頼ってほしい
今回少し短いです。
私の婚約騒動が終わり、学園へと戻ってきた。
「クラリス!」
学園に戻るなり、エレノアが抱きしめてきた。
「話は聞いたわ。大変だったわね」
「そうね。フィンに助けてもらったの」
フィンに微笑みかけると、頷いてくれた。
そして、フィンの背後のカイン様と目が合う。
何かを必死に訴えるような視線を送ってきた。
「……カイン様にも助けてもらったわ」
そう言うと、カイン様は満足げに頷いた。
エレノアは、ぱあっと笑顔になる。
「カインが?!それは良かったわ!」
両手をぱちんと合わせて声を弾ませた。
「一族の皆にも、カインの活躍を教えてあげないと。クラリス、カインはどこでどんな風に貴女を手助けしたのかしら?」
目を輝かせて私に詰め寄るエレノア。
それとは反対に顔色が悪くなるカイン様。
「エ、エレノア……その、俺の活躍は自分で――」
「クラリスから見たカインの活躍が知りたいのよ。カインからは、クラリスの事を詳しく聞きたいわ。二人とも仲良くなれたかしら」
にこにこと嬉しそうに笑うエレノア。
「え、ええ。少しは……ね」
「ああ……クラリス母にも挨拶してきたからな」
カインがそう言うと、エレノアは先ほどと打って変わってショックを隠しきれない表情をした。
「嘘。私はまだクラリスのお母様にお会い出来ていないのに、ずるいわカイン!」
エレノアが今度はカイン様に詰め寄り始めた。
しどろもどろになるカイン様。
そこへ、フィンが私の視線を遮るように近づいてきた。
「あの二人は放っておこう。さて、クラリスには少し話さなくてはいけないことがある」
「はい……」
フィン。なんだか……笑顔が怖いわ。
◇◇◇
学園の図書室のいつもの窓際の席。
向かい合うフィンと私。
「クラリス。俺は少し怒っているんだ。なぜだか、分かるかな?」
優しく笑うフィンだけど、圧が強い。
「その……実家の事も、婚約の事も、フィンに話さなくてごめんなさい」
お付き合いすると決めたのに、婚約の話をフィンにしなかったのは良くなかったわよね。
「俺はクラリスを大事に思っているよ。だから――」
フィンはそっと手を伸ばして、私の手を包み込んだ。
「何かあった時は、迷わず言ってほしい。助けるし、相談にも乗る。俺はクラリスの力になりたいんだ」
トクン――。
心臓が速くなる。
私の手を握りながら真剣な表情でじっと見つめてくるフィン。
「……ええ、必ずそうするわ」
「うん。そばにいるから、頼ってほしい」
にっこり笑うフィン。
私も釣られて笑った。
「でも。俺を頼らなかった分、ちょっとした罰は受けてもらおうかな」
「罰……?」
フィンは悪戯っぽく笑った。
「うん。やつのせいでクラリスとの時間を削られたから、その埋め合わせ」
少し離れた席から。
「俺とエレノアとの時間も――」
「カインは仕事だからいいのよ」
「そんなっ……」
エレノアとのやり取りが聞こえてくる。
「さて、今度の休みだけど。クラリスの時間を俺にくれるかな」
フィンが目元を柔らかくして告げた。
「クラリスの一日は、俺が予約しておこう」
私は、その言葉に思わず頬が緩む。
「もちろん!」
そう即答すると、フィンは眩しそうに目を細めた。
クラリスとフィンを見たエレノア&カイン。
カイン「甘いな(叱り方が)」
エレノア「甘いわね(雰囲気が)」
次回もお楽しみに!




