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感情相場  作者: ソウガク
9/19

9.理解

 私の家の廊下でアリアと向かい合っている。

 アリアが私に、


 「良いと言ってしまいました、嫌いな言葉ですね」


 アリアは私に「良い人間」と言ったが、何が良いのかについては、また論理が違うかのようにすれ違う。


 「すいませんね……あなたは私の言葉をそのまま受け止めないでくれる」

 「そのまま、受け止めないでくれる?」

 「あなたは理解しようとしてくれるじゃないですか」


 私はアリアを理解しようとしているのか?

 アリアは別におかしいようには見えない、言葉が理解できないだけではないか?

 アリアの言葉には意味があって、それらが……


 「あなたのその考える姿勢が、理解しようとしているのではないですか?」


 私の思考を読んでいるかのように、アリアは私の内心を見抜いてきた。

 そしてアリアは常に私に問い的に話しかけてくる。


 「私はアリアを理解しようとしてる?」


 私は無表情で、アリアに問う。

 私は私へ問うてるのではなく、アリアに私は理解しようとしているのかを客観的に聞いている。


 「そうですねぇ、あなたは私を理解しようとしているのではなく、理解していますよ」


 アリアから見た私は自分を「理解している」と、アリアは言っている。


 今回はアリアからではなく、私から自分に問いたいことがある。

 本当に私は今までのアリアの行動を理解しているのか?

 アリアの言語にはすれ違いがあることがある、なぜすれ違うかについては私は理解できない。


 「私は多分、理解できてないよ」

 「それは否定します。 あなたは絶対に私を理解している」


 その言葉はアリアに珍しく、強さを感じた。


 この言葉こそがアリアとのすれ違いではないか?

 それとも私の言葉の説明が足りなかった?

 常にアリアは間違っていないで、私の言葉に説明が足りてなかった可能性もあるのか?


 「私からしたら、理解できてないよ」

 「そうですか、まぁ私はそれも否定しますが」


 アリアは私の考えを認めてくれない。

 

 仕方ない、アリアにもアリアの考えがあるのだから。


 「まぁ、あなたの考えは面白いですよ、私から見たら」

 「そうなの?」

 「皮肉が効いてますよねぇ」


 また、すれ違った。

 アリアの意図はわからない、アリアはいつも通り、虚ろな瞳をして無表情であり、面白がっている意図はない。

 別に私を罵倒しているようには見えない。

 その上で私がアリアに精一杯返せる言葉は、


 「何が皮肉なの?」

 「構造がですよ」


 私は全く怒っていないが、頭が疲れてきているのか頭が熱い。


 これはアリアが悪いのではなく、理解しようとするから疲れるだけの話だ。


 アリアの言葉を理解しようとしていると……


 「算数って難しいですよね」

 「うん、そうだね」


 この言葉に相槌を打ったが、アリアの言葉にはおそらく意味がある可能性がある。

 算数……これは日常使いするレベルの計算を勉強しているということか?

 さらに趣味で勉強した人は数学と言うことが多い。

 別に普通のことであるが、アリアは最低限しか勉強していないということ……

 だが、それは自分自身の話なのか、私へ言っている?

 私は確かに算数すら怪しいし、勉強は好きではないが、それを気遣った?


 「算数……」


 言葉に出して「算数」の意味について考える。


 私は算数という言葉を言って思い出した。

 アルディが「算数は前提を置くから難しい」と言っていたことをアリアが言いたいことは……


 あ! まさか、前提を置くことがすれ違いを作っているとアリアは言っているのか?


 「アリア、もしかして前提を置くことが難しいって言ってる?」


 私の言葉には期待が載っていた。

 まるで、完璧だと思った答えを答え合わせする時のような。


 「そうですね」

 「そうなの!」


 少し、私は感動してしまった。

 しょうもないことだが、確かにアリアを少しだけ理解した気がしたからだ。

 そして、私自身ですら「そうなの」と答えが合っていたことに驚いてしまった。


 「言葉って難しいよね」

 「そうなんですかね」


 またすれ違った、なぜ?

 私はアリアの考えを当てたはずなのに?

 「そうですね」とアリアは肯定している。

 その私の理解が違かったのか?


 「私はあなたで、あなたは私なんですよ」


 アリアは私の沈黙を破り、答えのように言った。

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