96 とりあえず、トランサル王国へ行きましたが、規模が違いますね。
こんばんは、こんにちは。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
「何かございましたか、ナギ様」
そうだねぇ、それ言ってもいいのかな。
是非教えて欲しいと頼まれて、仕方なく話すことにした。
「ほとんどの人は問題なかったんだけど、ピンクルとソリッドの二人は良くないね。街の豪商と悪いことしてるよ。それに、とんでもないことを考えてる。その対象はブルックス。ピンクルは娘をブルックスの王妃にと考えてる。悪くても側室だね。公爵家だから結婚もできるんでしょ?」
あれ? ブルックスが無言になったよ。
「ナギ様。既に話しは来ておりまして。一応、婚約者候補の一人として上がっております」
あはは、もうそんなことになってるのか。
「じゃあ、ソリッドの家の次男は? 側室にと考えてるよ」
はぁ~と大きく息を吐いたのはブルックスだ。
「だからいったじゃないですか、父上。私は幼なじみの二人と婚約するつもりはないと! それに、今の私はナギ様に認めていただきたいのです。婚約などということは考えておりません。ですから婚約者候補探しはおやめください。他国にも同じ対応でお願いします。我が国は他国の助けなど必要ない。逆に我が国の財をあてにしてる国ばかりですから!」
大変だね、王族も。
「うむ。理解した。では婚約者候補など探すのはやめとする。我が国でも己の子を利権のために差し出す親がいたとは。信じられぬ。ならばしっかり言い渡そうぞ!」
頑張ってね、国王。
それで、と国王は俺たちに向き直る。
「ナギ様は、こちらに拠点を構えてはいただけませんでしょうか。何処でもご用意致しましょう」
なんでこうなるのかな。そんなに急がなくてもいいのに。
「まあ、急ぐ必要はないと思いますけど。寝泊まりする宿は必要です。街に良い宿はありませんか? 僕たちは基本的に冒険者としての活動を優先します。魔物を狩ったり迷宮に潜ったり、ですね。その間に休む場所が欲しいです。だから、一軒家を借りてもいいかと思います」
正直に言ってみれば、国王は大喜びだ。なんで喜ぶの?
「それでしたら、良い屋敷がございます! ただ、森が近いので、貴族たちは住みたがりませぬ。広大な土地に石造りの屋敷がございます。庭はオニキス様やフラット様でも自由にくつろいでいただける広さがございます。背に森がございますが、国のものですので、自由に魔物も狩ってもらってかまいませんし、木材も使っていただけます。もちろん、庭もしつらえておりますが、森とは逆の入り口の門近くにございますので、問題はないかと」
いかがでしょうか、と言われたんだけどどうしようかな。
それほど大きな屋敷だと管理も大変だしね。いくらするのかな。買う方が得だろうか。
「そこは見ることができますか? ギルドはどこにあるんでしょう、あまり遠いと考えますが」
それは問題ございません、とブルックスが言う。
どうやら、ギルドは屋敷からの方が随分近いらしい。
その上に、使用人も用意すると言った。
うーん、でもなぁ。誰かの領地かな?
この際だから、と聞いて見れば国直轄らしい。ここからは馬で一時間くらい離れていると聞いた。それくらい離れてる方がいいかな。
一度見せて欲しいと言えば、今からいきましょうとブルックスはノリノリだよ。
どうする? と聞けば見てみようと皆が言うので行きましょうかね。
馬車で行きましょうと言われたんだけど、俺たちは馬を持ってないからね。
困るのはノルかな、と思うけど。
馬も王宮で選んで欲しいと言ってくれたので、後でね。
じゃあ、使用人候補も連れて行くらしい。向こうで鑑定してもらいたいそうだ。まあ、いいけど。
乗り心地のいい馬車の中で俺とブルックスは座ってる。
結局、ノルとオニキスはフラットに乗っていっちゃった。場所を聞いたからね。サンは僕の鞄の中にいますよ。
後ろの馬車には執事や侍従、料理人などが乗ってるみたい。御者さんもそうらしいしね。この馬車も俺が使っていいらしいよ。まあ、小さいから馬には乗れないけど、フラットに乗るからね~
一時間かからずに到着した場所には、長い塀が続いている。そしてでっかい門がデデンとあった。
これは……
呆れちゃったけど、ブルックスはとても嬉しそうだ。
開かれた門から馬車で中に入っていけば、驚く建物が建ってるんだけど。
「ねえ、ここって誰が住んでたの?」
「気になりますか。誰というか、別荘として作ったのですよ、父が。高台なので、向こう側の見晴らしが良いのです。少し遠くですが、海が見えますからね」
海! と俺のテンションも爆上がりだよ。
