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世の中は非常である



理力散弾エーテルショット


悲鳴があがって静かになった。


「手前三つ消えました」

理力散弾エーテルショット


悲鳴があがった。


「奥1つ消えました」

「よし、行こう」


問答無用で魔法を打ち込んだ結果は手前で隠れていた3人は穴だらけで死んでいた。

その死体の1つは拳銃を握っていたので完全にこちらを殺すつもりだったようだ。

拳銃は警官が持っているタイプで弾を五発残していた。

どうせ碌な使い方をしてこなかったんだろうしありがたく貰っていこう。

奥にいた3人の内2人は生きていた。

なにやら奇跡的に当たらなかったらしいがいきなり目の前で死体が出来上がったために驚いて腰を抜かしていた。

足元には金属バットとゴルフクラブが転がっている。

 

「何だよ!何なんだよ!」

「はい、少し静かにしましょうね」


リッシュは声を上げた奴の頭を容赦なくサッカーボールキック。

はじけ飛ぶかと思いきや、吹き飛んで壁にぶつかりうめき声をあげた。

最後の1人は怯えた目でこっちを見ていた。


「お前らねぐらはどこだ。仲間は何人いる」


待ち伏せしていた連中にはねぐらがあるはず。

どこか割と近くに拠点が。

当然こいつらだけではないだろう。

こう言う奴らは絶対に仲間がいる。

もちろん同じようなクズが。

こっちを害しようとした相手に容赦はいらないだろう。


「カイさんねぐらって何ですか」


リッシュが不思議そうな顔をしている。

通じないかったか。


「つまりたまり場だ。拠点と言えば分かるか。で、拠点はどこだ。仲間は何人いる」


リッシュにより残虐ショーを目にした男は震えるだけだった。

もう面倒になって腰を抜かしている男の足に剣を突き刺した。

男は汚い悲鳴を上げたが良心とかそんなものは必要ないだろ。

あっさりと口を割った奴とリッシュに蹴られた奴は膝を砕いて道端に捨てた。

なぜこんな事をしたかといえばもちろん理由があった。

それはジンから貰った報酬の1つにして1番価値がある物。

それが異世界の手引きと書かれた辞書並みに分厚い手書きのメモ帳にある。

そこには彼があらゆる事を書いてあり今回のような状況についても書かれていた。

こんな状況で人を殺して奪って笑っているゴミのような連中がいて一切の容赦などいらないと。

奴等の拠点はもう片方の足を刺したらあっさりと話した。

すぐそばのラブホ。

後はゴミ掃除だった。

部屋に入るとゴミの話通りに二十代半ばの男が3人いたのでリッシュが無言でぶん殴った。

問答無用であるがこんな奴らは人ではない。

骨が何本か折れて悲鳴を上げている連中を掴んで窓から投げ捨てた。

ここは3階だから死んだかどうか分からないがどっちにしろ死ぬだろう。

問題は後片付けの方だ。


「汚れは落ちました」

「ああ、ありがとう」


リッシュの後ろには目に光がない高校生くらいの女の子が二人。

俺達を襲おうとした連中に捕まっていた子達だ。

どんな扱いを受けていたかは想像するまでもない。

とりあえずシャワーを浴びて汚れを落としてもらった。


「さて、君達も見ての通りここの連中は全部で9人、皆殺しにした」


いまさらだが人を殺しておいてなんだが何も感じなかった。

異世界の手引き曰く。

少し前にリッシュも言っていたようにいざ人を殺そうとすると体がこわばって出来ない人がいるらしい。

具体的に言うと『殺す覚悟が!』とか『どうして腕が動かないんだ!どうして出来なんだ!』とか冗談のような連中が。

具体的には異世界に転移した連中だ。

『ぼくのかんがたさいきょうのしゅじんこう』も所詮は平和は世界から来た甘ったれたガキであると書きなぐられていた。

ちなみに生まれ変わってその世界で生きている人はそんな事はないとの事。


「もう大丈夫ですよ。下で襲って来た連中も足の骨を折って大通りの方に投げ捨てておいたので、今頃は不死者に襲わて生きてはいないでしょう」


2人が泣き出した。

何だかいたたまれない。

だがある意味では運が良かった。

何せ俺達が通りかかったんだから。 

だが寄り道は終わりだ。

  

