俺が見つけたもの(推しとの出会い:フィン視点)
クラリスとフィンとの出会い。
フィン視点です。
側妃の産んだ息子である、第三王子の俺は常に命を脅かされていた。
母方の血筋にあたるエレノアの家は、闇魔法を得手としている。
王家に忠誠を誓い、諜報や暗殺などを裏で引き受けていたのだが、当主の妹が嫁ぎ先で不審死を遂げた。
これは、王家から一族への裏切りとも取れる出来事だった。
よって、俺は一族から支援を受けて王家への復讐を、と期待されていた。
母上が亡くなったのは悲しかったが、俺自身の意見など無視される状況は腹立たしくもある。
王位なんて、興味の欠片もない。
そう思っていたが――俺に、欲が出た。
大切なものができたんだ。
その為に、短期間で影達を取り纏め一族を掌握した。
◇◇◇
『フィン!』
クラリスの無垢な笑顔で好意を隠そうともしない。その態度がとても不思議だった。
最初は、偶然。
第二王子を警戒して付けていた影からの報告。貴族子弟をつけ回す、茶色い髪の怪しい令嬢がいると聞き、警戒対象に指定した。
その茶色い髪の令嬢、クラリスも高位貴族を狙う浅慮な令嬢だと思っていた。
だが報告書を見ると、予想外の記載があった。
『警戒対象に近づかず、逃げている様子。』
「ふむ?」
逃げるとは、何か疚しいことがあるのか。それとも――。
「……気になるな」
その後は、おかしな令嬢への興味本位。
彼女は、人が少ない静かな場所にいると聞き、図書室へと通う。
「なかなか、会わないものだな」
図書室の窓辺で本を捲る。
王族なのだから教養が必要だと、何度も読まされた詩集に目を落とす。
愛の言葉を集めたものだ。愛なんて――信用出来るものだろうか?
「フィニアス殿下。そろそろ諦めたらどうですか?エレノアとの時間が取れません」
「カイン。うるさいぞ、黙ってろ」
「特別手当てが出るなら我慢します。新しい髪飾りをエレノアにあげ――」
「特別任務がほしいのか、分かった」
「すみませんでしたっ!」
ギイィ――。
図書室の、古い扉が音を立てて開いた。
「ここなら、静かに――」
令嬢の小さな声が、本に視線を落としている俺の耳に届く。
だが、途中で言葉が途切れた。
そして、ゆっくり足音と気配が近づいてくる。
俺の横でぴたりと止まった。
「あ、あの!」
俺は、顔を上げて彼女を見た。言葉をかける。
「君は?」
ハーフアップにした、茶色く靡く髪。
くりくりとした、好奇心溢れる猫のような瞳はヘーゼル。
俺を見た彼女の白い頬が徐々に赤く染まる。
「……愛らしい、な」
「……かっこいい」
小さく、同時に声が漏れた。
俺の言葉は彼女には届いていないだろう。
「私は、クラリス――」
「クラリス、図書館では静かにね」
注意された時、貴族なら『馬鹿にして』、と怒るところだ。
怒るどころか恐縮して、謝ってきた謙虚な彼女。
報告書によると、クラリス=レンフィールド。母親は隣国の『元聖女』、我が国では『魔女』と呼ばれている、か。
「俺は、フィン。学園の三年生なんだ」
俺は目を細めてクラリスを見た。
遠目に、顔を青くしたカインが何か言いたそうに頭を抱えている。
「クラリス、俺は愛の詩集を読んでいるんだ。君も一緒に読んでみないか?」
そう言うと、クラリスはパアッと笑顔になった。
……眩しいな。
「喜んで!あ、でも少し眩しくないですか?」
「そうかもしれないね」
クラリスが少し困った顔をした。
「私がカーテンを閉めますから、フィン先輩は座っていてください」
まるで、重大な仕事を任された騎士のような顔をする。
「ふふ、ありがとう。今までそんなこと言ってくれる人はいなかったな」
クラリスはきょとんとした。
見ていると飽きないくらい、表情がころころ変わる。
……控えめに言って可愛い。
「これからは、私がいつでも閉めてあげますよ」
「そう?じゃあ……よろしくね、クラリス」
光なんてなくても――クラリスなら俺を明るく照らしてくれるだろうか。
次の展開をどうぞお楽しみに!
応援あると喜びます(*^▽^*)




