95 悪国の始末はしっかりやりましたよ、オニキスが。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
「今のこの世界に魔王はいない。数百年前の勇者が倒して以来、魔王はいないんだよ。創造神様から聞いたから間違いない。お前たちは、この国が周辺国の国土を手に入れる為に召喚されたんだ。それは創造神様も知ってる。だから、今回の事がなくても、僕はこの国を滅しただろうね」
なんだと? と国王がこちらを見る。
「全部本当の事だよ。俺の眷属、シルバーウルフの王子も黒竜も知ってる」
な、な、な……
オニキスがドラゴンへと変化したら、国王はお漏らしさんになりました。情けないねー
「ど、どらごん?」
あはは、勇者は固まったよ。
「わかったかな。だから、国王と勇者たちは、この離宮と共に滅んでもらおうと思ってる。塵になればいいよ」
ガキが偉そうに、と呟いた勇者がこちらを睨む。
「第一王子、勇者を拘束して。仲間も出すから」
フラットの空間から出てきた二人の女は、泣き疲れたのか、ぼんやりしている。
目の前にいる高さ三メートルのオニキスを見て、漏らしたけど。
トランサル王国副将と他国の将軍たちは、わらわらと集まって四人を拘束しているんだけど、面白いね。
「主、どうやって狩るのだ」
「うーん、僕がやってもいいんだけど。オニキス、ブレスで消す?」
「良いのか? 我は仇を取れるのか?」
「いいよ。マントール国の時はある程度で我慢してもらったからさ。だからやっちゃって」
「感謝する!」
でも、少し待つように言う。だって、他の人たちが逃げられないからね。
もういいよ。
そういい、俺たちはフラットの背に入って空に上がった。
後から姿を現した竜の姿に戻ったオニキスが離宮の正面で止まってる。そして大きく口を開いたかと思ったら、想像していたよりも大きなブレスを放った。
うえぇっ!
思わず叫んじゃったけど、陣にいた全員と騎士団の騎士たちは、腰をぬかしたり、固まったりとそれぞれの反応をしていた。
三分ほど続いたブレスは、一瞬で収まったんだけど。その先に離宮は半分も残っていなかった。
当然、国王も勇者たちも溶けちゃったんでしょうね。まあ、オニキスの仇討ちは終わったってことだ。
こちらに戻って来たオニキスは、そのままの姿で降り立った。
『主。礼を言う。これで、彼奴の魂も少しは報われるだろう』
大きな声でそう言って、するすると人型に戻った。
「ご苦労様、オニキス。ブルードラゴンも村人たちも報われたと思うよ。よくやったね」
そう言えば、オニキスは臣下の礼をとった。
「主殿の眷属として生きられる我は幸せだ。これからも主の為に全力を尽くす故、よろしく頼む」
「こちらこそ」
そう言い笑顔で頭を撫でた。まあ、ちょっと恥ずかしかったからだけどね。
「じゃあ、これからどうするかだね」
「ならば、ナギ様。我が国へ」
ブルックス第一王子がそういう。
「何を言う! ナギ殿、ぜひ我が国へ」
いやいや、我が国へ、と大騒ぎだよ。
「ねえ、聞いて。一応、ブルックス王子から話しを聞いてる。国王陛下とも話したんだ。約束だし、僕たちはトランサル王国に行きます。でも、楽しいことがなかったら別の所にいく。その時に予定が合えば各国にも行くけど。まあ、トランサル王国は王族と話したからね。他国は将軍でしょ?」
うぬぬ、と皆が悔しそうだ。
「なれど、ナギ殿。これからも我が国との付き合いはお願いしたい!」
なんで? 他国も同じ事を言う。
「国王陛下に聞いてからの方がいいよ。その間に僕はトランサル王国がどれほど楽しいことを提供してくれるかを判断する。元々、どこかに立ち寄るつもりはなかったからね。気に入らなきゃ、いつでも旅に出る。それだけは忘れないでください。じゃあね~」
そう言い、トランサル王国の陣へと入った。
外ではいろいろ文句を言ってるやつらがいるけど、別にいいんだよ。無理に誘ってくれなくてもいいからね。
「では、どのように戻りましょうか。我らは馬車で参りましたが」
馬車? それはかったるいよね。
「どうしようかな。フラット、王子を空間に入れてくれる?」
いいよ~と軽い返事に笑ってしまう。
「良いのですか? ならば、あと二人だけ。私の侍従が共に参っておりますが、戦闘能力はありません。できましたら共に」
それくらいはいいでしょ。
「今から戻ってもいいのかな。フラットとオニキスが降り立つ場所があるの?」
「問題ございません。王宮の前に広い庭がございます。そちらに降りていただければ。今から連絡を入れましょう」
うん、聞いてみて。
「フラットとオニキスはまた飛んでもらうことになるけど、明日の朝にしようか? その方がいいかもね。夜だと向こうにいっても何も見えないし」
「その方が良いやもしれぬな。少し休みたかろう、フラット」
『そうだね。美味しいもの食べてお風呂に入りたいよ』
じゃあ、そうするかな、と話しをしてる第一王子の側にいって、変更すると伝える。
明日の朝、ここを飛び立つからと伝えてもらった。それなら、準備をしておくとのこと。じゃあ、俺たちは空間に入ろうかな。
「じゃあ、フラット、いいかな?」
『うん、ちょっと待ってね~』
狼姿になったフラットは、空間を開いてくれる。そこは俺たちの旅の家だ。
「では、ナギ様。皆様方、明日、よろしくお願いします」
じゃあ、お休み~と空間を閉めた。
「はぁ、やっと解放されたね。今何時かな」
ここは時計がないんだよね。
じゃあ、作ろうかな。
壁掛け時計と腕時計が欲しい。この世界の時間でお願いします~
(クリエイト)
ぶわっと光ったテーブルの上に、掛け時計と腕時計があった。
やった!