「そうです。交易のための港があるのですよ。そこそこ大きな街がありますので、美味しいものを食べに行きましょう」
うんうん、と頷いちゃったよ。困った……
馬車から降りて背を伸ばす。
「主、森を見てきて良いか。雑魚も多いが、そこそこの魔物がおる様だ。フラットとサンも行きたいようだが」
そうなの、まあ気持ちはわかる。
それなら俺も行きたいよ! あ、ノルも火が付いたね。
「行っていいよ。でも、どんな風かみたら一度戻って。この屋敷を買うかどうか決めるからね」
承知、と小さめのドラゴン姿のオニキスとフラットが空に上がる。サンは、オニキスの首元に赤い鞄を提げてやればその中に入ったよ。伸縮自在を駆けたから落ちることはないしね。ノルは俺の椅子を使ってフラットの背に乗った。
じゃあ、と空に上がった皆を見送ってため息をつく。
俺だけ残して行っちゃったよ。
少しの寂しさを感じながらブルックスの方を見れば、手招きしてくれる。
既に執事が扉を開いてくれてた。
他の使用人もいたけど、誰一人驚かないんだね、オニキスやフラットを見ても。その方がありがたいけど。
中に入れば、広いホールがある。ここって、広すぎないか?
とりあえず、その隣りもホールがあった。
思い切りデカいけどね。これ、無駄な空間だよ、絶対。ここなら普段の姿のオニキスがそのまま寝られると思うけど。隣りにフラットも寝られそうだしね。
そこから奥を見れば、調理場があるみたいだけど、ここから見えるのは料理の取り出し口? みたいな部分だけだね。大きなカウンターが前にあるし。多分、パーティーするときに追加の料理を出すとか、お酒を出すとかの為の空間なんだろう。覗いてみればキッチンもありましたね。そこそこの大きさのスペースでした。
そこを出てから反対側には、応接室がありますね。大小あるけど、まあ、これは必要なのでしょう。お茶を入れるエリアもありましたよ。その奥には、客間がありますね。二人部屋が二つ。まあ、そこそこ広いよね。トイレや風呂があるのはいいよね。
一階はそれだけでした。あ、もちろん、トイレとかはあるよ。何人が使うのってくらいの数、ありました。
では、二階から上のルームツアーを始めます!
ここは身内エリアです。中央辺りは個室がいくつかあるんだけど。その前にはぐるりと廊下があります。もちろん、玄関ホールは吹き抜けなので、下が見えますよ。ということは、でっかいダンスホールと同じ奥行きがあるってことですよね。すごいよ~
ぐるりと折り回しの部分には、調理場がありました。
本物の調理場ですよ、これ。でっかい魔道コンロが一、二、三……10口もある。でも俺はこれほど使えない。
中央にある調理台もかなりデカイよね。食器棚とかも壁一面にあるよ。当然食器も入ってるけどね。反対側には魔道冷蔵庫がある。
この部分はパーティルームと同じ幅と奥行きがあるので、広い調理場の隣りにあるドアの奥には、魔道冷凍庫もあるそう。穀物用の部屋もあるみたいで、保存の利く食材は一週間から十日籠城できるほど入るらしい。もう、笑うしかないね。
ダイニングは長~いテーブルがあるんだけど。これって漫画とかに出てくる貴族の家みたいだよ。リビングもかなり広くて、大きなソファが置いてある。三人掛けが二つと対面には二人掛けが二つだね。お誕生日席側には一人掛けが各一だ。
これほどのソファは必要ないと思うんだけど。特に一人掛けは隅っこに置いといて、必要な時に使おうよ。それ以前に半分でいいと思うよ。そして広いテラスのティールームがありますね。
反対側のエリアには、中央部分にならぶ個室の向こうに変な部屋がいくつがあります。
聞いてみれば、侍従や次女が控えていて、主人の世話をするために控える部屋らしいです。真夜中であろうが朝方であろうが、シーツを交換したり身体を拭いたりとお世話するんだろそうです。 まあ、俺には必要ありませんね。
そして寝室内にリビングがあります。当然、お茶などは例の部屋で入れてくれてもってきてくれるそうです。ふむ、いらぬエリアが多すぎるよね。キッチンとトイレ、仮眠室もあるらしい……
リビングの南には寝室があります。そして隣はお風呂ですね。でっかい寝室には、スーパー幅広のベッドがあり、三人かけのソファセットがありました。
当然、寝室のリビングエリアから南側のテラスまではぐるりと広いベランダがある。一部サンルームみたいになってるんだけど、かけっこできるくらいだよ。
サンルームまでは、階段から広い廊下があります。そこには広い扉がいくつもあって……クローゼットでした。あはは、必要ないけどね。
三階はお仕事エリアですね。
執務室はやたらデカい。デスク以外にも机があるということは、文官がつくんだろうね。本棚にはぎっしり本が詰まってるんだけど、なんの本?
