4.問い
リオは走っていた。深夜の大雨の中。
リオの服は寝巻きに裸足、雨など気にせずに街を走る。
目を輝かせ、何かに向かって。
私の全ては運命により動いている。
あれは……
……
リオが降り注ぐ雨の中、家に帰る。
リオが家に帰った時には、服が重くなるほど水を吸い、玄関の地面を服から流れ落ちた雨粒が濡らしていく。
靴が勝手に脱げ、リオはポケットから濡れてふやけたタバコの箱とライター、スマホを玄関からすぐ横の棚に置いて、急いでお風呂に行く。
お風呂から10分程度ですぐに上がり、自分の部屋に戻る。
部屋に戻って服を着た後、椅子に座るが……数秒で、リビングから掃除機を持ってきて部屋を掃除し始める。
机を動かし、掃除機をかけて、窓を拭く。
ベッドシーツを剥いで洗濯する。
……
部屋が綺麗になった後、また掃除機をかける。
掃除機をかけている場所は、ゴミ一つ落ちていない綺麗な床だ。
そして、先ほど拭いた窓をまた拭く。
もちろん、その窓はとても綺麗だ。
掃除が終わった頃には、とっくに日が暮れ、窓の外は高層ビルの灯りが灯っている。
リオは一息ついたように、椅子に座る。
数秒するとすぐに、棚から手のひらサイズの半円形のものを取り出して机の上に置くと、バーチャルモニターのようなものが現れた。
リオが指を動かすと、画面が変わっていく……
リオがふと、何かを思い出したように、
「そういえば、アルディとゲームするって話してたな」
ワイヤレスイヤホンを取り出して耳につける。
そして指をまた動かし、モニターを操作する。
数秒すると……
「アルディ?」
私がアルディに電話をかけた後、アルディが電話に出た。
「遅くなってごめん、ゲームしよ」
そして、リオはモニターを見ながら指を動かす。
「なんのゲームする? アルディ? アルディ!?」
リオは何が起きたのかわからず、イヤホンを外したりして、イヤホンの充電が切れていたことに気づいた。
そして指でモニターを操作すると、
「イヤホンの電池切れてたわ」
「お前まだ、旧型使ってんのかよ。そろそろ買い換えろよ」
私のイヤホンの充電が切れたので、ゲーム機のスピーカーにしてアルディと会話する。
……
それから1時間後……
リオが瞬きもしないでモニターを見ながら、必死に指を動かしている。
「は? なんだコイツ、チーターだろ!……バグだバグ!!」
「死んだんだけど……何これ」
私とアルディは下手なのにFPSをやって、猛者にボコられてイラついていた。
そういえば、あの時は途中から酒を飲みながらやっているので、後の方は酔っていた。
……
「もう、時間ヤバいって。そろそろ寝ようぜ」
リオが時計を見て、少し驚いたような顔をした後に、
「え、もうヤバいじゃん。終わりにするか……バイバイ」
「えい」
そして半円形のものをしまう。
バーチャルモニターは消え、リオは目を擦りながらベッドに横になる。
数秒も経たぬうちに歯を磨きに洗面台へ行き、歯を磨いて戻ってくる。
「ハァ〜、疲れた」
そして再度ベッドに横になる。
リオはじっとできないかのように、左右に数十秒ごとに寝返りをする。
リオは上向きになって、天井を見上げながら右足を動かし続け、瞬きが増え……
「あぁ〜」
リオが本当に疲れたかのように手で目を覆い隠すと、リオは足の動きを止めた。
「カッコつけね〜」
リオはふと、その言葉をつぶやいた。
リオは体を起こし、暗闇の中で立ち上がり、手探りで机からライターとタバコを取り、ライターをつけ、タバコに火をつける。
深く吸い……吐く……
リオはタバコの持ち方を変えて、燃えるタバコの先端の火を見つめる。
リオはタバコを吸わず、見つめ続ける。
数秒、数十秒、数分。
床にタバコの灰が落ちていっていることも気にせず、死んだように瞬きもせず見つめ続ける。
「会いたいよ……もう一度……」
タバコが燃え切りそうな時に、その言葉は深夜の暗闇の中の部屋に静かに響く。
「私は問いたい」
リオはタバコをすぐに消して、急いで扉を開けて、靴も履かずに玄関を飛び出した。
外は少し薄暗い街中。
大雨が降り注ぎ、リオの寝巻きを黒く濡らしていく。
リオはその中、何かが見えているのか、その何かに向かって走っていく。
その姿はまるで狂っているのか、取り憑かれているのか、普通ではない行動をしている。
リオが向かった先は真夜中の公園。
噴水へ真っ直ぐ走っていく。
私が向かう噴水の近くには、1人の人影が見える。
近づいていき、その人影がよりはっきりと見えた時、私は笑みを浮かべ、走る速度を上げた。
私が走った先にいる人はアリアだ。
私は目の前まで行き、アリアと見つめ合った。
「無茶苦茶ですね」
アリアはどこか遠くを見るように、呆れた表情で言葉をつぶやいた。
「どうしたんですか?」
「……アリア……」
私は何の意味もなく、名前をつぶやいた。
アリアは私を無表情で見つめ続ける。
「私の名前ですね。よく知っていますね」
リオは何かに気づいたように、驚いたような顔に変え、
過去をもう一度振り返るように考える。
リオは信じられないようなものを見たように固まる。
私にアリアが言っていることは単純。
私は名前を教えていないのに、なぜ知っているのか? を問うている。
「別にその名前に興味はありません。どう知ってもどうでもいいです。
まぁ……どうせ覚えられないと思いますが、あなたの名前を教えてくれますか?」
アリアは私に突き放すような言葉を言った後、名前を教えてくれと言った。
「私はリオ・クエリ」
「リオ……」
アリアは私の名前をつぶやいてくれた。
「たまたま、まぁ偶然としては出来すぎているかもしれませんが、ここへ来たのはあなたです。何か理由があるんじゃないですか?」
私はアリアに問いたかったことをやっと問えると、雨の中でテンションが上がる。
「カッコつけ、あれはなんで言ったの?」
「まぁ、普通はそんな些細な言ったことなんて覚えているわけがありませんが、さっきの質問に答えてあげましょう。それはただ、私がおかしいんですよ」
私はアリアの目をずっと見つめ、真剣に聞いていたが、その言葉で理解不能な表情をする。
その予想外の回答だった。
アリア自身が自分をおかしいと言い出すとは、思っていなかった。
「あなたは正しい。この世界も正しい。私だけがおかしい」