ちょっと俺にはデカいけど。
とりあえずコピーして。
「ねえ、オニキスは時計使う?」
「いや、我には必要ない」
あ、そうなんだね。じゃあ、これはノルのものだよね。
「ノル。これ時計だよ。こうやって手首につけて」
うん? と使い方を聞いてくれる。どうやら空中に漂う魔力で動くらしいから便利だよ。
「これはすごいな。さすがにこれだけの小型は見たことがない。作れば売れるぞ」
あはは、売るのかよ!
じゃあ、俺の分を少し小さくしようかな。でもちょっとゴツいよね。
んーと考えていると、サンから提案がある。
『ねぇ、あるじぃ~ちいさくてきれいな、いし、があるでしょ。あれをそれにかざれば?』
そうだね。それもいいかもしれない。
『じゃあね、ぎん、とかでぶれすれっと? ってやつ、つくって、そこにいれればいいじゃん』
おお、それもいいね。
「ならば主。銀のブレスレットに仕上げればよい。主が絵を描けばいいのだろう?」
それはそうだけど。
描いてみれば? とノルも言う。ノルは? と言えば、普通の方がいいらしい。
紙を取り出して絵を描くことになった。腕の周りは伸縮自在で入るようにしてっと。ベルト部分はつや消しで、小さな宝石を並べて入れる。そうだ、ダイヤの小さいのもあったね。
極小だからと放っておいた宝石を並べて見た。
時計の近くはダイヤ、次はサファイヤ、ルビーと両側に並べる。そして銀の鉱石を取り出した。これも純銀にしてあるから、適当にミスリルと混ぜてもらって、すぐに壊れないようにしてもらおうっと。時計の周りのデザインはクリエイト先生にお任せだけど、借りに描いておいた。
(クリエイト)
再び光ったテーブルは、さっきよりも強く光ってる気がする。
じゃ、その間に、とご飯のことを話してみる。
サンはじっと光を見つめてるんだけど、珍しいねご飯以上に興味があるなんて。
とりあえず、ステーキが食べたいらしい。
じゃあ、とりあえず、肉を取り出してカットする。野菜サラダはコピーしてからカウンターに置いた。
他は? と聞けば、オニキスはそれでいいらしい。ただし、ステーキは数十枚になるでしょうね。フラットもステーキだって。ワサビ醤油で食べるらしい。ご飯の上にのせてくれと言われたんだけど、それってワサビ醤油ステーキ丼だよね。サンも、同じらしいけど、ソースは甘いのがいいって。まあ、おこちゃまだしね。
ノルもステーキ。もちろん、ワサビ醤油で食べるって。
これ、俺は料理するってことじゃないよね。焼くだけだもん。だから俺だけは、作ってた料理を取りだした。お好み焼きと焼きそばだけど。
切った側から焼いて行く。キッチンの魔道コンロだけじゃなく、シンクの上にも板を置いて、炊飯用の魔道コンロも取り出して、全てにフライパンを置く。それぞれにステーキを並べていった。
ジュウジュウ焼ける肉の側で、ひたすら肉を切る。
ステーキをひっくり返すのはサンが引き受けてくれた。
サンが食べ始めたので、ひたすら肉を焼く。ステーキ祭りだよ~
カットしながらステーキを焼いて行く俺に、ご飯はサンとノルが対応してくれた。サラダも取り分けてもらい、セルフサービスだ。
お好み焼きと焼きそばを食べながらステーキを焼く。
かなりシュールだよね~
やっと皆が終わったから、俺は冷めた焼きそばをフライパンで温め直す。お好み焼きは食べきったので、座って食べたいからね。
やっと椅子に座ったとき、サンが時計を持ってきてくれる。
これ、すごいね! 鑑定すれば、銀とミスリルの合金で、強度は最上級だ。そしてその価値は、金貨四百六十枚以上だって。本当なの? 極小の宝石だけしか使ってないのにね。
左腕に嵌めてみれば、するっとベルト部分が伸びて手首に収まった。
軽いね~
かっこいい、ステキだ、など皆から賞賛を受ける。
これ、楽しいね~
「ナギ、これってすごいよ。ナギの才能もあるけどクリエイトってすごいな。何でも作れるなら商人としても生きていける」
なるほど、と笑って見せたけど、本当だよね。でも、今のところそれを生業にするつもりはない。
年取ったら考えてみようかな。
