

「……で、どちらを希望する?」


「……どちらも望んでない」

「そんな酷いことを言うなよ、俺の顔かわいいのに」


 女性体のアリストの顔はかわいいのだ。

 鏡を見たらわかる。一目瞭然で。



「自分で言うな。そして問題は容姿ではない」

「じゃあ性格か? 清楚でお淑やかな女が好きだとか?」

「知らん」



 知らんとは、答えなくないって事のような気がするな。



「女性体が嫌なら男性体になろうかな~〜みたいな」

「やめろ……」



 いつもより低い声で言われた。でもめげない。



「服のサイズが違うから今から全裸になります」

「そんなことを知らせるな! いいから黙って寝ろ」




 ……しかし、今すぐベッドを出ていけとは、言われなかった……な。


 背中からつたわる体温が温かいので、俺は結局小柄な女性体のまま……ひっついて眠った。


 窓から入る月明かりに照らされて……朝まで、二人の影は重なったままでいた。



 ◆ ◆ ◆



 ~ オズヴァルト視点 ~



「旦那様、最近は痛み止めを飲まなくて大丈夫なのですか?」


 午後三時くらいに、白髪混じりの痩せた家令が執務室へ飲み物を届けに来たついでにそう言った。飲み物はありきたりな紅茶だ。



「ん?」

「満月の夜の……獣化の後はしばらく体に痛みがあると、飲まれていたではないですか?」

「そういえば……今は痛みがないな」



 俺は不思議に思った。いつもはたしかに獣化してしばらくは体の痛みが続いていたのに、それがない。



「アリスト様の癒しの奇跡でも頂きましたか?」

「魔法のようなものは別に……発動してなかったと思う」



 ────いや、しかし、あの先月の満月では、魔法ではないが、アリストが俺に触れてはいた。

 もふもふとか言いながら、獣姿の私を、恐れる事もなく。


 まさか……あれが効いていたとかいうのではあるまいな?


「左様でございますか、しかし、痛みが無くなったならようございました」



 家令は柔らかく微笑んだ。


 その時、窓の外から笑い声が聞こえた。この城ではこのような笑い声が聞こえてくることは珍しいことだ。

 アリストとその侍女が来てからだ。



 一体何がそんなに笑えたのか俺には分からないが、何かが俺の胸を締め付けた。


 これは獣化の後の、いつもの全身の骨が軋むような痛みとはまた違うものだった。



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― 新着の感想 ―
もともと、真の女性嫌いではないようですね。色々、訳ありでしたか、、お互いの気持ちが大事ですよね。
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