第十話:邂逅
世界は崩壊し続け、ドンドンと衝撃音がひびき続ける。
霧香とその場で動けないでいたが、テーピングしてなんとか歩けるようにはなった。
「霧香、逃げるわよ」
「うん...」
そうして、私たちは上の階へ向かうことにした。
「「コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ」」
遠くから足音が聞こえている...奴は私たちを狙っている、そう直感した。
私は、道中で手に入れたハンドガンをリロードし、スライドしコッキングを下ろして、安全装置を掛けた、すぐ交戦できるように。
「霧香、先に上に行きなさい、屋上で待ってて、後で必ず迎えにいくわ」
「ええ...うん」
銃を見て霧香は何か察したようだ...
「おねえちゃん、絶対、絶対勝って、上にきてね」
そうして霧香を先に行かせた。
よし、あいつをなんとかしなければ。
「「カチャ」」
あれ、手に手錠が掛けられている??
両手で握っていたハンドガンの下に冷たい感触を感じた。
「ひっ、だ、だれ」
目の前に、そこには屈強な老人が私に銃口を向けていた。
「「パアン」」
私は老人に発砲した。
「え?」
老人は無傷だった、確かに命中したのに....
「落ち着け、わしはお前の敵じゃ無いはずだ。霧香はどこへ」
「「「ドドドドドドドドドドドドドド」」」
次の瞬間、背後から男が老人に銃弾を浴びせた。
「オラあああああ、おっと、こいつあダブルディジットのお出ましだあ」
先程から私たちを追いかけて回していた男が老人に向かって乱射していた。
「嬢ちゃん、先に屋上へ、私の弟子がお前さんと霧香を守ってくれるだろう」
老人がカチッとトリガーを引いた瞬間に、私を拘束していた錠が消えた。
「おいおいおいおいおい、よそ見してんじゃねえよ」
そうして、男と老人は交戦体制に入った。
「はあ、はあ、はあ、はあはあ、はあ、はあ、はあ...着いた...」
必死の思いで、屋上に向かった。
「おい大丈夫か?」
「ねえね、待ってた!!!!」
風変わりな服装をした少年と霧香が私を迎えた。
* * * * * *
「おっさん、なかなかやるなあ、おめえ櫛羅だな、クリーニング屋さん風情がよお」
この男は相変わらず舐めた態度を取りおる。
「まだ暴れておったか、相変わらずだな、オーバーライダーよ」
こいつは上位レイヤーを好き放題上書きする能力を持っておる、こいつが暴れることによってZoneの環境は崩壊、汚染されていく、
いくつかの要因があると思うが、間違いなく今回のZoneの崩壊につながった一人だろう。
「「ドド カシャンカシャンカシャン ガチャ」」
「「ダイレクトコネクト完了シマシタ、バッチヲ装填シテクダサイ」」
「悪いがオーバーライダー、覚悟しな」
「「カチ」」
「「AMS:code** 認証シマシタ」」
「ドドンドドンドドンドドン」
「おいおいおいおい、そんなちまちまと消しても俺の上書き速度に及ばねえw今回は何を血迷ったか俺に最上位AMSを付与されてんでねえw」
「ドドンドドンドドン、カシャンカシャン、ドドンドドンドドン」
「っく」
しまった、天井に穴を開けてしまった。
「ラッキーっとよっと」
まずい...
そうしてオーバーライダーは屋上までの全ての天井をこの階の天井と同様の状態へと上書きして、一瞬にして上に消えた。
* * * * * *
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハフウウウウウウウウウウウウウウウ」
やべえ、雄叫びをあげている奴を見て俺はゾッとした。
「な、誰だよお前....」
俺は、黒づくめの男を見て問いかけた。
「なんだあおめえ、ひよっこが、うぜえなあ」
やばい、撃たれる...
ガトリングを目の前にして俺は固まった。
「カチ..カチカチ...ちっ、弾切れか」
俺は手裏キーボードを起動しようとした次の瞬間
「パンパン...」
「ぎあああああああ、はあ、はあ、はあ......」
「怪しい真似すんじゃあねえよハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
男のハンドガンで両腕を撃たれた、痛みで意識が飛びそうだ、何も考えられない。
「きゃああああああああああああ、おにいちゃん!!!!」
「さーーて、おいおい、なに少年にくっついてんだよチビゲートウェイがよおハハハハハハハハハ」
黒ずくめの男は再度ハンドガンを構えて俺の胸を狙った
「いや、やめてーーーーーーーーーーーーーーーー」
パンっと音がしたのち、俺を庇った少女が俺のすぐ真横に倒れた、脇腹を撃たれたようだ...
「すまねえ...俺は何かできないのか...手が動かねえ....」
俺は霧香と少女に腕と足を捕まれながら掠れ声でつぶやいた
「おめえから片付けてやるよおハハハハハハハハハ」
「「パアン」」
俺の心臓に向かって銃弾が刻一刻と近づいてくる、どうやら俺は走馬灯に入ったようだ...
「「シュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウーーーーーー...」」
あと60cm..50cm..40cm..30cm..20cm..10cm..
櫛羅師匠がインターフェースから現れた....ああ、礼も言えずにすまねえ師匠
あと5cm..4cm..3cm..2cm..
その時、
「「パリン」」
俺の胸ポケットに入っていたプロンプトが割れた音がした。
最初にこの世界に来た時と同様のワープした時の感覚を味わった....だんだんと意識が薄れていくのを感じた....