デザインさえできればすぐ作れるんだから、副業にすればいいじゃないか。ん、わかるんだけどね。こういうの商売相手は貴族だろうし。
ふと言ってしまったんだけど、ノルは納得したみたいだね。
焼きそばを食べ終わる前に、皆に風呂を勧める。
大喜びで駆けていったから、俺は至福の時間だ。そう、美味しい紅茶を飲む時間です。
ほっとする時間は、とても貴重なんだ。明日も忙しくなりそうだし、ゆっくりしようかな。
朝の準備が整って、皆で空間から出た。
新しい空間を開いて、中に魔法で灯りを灯す。
「こちらにどうぞ」
第一王子は、嬉しそうに中に入ったけど、侍従はおそるおそるだよ。
じゃあ、いこうか。
俺たちはオニキスの背に乗った。国は、地図で確認してるから大丈夫。
バサリと羽ばたいたオニキスは、一気に空に上がってトランサル王国の方へと一気に飛び始めた。
騎士団の人たちはかわいそうだね。
これから副将と一緒に陣を収めて馬車で国に戻るらしい。ほんと、かわいそう……
それから一時間で王都が見えてきた。
お城はすぐに見えたんだけど、どこに降りたらいいのかな?
王宮の前に赤い何かが見える。そして周りではたくさんの人たちが手を振っていた。
『オニキス、あそこに降りろって事かな』
『そうではないか。降りてみよう』
速度を落としたオニキスは、そのままの状態で大きな翼を動かし調整しながら着地した。当然、ドドーン! とすごい音がしたけどね。
解除された結界から、フラットの背に乗って地上に降りると、開いた空間から第一王子が飛び出してきた。
「皆の者! 大義である。本日、ナギ様と眷属の皆様をお迎えすることができた!」
わーっと声が上がるんだけど。うるさいよ、ほんと。
「では、ナギ様。謁見の間へどうぞ」
謁見の間? いきたくないね。
一瞬で人型をとったオニキスが行こうと背を押してくれる。隣りには、普段のサイズのフラットとその頭にのるサン、そして最後に付いてくるノルがいる。
第一王子ブルックスに続いて歩く。歩くんだけど、その距離が長いよ。なんでこんなに入り組んで、アップダウンがあるんだよ!
そんな風に嫌な顔全開で歩いていれば、やっと到着しましたよ、謁見の間。
「おお、ナギ様。そして黒竜様、フラット殿、サン殿、ノル殿。お待ちしておりましたぞ!」
あはは、国王だぁ~
「本日はお招きいただきありがとうございます」
そう、言ってみた。
「国王よ。我らは国民ではない。故に臣下の礼はとらぬがよいか」
オニキスが威厳たっぷりで言ってくれる。そうだよ、臣下の礼なんかとらないよ~
「全く問題ございません! こちらがお招きしたのです。それに、我が国は皆様方を尊敬しておりますので」
尊敬? なんで?
疑問だけしかないんだけど。
「では、ソファを用意致しますので」
第一王子ブルックスの言葉に貴族たち? が驚いている。
ささっと運び込まれたソファの足下には、ふかふかのマットが敷かれた。さっそくそこに寝そべったのはフラットだよ。
じゃあ、長いソファに座ってやろう。あ、となりにサンが座ったね。対面の一人掛けにはノル。二人掛けにはオニキスが陣取る。
お誕生日席に運ばれた豪華な椅子には、国王。反対側にブルックスが座った。
「ねえ、あの人たちは貴族なの?」
そうですが。
うん、間違いなさそうだね。
鑑定してもいいかな?
どうぞ、ご自由に。
はい、鑑定しますよ~
うーん、ほとんどの人はいい人だね。ただ、二人はだめでしょう。
『主。貴族の中の二人はここから追い出した方がよい。碌な者ではないぞ』
『やっぱりそうなの? じゃあ、王子に言うよ』
あのね、ごにょごにょ……
承知しました、と国王のところへ歩いて行ったよね。
「皆、ご苦労である。本日はナギ様との話がある故、そなたたちは屋敷で待機せよ。必要ならば呼ぶ。良いな」
はっ! と全員が謁見の間から出ていった。
読んでいただきありがとうございます。
オニキスの心は少しでも楽になったかな。そうだといいな。
さて、国を移動しましたが、何が起こるんでしょうね。
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