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感情相場  作者: ソウガク
16/19

16.恐怖

この物語は怖かった。


 「お散歩しようっか」


 私が立っているのはアリアと出会った公園、アリアとアルディが私の近くに立っている。

 公園はいつもの風景、噴水から綺麗な水が出て、天気は晴れて、子供が遊ぶ、風景。


 「良い現実だね」

 「そうか?」

 「私がいる、だから現実なんだよ」

 「じゃあ、感情相場が存在するのはなんだ?」

 「物語でしょ、私の物語なんだから、まずなぜ感情相場が物語なの、君たちの現実が感情相場の中の物語なのに」


 今日は素晴らしい日なんだ、だからこの公園を選んだ。

 それは、アリアと出会って丁度一年が経った日だ。


 「ねっ、アリア」

 「そういえば、時間は溶けましたね」

 「アリアのこと好きだよ、だって丁度殺して一年だもんね」

 「人が人を愛するなんて不可能じゃねえか」

 「いや、できるよ、きっとみんなを大切にしてあげれば」


 私の中にみんないる、だからみんな幸せなんだよ。


 「そのみんなは果たして幸せか、押し付けてないか?」

 「押し付け……」

 「あなたは可哀想ですね、だってこんな世界にいるんですから」


 この世界は嫌いではない、とても好きだ。

 だから、アリアが言いたいことがわかった。


 空が淀み、雨が降ってくる。


 「あぁ、良い天気だね」


 私は手を広げて、雨を全身で感じる。


 「ん〜、自然が気持ちいい〜」


 見て、これがこの世界の常識。

 異常者、異常者、異常者、


 「狂ってるね、この物語が、よくそんな頭がおかしい世界になるね」

 「そんなにズレてはいない、だから気持ち悪いんですよ」


 『恐怖』


 「怖いよ、この物語はまるでホラーで、少しズレているから怖いんだよ」

 「恐怖、それは未知からくるのではないでしょうか?」


 わからないよ、この物語はおかしい、だから怖い。


 「わからないものが怖いわけじゃない、わからないことを知るから恐怖するんです」

 「死ぬのは怖いか?」

 「怖くないよ、だってただ自然に帰るだけだから」


 そうそう、狂ってるんだ、この物語はとっても、意味がわからない。

 だから、可哀想。


 「そう、君たちの世界は可哀想だよね、そしてみんな異常者だ、みんな怖くて、決められてて、魚を食べてしまって、可哀想な世界、可哀想な物語、地獄みたいだね」

 「そうだよな、可哀想だよな、生きてる意味もないのにな、自由もないのにな、存在していないのにな」

 「私たちがおかしいわけではありません、あなたたちがおかしいですよ、異常者」


 『本を閉じる』


 本がある、現実が本の中へと回収されていく。

 袋を裏返した時に世界が袋の中にあるかのように、本が現実を含めていく。


 「私たちは描かれてない、内側じゃない」

 「あなたたちが感情相場の中に存在しているんですよ」

 「あなたたちが見ているんじゃない、私が見ている」


 『本を閉じる』


 「全部私の物語なのに。 ハハ、本当面白いね、この物語は、自分たちが物語だって知らずに辛かったよね、嬉しかったよね」


 私の感情は不安定だ、辛い、嬉しい、可哀想、面白い、が同居している。


 「不安定ですね、あなた」

 「なんで、不安定か、わかるだろ」


 評価している。

 私は他人を評価してしまっている。

 良いの?

 私が、評価している。


 「揺らいでる……私は評価してはいけないと思う」

 「あなたは何をしているんですか?」

 「私は、他者を理解している」


 私の中に全てが存在する。

 私は他者を理解してしまっている。

 良いの?

 私は反復している?

 可哀想?


 「他者は、大切なんだ、私が……押し付けちゃいけない」

 「私は他者ですか?」

 「俺は他者か?」


 怖い。

 私だ、でも他者だ。

 怖い、嫌だ。


 「私はあなたですよ」

 「違う!」

 「違くないですよ、私たちを殺して確かめたでしょう」


 アリアが自分の口に手を無理やりねじ込んで、いつもと変わらない顔で、倒れた。


 「私はいる、あなたが私を殺させた」

 「違う!!」


 アリアは自分で、首を掻き切って死んだ。

 床に2人のアリアが倒れている。


 「ねぇ、私は死んだ」


 私の耳元から声が聞こえる。

 私が振り向くと、首から血しぶきが上がっていた。

 アリアの頭は存在していなかった。

 また、1人のアリアが死んだ。


 「ねぇ、まだ殺しますか?」


 途方もない、アリアが死んだ。

 死体が黒い地面に沈み込み続けている。

 その数は数えきれないわけじゃない、数なんてなかった。

 私からまた、アリアが分裂した。


 「もう、わかったでしょう、無限に繰り返しても、方法を変えても変わらない。 あなたがいくら私を殺しても」

 「怖い、怖い、怖い!」

 「あなたですよ、私を殺したのは。だって、私はあなたの中にあるのだから、あなたしか殺せない」

 「あぁ、そっか、やっぱり他者を分離することは叶わないか」


 怖いんだ、私は私の中に現れる他者が、

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