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攻略対象じゃないと思ったのに、うっかり溺愛ルートに入るようです  作者: 古東 白


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20/21

アレクサンドラ様の謝罪

 

 ここは、王太子殿下の庭園。

 ⋯⋯ではない。


 アレクサンドラ様の魔法で、『少しだけ』場が荒れてしまったので、お茶会が仕切り直される事になった。

 ここは、王太子宮にあるアレクサンドラ様の居室だ。


 壁や調度品など、柔らかな色合いで統一された王太子妃の部屋だ。

 私はアレクサンドラ様と向かい合って、お茶を頂いていた。


「⋯⋯クラリス。本当に、申し訳ありませんでしたわ」


 いきなり立ち上がり、深々と頭を下げるアレクサンドラ様。


「頭を上げてください!」


 私も慌てて立ち上がり、アレクサンドラ様にお願いをした。

 そんな、私たちの様子を冷静に見ていた人物が一人。


「アレクサンドラ様。私が口を挟む事ではないのですけれども。何度も謝られると、クラリスが困ってしまいますわ」


 エレノアが柔らかく微笑みながら、アレクサンドラ様を見つめ⋯⋯目の奥が笑ってない気がするわ。

 フィンも、こんな表情って怒っている時なのよね⋯⋯。


 どうやらカイン様がエレノアに連絡をしたようで、この部屋に案内された時にはすでにソファに座っていた。


 まあ、それはさておき。

 今はアレクサンドラ様の謝罪を受け取っている最中だ。


「でも⋯⋯」


 アレクサンドラ様は、中々頭を上げようとしない。

 私がどうしようか困っていると、エレノアは静かに言った。


「アレクサンドラ様。私の『親友』をこれ以上困らせるのはいけませんわ」


 この言葉にアレクサンドラ様は肩を僅かに震わせた。

 私はアレクサンドラ様の手を取りこう言った。


「もう謝罪は大丈夫です。近い将来には、姉妹になるのですから、お気になさらないでください」

「アレクサンドラ様。悪いと思うのでしたら、クラリスが困った時は助けてあげてください。まあ、私も常に傍にいるつもりですけど」


 エレノアが私の両肩に手を添えた。

 アレクサンドラ様が、顔を上げて綺麗な笑顔を見せた。


「そうね、エレノア。私はこれからクラリスの義理の姉になるのですもの。そこでしっかり守っていくつもりよ。聖女レイリア様に誓うわ」


 今更だけど、母は隣国出身だ。公女であったアレクサンドラ様は当然母とも面識があるわけで。


 それを聞いたエレノアは何故かショックを受けた表情になる。


「な、クラリスのお母様ですって⋯⋯私もお会いしたことないのに⋯⋯羨ましいわ」

「私は、幼い頃のクラリスにも会った事があるのよ」


 アレクサンドラ様は、エレノアに向かって胸を張って答えた。

 エレノアは「ずるいわ!」と頬を膨らませていた。可愛いわね、私の親友は。

 思わず笑ってしまった。

 それにしても、私は――。


「私は⋯⋯お会いしたこと、私覚えてないのですが」

「貴女は小さかったし、人見知りしていたわ。フィニアス殿下も一緒にお会いしていたのよ」


 懐かしいわ。と、くすくす笑うアレクサンドラ様。

 その後、爆弾発言をした。


「覚えているか分からないけれども。クラリスはフィニアス殿下を前にして『まま!わたし、このおーじさまとけっこんするみたい』とお話ししていたのよ」


「⋯⋯嘘、ですよね?」

「あら、嘘なんかつかないわ『わたしがいっしょにいてあげる』って、逆プロポーズしていたわ。子どもの言う事なので、周りは笑っていたけれども。本当になったわね」

「クラリスも、聖女様のような力を持っているのね⋯⋯護衛の数を増やしましょう」


 エレノアまでフィンと一緒に過保護になりそうで怖いわ。

 それにしても、フィンと結婚するなんて予言? 

 小さい頃の私ったら、なんて不敬なことを⋯⋯下手したら首が飛ぶところよ!


「でも、フィニアス殿下のお相手が貴女で良かったわ、クラリス。彼の事も、私とも、これからもよろしくお願いいたしますわ」


 改めてアレクサンドラ様と向き合い、固く手を取り合った。

 エレノアが横から「アレクサンドラ様ばかり、ずるいわ!」と拗ねていたので、親友のハグをして友情を誓い合ったのだ。


「それにしても、フィニアス殿下は今回も穏便に事を収めたのね」


 エレノアが神妙な顔をして私に言った。


「今回もって、どういう事?フィンは、いつもスマートに私を助けてくれるわよ」


 そう言うと、エレノアとアレクサンドラ様が顔を見合わせた。


「「後片付けが大変なのよ」」


 二人は声を揃えて言った。


 仲がいいのね二人とも、何だか妬いちゃうわ。



ちょっとおまけ


クラリス「そういえば、さっきのエレノアはまるでフィンみたいだったわ」

エレノア「いやだわ。そんなに企んでるように見えたかしら?」

クラリス「あの笑い方って、私に怒っている時だと思ったわ」

エレノア「フィニアス殿下はクラリスに怒ったりしないでしょう?」

クラリス「この前、怒ってたわよ」

エレノア「⋯⋯笑ってた?」

クラリス「いいえ?」

アレクサンドラ「フィニアス殿下は、怒ってなくてよ。心配していたのだわ」

クラリス「そうなんですか、気づかなかったわ」

アレクサンドラ「フィニアス殿下も、まだまだ修行が足りないわね」

エレノア「カインにいつもニコニコと笑っているでしょう?あれは何か企んでいる時よ」

クラリス「え、いつもカイン様にニコニコと笑っているわよ。羨ましいわ」


エレノア・アレクサンドラ「「(絶対無茶な命令しているんだわ)」」


――その頃のカイン、王太子殿下の居室――


カイン「へーくしゅ!!」(正座中)

王太子・フィン「「床を汚すな」」

フィン「カイン。お前がエレノアに連絡したから、クラリスと離れただろう?」

王太子「サラも向こうのお茶会に行ってしまった。余計な事をしてくれたな」

カイン「いや、でも⋯⋯(連絡しないとエレノアに怒られるし)」

王太子「サラを慰める手筈を整えていたのに(ため息)」

フィン「兄上、奇遇ですね。俺もクラリスを甘やかすつもりだったのに⋯⋯カイン」

カイン「⋯⋯はい(嫌な予感)」

フィン「最近働き詰めだったからな、休暇をやろう」

カイン「本当ですか!?」

フィン「ああ。お前の師匠に連絡を取っておいた、思う存分修行してこい」

カイン「は、え?休暇なのに修行⋯⋯ですか?」

フィン「休暇は、効率よく使わないとな。普段は仕事と学業で鍛錬が上手くできないからな(笑顔)」

王太子「良かったなカイン(笑顔)」

カイン「(笑顔怖えええ!)」


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