16.恐怖
この物語は怖かった。
「お散歩しようっか」
私が立っているのはアリアと出会った公園、アリアとアルディが私の近くに立っている。
公園はいつもの風景、噴水から綺麗な水が出て、天気は晴れて、子供が遊ぶ、風景。
「良い現実だね」
「そうか?」
「私がいる、だから現実なんだよ」
「じゃあ、感情相場が存在するのはなんだ?」
「物語でしょ、私の物語なんだから、まずなぜ感情相場が物語なの、君たちの現実が感情相場の中の物語なのに」
今日は素晴らしい日なんだ、だからこの公園を選んだ。
それは、アリアと出会って丁度一年が経った日だ。
「ねっ、アリア」
「そういえば、時間は溶けましたね」
「アリアのこと好きだよ、だって丁度殺して一年だもんね」
「人が人を愛するなんて不可能じゃねえか」
「いや、できるよ、きっとみんなを大切にしてあげれば」
私の中にみんないる、だからみんな幸せなんだよ。
「そのみんなは果たして幸せか、押し付けてないか?」
「押し付け……」
「あなたは可哀想ですね、だってこんな世界にいるんですから」
この世界は嫌いではない、とても好きだ。
だから、アリアが言いたいことがわかった。
空が淀み、雨が降ってくる。
「あぁ、良い天気だね」
私は手を広げて、雨を全身で感じる。
「ん〜、自然が気持ちいい〜」
見て、これがこの世界の常識。
異常者、異常者、異常者、
「狂ってるね、この物語が、よくそんな頭がおかしい世界になるね」
「そんなにズレてはいない、だから気持ち悪いんですよ」
『恐怖』
「怖いよ、この物語はまるでホラーで、少しズレているから怖いんだよ」
「恐怖、それは未知からくるのではないでしょうか?」
わからないよ、この物語はおかしい、だから怖い。
「わからないものが怖いわけじゃない、わからないことを知るから恐怖するんです」
「死ぬのは怖いか?」
「怖くないよ、だってただ自然に帰るだけだから」
そうそう、狂ってるんだ、この物語はとっても、意味がわからない。
だから、可哀想。
「そう、君たちの世界は可哀想だよね、そしてみんな異常者だ、みんな怖くて、決められてて、魚を食べてしまって、可哀想な世界、可哀想な物語、地獄みたいだね」
「そうだよな、可哀想だよな、生きてる意味もないのにな、自由もないのにな、存在していないのにな」
「私たちがおかしいわけではありません、あなたたちがおかしいですよ、異常者」
『本を閉じる』
本がある、現実が本の中へと回収されていく。
袋を裏返した時に世界が袋の中にあるかのように、本が現実を含めていく。
「私たちは描かれてない、内側じゃない」
「あなたたちが感情相場の中に存在しているんですよ」
「あなたたちが見ているんじゃない、私が見ている」
『本を閉じる』
「全部私の物語なのに。 ハハ、本当面白いね、この物語は、自分たちが物語だって知らずに辛かったよね、嬉しかったよね」
私の感情は不安定だ、辛い、嬉しい、可哀想、面白い、が同居している。
「不安定ですね、あなた」
「なんで、不安定か、わかるだろ」
評価している。
私は他人を評価してしまっている。
良いの?
私が、評価している。
「揺らいでる……私は評価してはいけないと思う」
「あなたは何をしているんですか?」
「私は、他者を理解している」
私の中に全てが存在する。
私は他者を理解してしまっている。
良いの?
私は反復している?
可哀想?
「他者は、大切なんだ、私が……押し付けちゃいけない」
「私は他者ですか?」
「俺は他者か?」
怖い。
私だ、でも他者だ。
怖い、嫌だ。
「私はあなたですよ」
「違う!」
「違くないですよ、私たちを殺して確かめたでしょう」
アリアが自分の口に手を無理やりねじ込んで、いつもと変わらない顔で、倒れた。
「私はいる、あなたが私を殺させた」
「違う!!」
アリアは自分で、首を掻き切って死んだ。
床に2人のアリアが倒れている。
「ねぇ、私は死んだ」
私の耳元から声が聞こえる。
私が振り向くと、首から血しぶきが上がっていた。
アリアの頭は存在していなかった。
また、1人のアリアが死んだ。
「ねぇ、まだ殺しますか?」
途方もない、アリアが死んだ。
死体が黒い地面に沈み込み続けている。
その数は数えきれないわけじゃない、数なんてなかった。
私からまた、アリアが分裂した。
「もう、わかったでしょう、無限に繰り返しても、方法を変えても変わらない。 あなたがいくら私を殺しても」
「怖い、怖い、怖い!」
「あなたですよ、私を殺したのは。だって、私はあなたの中にあるのだから、あなたしか殺せない」
「あぁ、そっか、やっぱり他者を分離することは叶わないか」
怖いんだ、私は私の中に現れる他者が、




