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攻略対象じゃないと思ったのに、うっかり溺愛ルートに入るようです  作者: 古東 白


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11/12

俺が見つけたもの(推しとの出会い:フィン視点)

クラリスとフィンとの出会い。

フィン視点です。

 

 側妃の産んだ息子である、第三王子の俺は常に命を脅かされていた。


 母方の血筋にあたるエレノアの家は、闇魔法を得手としている。

 王家に忠誠を誓い、諜報や暗殺などを裏で引き受けていたのだが、当主の妹が嫁ぎ先で不審死を遂げた。

 これは、王家から一族への裏切りとも取れる出来事だった。


 よって、俺は一族から支援を受けて王家への復讐を、と期待されていた。


 母上が亡くなったのは悲しかったが、俺自身の意見など無視される状況は腹立たしくもある。

 王位なんて、興味の欠片もない。


 そう思っていたが――俺に、欲が出た。


 大切なものができたんだ。

 その為に、短期間で影達を取り纏め一族を掌握した。


 ◇◇◇


『フィン!』


 クラリスの無垢な笑顔で好意を隠そうともしない。その態度がとても不思議だった。


 最初は、偶然。

 第二王子を警戒して付けていた影からの報告。貴族子弟をつけ回す、茶色い髪の怪しい令嬢がいると聞き、警戒対象に指定した。


 その茶色い髪の令嬢、クラリスも高位貴族を狙う浅慮な令嬢だと思っていた。


 だが報告書を見ると、予想外の記載があった。


『警戒対象に近づかず、逃げている様子。』


「ふむ?」


 逃げるとは、何か疚しいことがあるのか。それとも――。


「……気になるな」


 その後は、おかしな令嬢への興味本位。


 彼女は、人が少ない静かな場所にいると聞き、図書室へと通う。


「なかなか、会わないものだな」


 図書室の窓辺で本を捲る。

 王族なのだから教養が必要だと、何度も読まされた詩集に目を落とす。

 愛の言葉を集めたものだ。愛なんて――信用出来るものだろうか?


「フィニアス殿下。そろそろ諦めたらどうですか?エレノアとの時間が取れません」


「カイン。うるさいぞ、黙ってろ」

「特別手当てが出るなら我慢します。新しい髪飾りをエレノアにあげ――」


「特別任務がほしいのか、分かった」

「すみませんでしたっ!」


 ギイィ――。

 図書室の、古い扉が音を立てて開いた。


「ここなら、静かに――」


 令嬢の小さな声が、本に視線を落としている俺の耳に届く。


 だが、途中で言葉が途切れた。

 そして、ゆっくり足音と気配が近づいてくる。

 俺の横でぴたりと止まった。


「あ、あの!」


 俺は、顔を上げて彼女を見た。言葉をかける。


「君は?」


 ハーフアップにした、茶色く靡く髪。

 くりくりとした、好奇心溢れる猫のような瞳はヘーゼル。

 俺を見た彼女の白い頬が徐々に赤く染まる。



「……愛らしい、な」

「……かっこいい」


 小さく、同時に声が漏れた。

 俺の言葉は彼女には届いていないだろう。


「私は、クラリス――」

「クラリス、図書館では静かにね」


 注意された時、貴族なら『馬鹿にして』、と怒るところだ。

 怒るどころか恐縮して、謝ってきた謙虚な彼女。


 報告書によると、クラリス=レンフィールド。母親は隣国の『元聖女』、我が国では『魔女』と呼ばれている、か。


「俺は、フィン。学園の三年生なんだ」


 俺は目を細めてクラリスを見た。


 遠目に、顔を青くしたカインが何か言いたそうに頭を抱えている。


「クラリス、俺は愛の詩集を読んでいるんだ。君も一緒に読んでみないか?」


 そう言うと、クラリスはパアッと笑顔になった。

 ……眩しいな。


「喜んで!あ、でも少し眩しくないですか?」

「そうかもしれないね」


 クラリスが少し困った顔をした。


「私がカーテンを閉めますから、フィン先輩は座っていてください」


 まるで、重大な仕事を任された騎士のような顔をする。


「ふふ、ありがとう。今までそんなこと言ってくれる人はいなかったな」


 クラリスはきょとんとした。

 見ていると飽きないくらい、表情がころころ変わる。

 ……控えめに言って可愛い。


「これからは、私がいつでも閉めてあげますよ」

「そう?じゃあ……よろしくね、クラリス」


 光なんてなくても――クラリスなら俺を明るく照らしてくれるだろうか。


次の展開をどうぞお楽しみに!

応援あると喜びます(*^▽^*)

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