第六話:力を持つもの
「「「ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」」」
心地よいエンジン音が鳴り響いていた
しばらくして、俺は、雲の下を抜けた。
「うわ、うわあああああびしょびしょじゃねえか」
大雨と嵐が俺を襲った。必死に耐えながら、なんとか地上に降り立った。
その地上には、想像を超えた悲惨な光景が広がっていた。
「おい、なんだよこれ、これが東京?」
ビルが崩壊していたり、車がひっくり返っていた。血痕の跡が至る所にあった。そして、地面の至る所に穴のような真っ黒な空間が広がっていた。
崩れた地面が吸い込まれていくようだ。
俺は、とりあえず、小学校に向かった、きっとみんなそこにいるはずだ。
「よかった、ここはまだ、無事みたいだ」
小学校は、まだ姿をとどめていて安心した。
「おい、究人か、究人だよな、久しぶりだな!!!!」
「究人君だ、久しぶり!!」
俺は同級生に再会できて嬉しかった、と同時に自分の力を見せびらかしたいという自己顕示欲が沸々と湧いてきたが抑えた。
「みんな元気にしてたのか、それにしてもこの世界はどうなってんだ」
「ああ、去年からこんな調子だよ、何が起こったのか俺たちもよくわかってないんだ、今は小学校で避難生活でさ」
俺は、ヒーローになった気分でいた。
「みんな助けてやるよ」
「そういえば究人の使命はなんだった?」
「俺の使命は...」
そう言いかけているうちに急に地震のような揺れが起こった。
すると、みんなの頭に透明な雲の糸のようなものも揺れ動いていた。
「これがいわゆるセッションというやつか...」
理解した、Zone内にいる肉体や物体というのは、Zone内のデバイスでしかないということを。
そして、そのデバイス内のデータがZone内で消失すると。
これが、俺たちのいう、魂というものなんだろうか、一体どこに繋がっているんだろう。そうして、デバイスに紐づけられた魂のような何か、それを保持するセッションがそのZone内で消失するということは?
「あああ、みんなを助けなきゃ...だめだ、時間がない何か、手はないのか?」
そうして、無慈悲にも小学校は急速に下に沈んでいた。
俺は必死に考える、どうか間に合ってくれ、とっさにプロンプトを起動し次のコマンドを打った。
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Zone-4000000000-unitx $ unitx -e "move unit=4*$nowposition+100*$nowposition+100*3.14 x=y=$nowposition+100 z=$nowposition+10000"
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コマンドを実行した後に俺は青ざめた、ゼロを振動で押しすぎた。10000メートル上空に小学校が移動してしまった。
さらに最悪なことに、俺はもともとすでに傾いていた小学校の校舎の窓から放り出されてしまったのだ。プロンプトは窓の縁に当たって割れた。
ああ、だめだ、今の座標は、ああこのままだと自分が気絶してしまう....
もう一度俺はとっさに新規プロンプトを起動しコマンドを打った。
履歴を二つ辿った
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Zone-4000000000-unitx $ ./tools/skyboard
loading now...
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そうして体制を立て直した時には全てが手遅れだということに気づいた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
小学校には何人避難していたんだろうか。
戻った時にはぐしゃぐしゃに潰れた校舎と大量の血痕しか残っていなかった。
「あああああ、俺は、俺は.......」
何がみんな助けてやるよだ、俺は一瞬のうちにみんなを...
俺は、自分がしたことにまだ実感が持てていない、手が震えで止まらない。
汗がとめどなく流れてくる...
体が痛い...
頭がクラクラする...
吐きそうだ...
後ろから、後ろから足音がする。
...
「「「カサ、カサ、カサ、カサ、カチャ」」」
...
「だ、だれ...だろう」
「おめえ、ダブルディジットだな、ふざけた真似しやがって、レプリカがあるとはいえ、セッションごと破壊されたらそいつは消えるんだ」
振り向くとそこには屈強な老人が俺を一瞥して、銃のようなものでマンホールの穴に向かって発砲した。
「「ドド カシャンカシャンカシャン ガチャ」」
「「ダイレクトコネクト完了シマシタ、バッチヲ装填シテクダサイ」」
「悪いがあんちゃん、覚悟しなよ」
俺に銃口が向けられたと思ったら、カチっと力ない音がした。
「何も...起きない?」
俺は死んだと思ったが不発だったのだろうか?
「あれ動けない?」
俺の足や手が気づかぬ内に錠がかけられていた。速すぎて気づかなかった。
「...え?、プロンプトはない..のっっっぐは」
時間差で腹を思いっきり殴られるような感覚が走った。そこには何もない。
「ん、おめえ何者だ、おめえさっきのはなんだったんだ、まさか事故なんて抜かすんじゃねえよな、おめえよお」
老人はポカンとしていた。




