第九話:アドレス
「「「ゴオオオオオガタンガタン」」」
車での移動は道が悪くて振動が大きい。
「そういえば、あのビル崩れかけてますけど、下から入れないですね」
「ああ、そうだな、じゃあ、どうすればいいかちょっと考えてくれるか、俺からの課題だ。」
早速課題を師匠から頂いた。
俺は、脳内で、解決方法を列挙していく。
・なんとかしたから入る
・屋上までロープで登る
・屋上まで飛んでいく
せっかくなので、skyboradを二人乗りに改造しようかな。
「空を飛ぶってのはどうですか??」
「それはまた非効率だなあ」
割とこれしかないと思ったのだが、意外にも違うようだ。
「ヒントください。」
「俺たちは今Zone内のどこにいると思う?」
「どこってそれは道?」
「それは表層的なもんで、核心ではないんだ、俺たちはZoneアドレス内のそのまた内部、プライベートアドレスと言われる場所にいる。そのプライベートアドレスを持っている世界を構成する「果実」と呼ばれる場所にいるんだ正面の道を見てみろ。」
そうして俺は道に規則的に並んだマンホールのようなものを見つけた。
「あの道のマンホールですか?」
「ああ、あれは、インターフェースと呼ばれる、「果実」へ直接アクセスできるもんだ。」
なるほど、ということは?
「インターフェースはビルに通じているということですか?」
「ああ」
「え、じゃあ車で移動する意味ないんじゃ」
「そうだ、車はこの世界の最上位レイヤーの制約に則った移動手段だ。」
そういうと師匠は車を止めた。
「さて、究人は銃を触ったことはあるか?それとも何か自分の手に合いそうなインターフェースを思いつくか?」
俺にもあの銃のようにプロンプトを介すことなく、力を使えるのかと少し興奮し
「銃がいいです!」
と、勢いよく答えた。
「いいだろう、そのソケット数で銃はいささかもったいない気もするが、まあ一つの手段として覚えておいて損はない。」
そうして師匠は何やらプロンプトをいじり出した。
しばらくして銃弾が出てきたので、銃を取り出しトリガーを引くと、メモリが現れた、それを俺に手渡した。
「本来UNITxをロードするために必要なメモリは首の後ろのソケットにある。それ以外のメモリは教材だ、いちいち挿入しておく必要はない。」
「承知しました!」
そうして俺は手袋を外しもともとはめていたメモリを取り出し、ポーチにしまった。
「カシャ」
するとハンドガンのような拳銃が出てきた。
「「バッチヲ装填シテクダサイ」」
「すごい」
「ああ、じゃあ俺に習って、トリガーは基本的に指をかけるな、打つとき以外はな、マガジンにほらよ、この銃弾を装填してあらかじめロードしておく、安全装置を外し、スライドを引いて、コックさせる、道のインターフェースに向かってトリガーを引いてみろ」
そうして俺は渡された銃弾をマガジンにセットしてトリガーを引いた。
「「カチ スーーーー、カシャン、カチャ カチ」」
そうしたら周囲のアドレス番地が脳裏に浮かんできた。
「ビルの屋上のインターフェースのアドレスはえーと0xc0000bc058だな」
「「カチ スーーーー、カシャン、カチャ」」
「うまくいったようだな、これはホッピングっていうプログラムだ、じゃあアドレスを脳裏に浮かべながら、もう一度スライドを引くとそこに移動可能になる、そうしてトリガーを引けば」
「「カチ」」
トリガーを引いた瞬間、ビルの屋上に移動していた。




