星読み
それでは改めまして私、姓は星乃宮名は瑠香と申します。
年は数えで十九でございます。
敬称など不要ですので瑠香とお呼びくださいませ。
ここよりはるか東の地、最果てのなもなき国に生を受けました。
両親は流行病に倒れ姉様と二人裕福ではありませんが幸せに暮らしておりました。
あの日までは。
五年前、私が十四の時でございます。
なもなき国は滅びました。
七魔人の一人火のあすによって。
あの冬の日。
雪の舞ういつもの朝を迎えたはずでした。
逃げ惑う人。
戦いを挑む人。
皆魔物に蹂躙され炎に包まれ灰になってしまいました。
私の一族は代々星読みの力がありました。
星読みとは未来を見る力。
姉様は国が滅び誰も助からないと知ったのです。
それを王に伝えましたがもはや覆す未来がなかったのです。
故に私を術で逃がしてくれたのです。
ただ一人生き延びた私は復讐を誓いました。
必ずあ奴を地獄に送ると。
しかし私にあ奴を倒す力などありません。
故に姉様に禁じられていた星読みの力を使いました。
あ奴を殺す未来を見るために。
星読みの力はあり得る未来を見通す力。
代償が必要です。
しかし姉様は精々寿命を三日程度ですが私は本来の使い手ではありませぬ故に重い代償が必要でした。
寿命を三年捧げましたところ、十日程寝込みました。
あ奴がどんな奴なのか、そして殺すすべを知るために。
それによりあ奴がどんな力を持っているのか、どうすれば殺せるのかを知り得ました。
あ奴を殺しえる力が分かりましたのでそれを得ようと考えました。
ですが同時にどうすればあ奴にたどり着けるのかが問題でした。
故に寿命を十年捧げました。
その時は一月程高熱に苦しみ髪がこのように白くなりましたが見えた未来には英雄様がおられました。
故に英雄様にお会い出来る場所と時を知るため右の目を捧げました。
そして英雄様が何をなし何をなそうとされるのかを知るため左の耳を捧げました。
故に私は知っております。
英雄様が異世界から来られた事。
女神ろお様にお仕えしておられる事。
今まで共に過ごされたりっしゅ様とお別れされた事も。
私は今日あの場所で英雄様とお会いする必要がありました。
この先英雄様はあ奴とあいまみえる未来があります。
いえ戦って頂きたいと言う話ではありません。
ただ私がどれだけあがこうとも望む未来がないのです。
されど英雄様に出会い、お仕えさせて頂ければその未来を得る事が出来るのです。
はい、委細説明いたします。
忌々しい事にあ奴は姉様から奪った予知の力を持っております。
本来寿命を捧げなければ使えなぬその力をあ奴はそれなしで使えるのです。
故にあ奴は自分を殺しうる未来を避けるのです。
全てを見通す程ではありませぬが自分を殺しうる相手の前には絶対に姿を見せぬのです。
殺す力がなければあ奴のもとへ行く事が出来ますが当然殺せません。
逆に殺す力を持てばあ奴は逃げるので戦う事が出来なくなります。
そうです英雄様。
あ奴の力は英雄様に及びません。
英雄様はこの世のあらゆる理を無視し踏み越えられるお方。
英雄様と共にあればあ奴を殺す力を持ちながらあ奴のいる場所に行く事が可能なのです。
故に私を英雄様のお傍にいる事をお許しください。
私の出来る事ならばどのような事でもいたします。
決して英雄様の邪魔にはなりません。
どうか、どうか伏してお願いいたします。