トイレや洗面所もありますよね、当然。
なぜだか個室もいくつかありました。文官の為なのかな。
執務室の西側にも広いテラスがありました。うん、これは綺麗な森が見えるからいいね。でも、三階は使わないと思うんだけど。
そんな感じで、ルームツアーは終わりですが、とんでもない家です。いや、屋敷ですね。
「いかがでしょうか、ナギ様」
いかがでしょうかって、あんた。何言ってんの。
三階の南テラスから周りを見てるんだけど。これをどうしろと?
とてもデカい敷地だから、全て見渡すことが難しい。今の俺は遠見を使ってますよ。森まで見えるしね。
「まあ、素晴らしいお屋敷ですよね。でも、お借りすることができますか? 買うとしたらどれくらい?」
お金はあるからいいけどね。
「いえ。ここは既に使っておりませんし、使う者もおりません。森には魔物がたくさんおりますので。ここまでくる道は整備しましたので問題ないのですが」
そういえばそうだった。
馬車が軽く離合できるほどの石を敷き詰めた道は、その二倍ほどの部分に木はなかったね。
「ですが、ナギ様たちならば、魔物が出てきても問題ありませんし。無駄に広いエリアも、眷属の方々が出かけるときにも便利だと思います」
まあ、そうでしょうね。
『主、もどったのだが、庭に降りてもよいのか?』
『うん、いいよ。人はいない?』
問題ないと聞いて、そのまま降りていいと話した。
「みなさん、お戻りですか。ナギ様、どうかこの屋敷と敷地を受け取ってください。今回、我が国にお立ち寄りいただいた事への感謝として、お使いいただきたいのです。例え旅に出られても、拠点の一つとしてお使いください」
タダって事?
でもお金使うことないからねー
「気持ちはわかったよ。とりあえず、皆戻ったみたいだから話しを聞いてみたいんだ。でも騎士ひとりいないからね。入り口の門すら警備できないよ」
それは気にしなくていいらしい。王宮から騎士団を派遣すると聞いた。使用人の家も裏にあるし、騎士たちも寝泊まりできるらしい。そこまでは必要ないでしょうよ。
お帰り~、ただいま~と笑顔で迎えた。
中に入って、とりあえず使用人を鑑定するのと、屋敷の事を話すことにした。
『あるじぃ~のどかわいた~』
はいはい、と果実水を大量に取り出せば、ノルがサンとフラットの用意をしてくれる。オニキスは勝手に飲んでるけどね。
「……ということなんだ。どうする? この屋敷はどうかな」
見てくるから、と全員階段を上がっていったよ。結局また一人残されたよね、俺。
その間に鑑定をと言われて、使用人は全員揃っているらしい。それじゃぁ、と玄関ホールに出た。
そこで姿勢良く立っていたのは執事と侍従たちだ。なにかを気遣ったのか、魔物がいるからか、侍女はいなかったよ~
執事と侍従は問題ないみたいだね。それどころか、俺に忠誠を誓ってるんだけど、どういうこと?
料理長と料理人が四人、御者がひとりと馬番が二人、庭師が数人いる。この人たちも問題ないね。よかったよ、首切りとか嫌だし。
「使用人の皆は問題ないけど、この屋敷の掃除って、大変だよ」
そう言えば、侍従長がクリーン魔法が使えるらしい。それなら最終仕上げができるのだと言う。それにしても、執事が一人、侍従長が一人、侍従が五人だよ。そんなに必要かな。まあ、掃除だけでも大変だろうし。俺もクリーンが使えるから、プライベートエリアだけでも引き受けるかな。
読んでいただきありがとうございます。
拠点探しになりましたが、とんでもない所を紹介されましたね。というか、押し付けられそうです。
いいんでしょうか、これは。まあ、気に入らなきゃ出ていけばいいだけですよね。あはは……
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