「俺達はもう行く。ここにはあの連中が集めた食べ物や水が結構残っているから好きにするといい」


冷たいようだが俺達に出来る事はない。

すすり泣く声を背に俺達はラブホを出て歩き出した。

嫌な気分だが世の中そんな物だ。

日が傾きだした頃にようやく目的地にたどり着いた。

代産大付属高校。

門はきっちりしまっていた。

その内側には車が横付けされておりさらに大量の机や椅子でバリケードが張られていた。

普通ならここまで来るのは大変だろうが建物の屋上を走り、下に降りてもリッシュのおかげで大した苦労はしなかった。

塀を乗り越えて校舎を見るとあちこちに死体が転がっている。

それらの多くは頭を叩き潰されていた。 


「状況判断は良いですね。今のところ悪意感知イービルセンスに反応はありません」

「方位針は校舎の3階を指してる」

「この学校の学生でしょうか」

「どうかな。注意して行こう」


こういった状況では不特定多数の人間が集まる場所はアウトだ。

必ず馬鹿がいるからだ。

だが主人公がいるなら話は別だ。

校舎に入ると廊下に机や椅子でバリケードが築かれていた。

 

「どうしましょうか。壊しますか」

「いや、少しどけたらいけるだろ」


思考能力のないゾンビにならこれでも有効だろうから壊すわけにもいかない。

2人してガチャガチャとやっていると階段から学生服を着た連中が現れた。


「そこで止まれ」


その中の1人、金髪の生徒が開口一番そう言った。

もう未来が見えた。


「止まれと言いましたか。明らかな年上であるカイさんに対して偉そうに。何様ですか」


すかさずリッシュが言い返した。

予想通りだ。

 

「何だと!」


一瞬で赤くなった金髪の肩を眼鏡の少年がつかんで後ろへさがらせた。


「おい一条」

「九重君。あなたは引っ込んでいてください。申し訳ありませんがここもそれほど備蓄がありませんのであなた方を受け入れる事は出来ません」

「嘘ですね」


リッシュの目が一瞬赤く光った。

まあ嘘だよな。

ピンときた。

 

「いえいえ嘘だなんて」


異世界の手引き曰く。

現代日本に類する世界において苗字に数字が入るイケメンが何人も出てきたならその主人公は女である。

名門何家の次期当主とかに囲まれてあれこれするパターン。

登場するのは俺様、腹黒眼鏡、犬っぽいの、ツンデレ、義理の兄弟。

あとたまに全部裏切られた後に一般人だと思っていたら実は偉かったとかで再登場する奴。 

その場合は実は女主人公もそいつが好きだったパターン。

『貴女が好きでした。私と結婚してください』『あ、貴方はあの時の。はい、喜んで!』 

とかワンパターンだと書き殴られていた。

考えてみたら向こうのこれ聖女様だよな。

 

「俺達は人を探しているんだ」


一条に九重と来たので他にも居るだろう。

三ノ宮とか六道とか。

俺が探しているのは今この世界での主人公だ。

異世界の手引き曰く。

男主人公なら、最強、チート、成り上がり、ハーレム、あとザマァなどが特徴だ。

しかし女主人公は何があろうとも恋愛。

女主人公恋愛!女主人公恋愛!女主人公恋愛!であると。

何がどうあろうとも女主人公は恋愛。

必ずと言っていいほどにこの組み合わせ。

他の要素、例えば冒険とかアイテム作成、その場合は絶対ポーションとかあったとしても必ず恋愛が入る。

必ずだ。

女主人公で恋愛要素のないものは九割方ないとの事。

ジンはよほどそれが嫌いらしい。


「リッシュここに間違いない。いるぞ女主人公が」

「ええ、私にも分かります。この感じセイナ様と同じです。何人ものイケメンを侍らせて逆ハーレムってやつですね気持ち悪!」


リッシュが本当に気持ち悪そうに彼らを見て吐き捨てた。

もう大体の想像は出来ている。

ここにいるのは女主人公とその取り巻きの男連中だけ。

つまり彼らは女主人公のコニュニティーに誰も入って来てほしくないのだ。

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