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極光のアリスト ~やられたらやり返すが信条~  作者:


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17 セシル・バロウズ・ダーシャ

 俺は式神と視覚共有をし、まずセシルの様子を見てみた。ちなみにセシルのフルネームはセシル・バロウズ・ダーシャで、ダーシャ家の令嬢ってことだった。


 式神の眼を通して見るとセシルは市場にて誰かに絡まれていた。

 これはいかんと俺はまた男装しマントを羽織り、市場へと飛び出して行った。



「セシル、一体どうした!?」



 路地裏で小太りの男にセシルが二の腕を掴まれている現場に突撃した。男の身なりは悪くはないからブルジョワ階級ではあると思う。



「あ、あの、その」



 セシルは顔面蒼白で涙目となり狼狽えている。



「お前は何者だ、彼女を離せ!」


 まるでヒーローみたいなセリフを言ってしまった。


「わたしは商品の代金を払ってくれと言ってるだけです!」


 男の言葉に俺はセシルを振り返る。


「詳しく!」


 説明を求めた。


「あの、妹が買ったものの支払いが出来てないそうで……」



 姉の方に請求するなよ! そっちはまるで贅沢してないのに!



「先だって妹は新しいドレスを買いに衣装店に来てたぞ!」

「ああっ! またそんな無茶な買い物を!」



 セシルが絶望に顔をますます青くした。



「あいつ金がないなら新しいドレス代をどうやって支払うつもりなんだ!」

「ダーシャ夫人は上の娘のあんたを20も年上の好色貴族に売り払うって話じゃないか、その支度金を貰ったんじゃないか? 使い込む前に早くうちにも払ってくれ。正当な宝石の代金だよ!」



 宝石店の男の言うことが本当なら、あの家族らとんでもないクズだ。だいたい分かってたけど!



「お、お義母さまが私を売り払う!?」

「そうとも、支度金は!?」

「そんなの私は知りません! 本当に!」



 本人の知らないうちに売り払う算段をあの義母はしてたらしい。ギルティすぎる。どんだけあの子を搾取し食いものにすれば気がすむのか。



「ところでセシル、ぶっちゃけて聞くが結局うちに来る気はあるのか、ないのか?」

「い、今、妹達が不在の間に、そちらにうががう予定でした」



 泣きながら言った。そうか、来る気はあったんだな。

 そのタイミングでこの宝石商見つかってに捕まったと。



「おい、宝石商、いくらなんだ? この子の家の支払い金額は」


宝石商ははっとした顔で、


「おい、請求書を出せ!」



 と、慌てた様子で後ろに控えた子分みたいなやつにカバンから1枚の紙を出させた。


「こちらです」


 ……。なるほど。見せられたその紙に書いてある請求書の支払い額は結構なものではあった。

 でも払えなくはない。



「じゃあ俺が一旦この額を払っておく」

「え!? でも」



 セシルが涙目で困惑した。返せるアテがないとでも考えてるのかもしれない。



「元からお前の面倒を見ると決めてたのだから気にするな」

「……騎士様」



 セシルは俺を辺境伯家の騎士だと思ってる。

 しかし今はこいつらの前だし訂正と詳しい説明は省く。



「今は手持ちがないからガルナバーシュ辺境伯のタウンハウス近くの酒場銀の鷹亭に取りに来てくれ、そこに金を持ってく」


 宝石商は急に揉み手をしながら、


「あのう、あなたがガルナバーシュ辺境伯家の者であるという証は?」


 と、問うてきたので俺はシーシャ屋で見せたのと同じ木札を見せた。そしてついでに、


「おい、護衛の二人、紋章を見せてやってくれ」

「かしこまりました」



 ついでに護衛騎士二人のマントと剣の柄と鞘にあるガルナバーシュ家の獅子と剣の紋章を見せた。


「ぬ、これは確かに」

「じゃあこれで証となったな」


「あの、せめてあなた様のお名前をお聞かせくださいませんか?」



 あ。やっぱりいるのか。仕方ないな。

 俺が酒場に現れなかったら困るもんな。



「アリストだ」

「アリスト様ですね、ありがとうございます」



 宝石商達は一礼をして去っていった。

 そしてセシルも、



「アリスト様、ありがとうございました。こんな……私などの為に」 と、頭を下げた。


「などの為なんて言うものではない。己を卑下するな。君は今まで地獄のような家で耐えてきた頑張り屋さんだ」



 励ましたつもりが、その瞬間セシルの瞳から堰を切ったかのように涙が溢れ子供のように泣きじゃくった。

 俺は慌てて自分のマントに包み、泣き顔を隠すようにして胸に抱いた……。



 しかし俺のこの一連の流れ、動きがイケメン過ぎて護衛騎士達二人があなた本来は辺境伯家の夫人ですよね? 騎士とかじゃないですよね? みたいな視線を投げてくる。


 ごめんて。

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― 新着の感想 ―
中世ヨーロッパ、、中にはこうした屑貴族いたんでしょうね。本来は、先祖たちは他国からの侵略に立ち向かい領民を守った功により貴族になった者もいるでしょうけど、世代継承がうまくいかず、どっかの王族も結局は滅…
そういえば夜な夜な繁華街のお店に繰り出しては騎士に連れ帰られていた夫人が居たような? ???「2人目ゲットだぜ!」
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