15.一緒
誰もいないんだ、わかってた。
「誰も、幸せじゃないのに、なぜ生きているの、アリア?」
「別に生きていなくとも、良いでしょう」
「……じゃあ……死ぬの?」
「あなたは今、死にたいですか? 生きたいですか?」
わからない。
生きてる意味が、なぜ生まれてしまったのかも、なんで私は理由も意味も自由も何もない世界に生きているのか、私は欠陥なの?
「なんで、こんなに私は生きるのが辛いの? 欠陥があるの?」
「そう作られた、からじゃないですか?」
すぐにわかった、欠陥もそう描かれてるだけ、私が欠陥だと気づくことも、描かれてるだけ。
「私がいなくなったら悲しむ人がいるのかな」
「作品が終わるのにそんな人いるんですか? 例えいたとしてどうなるんですか、あなたはそんなの確かめられない。 怖い?」
わからない、怖いわけじゃない、でも何かあと一歩で全てがなくなるような、怖いなんてないことはわかってる、でも何か一歩……一歩だけは、
「全て、対象に含めてしまいましょうよ」
「あ、そうだよね、それも決まってるもんね」
「まぁ、全てを対象になんてできませんけどね」
「ねぇ、アリア、私は今あなたを傷つけたい、何でか、わかる?」
「さぁ? それが人間の本質なんですかね? 私は嫌いじゃないですよ、ただ状態ですから」
「じゃあ、やってみるね」
私はアリアに手を伸ばしてみた。
別にアリアは痛そうでもなかった、苦しそうでもなかった、本当に何かをされているのか確かめられないくらいに無表情だった。
とても時間が経った。
「あなたは分離できなかった」
「すごい、喋ってるね」
「私は死んでしまいましたね」
「そうだね、殺したから……痛かった?」
「痛みと考え、人はどちらが勝つんでしょうね? 私は痛くなかったですよ」
私とアリアのやり取りは淡々としている。
普通のやり取りのように、
「アルディも殺してみる?」
「アルディなんて生きていましたか?」
「そんな人、死んでたね」
そういえば、アルディなんて死んでいた、そう、そうなんだ、私がそう思ったのだから。
おかしいか?
「別におかしくないよね、アルディ」
「おかしくない」
アルディもそう言っているのだから、そうなのだ、私はおかしくない。
そうやって、自己完結するんだよ、アリアみたいに、
「ねっ、アリア」
「そうですねぇ、完結しないといけませんよね、やっぱり」
「外部ができるとダメなんだよな」
私は楽しそうだ、感情が豊かだ。
みんなと一体になったから、私は嬉しい。
「アリアの理想に近くなった? みんな一緒だよ」
「そうですねぇ、私の理想に近すぎましたね」
「どう、アルディ? 君が目指した物は?」
「それはちょっと遠いかなぁ」
「え〜、遠いのか〜……どうやったら近くなる?」
「完璧な存在ってのも難しいよなぁ」
「じゃあさ、全てを含めれば良いんでしょ? 矛盾しようよ、矛盾を保持しちゃえば、良い」
「世界は大丈夫ですか?」
「大丈夫、私だよ」
『全て』それで十分。矛盾なんて、問題なんて、保持されたままでいい。
「現実なんていくらでも変えられるんだからさ。 みんなが幸せなら私はそれでいいよ、願いが叶うなら、ねぇどう2人?」
「いいじゃないですか」
「お前がそうするなら、いいんじゃないか」
『物語』そういえばそんな物もあった。
まぁ、別に良い、アルディは敵じゃない、私は決まってない、感情相場の私自身は決まっていても、だから良いんだ。
「アルディどう、私を描くのは? どんな感じ?」
「どうだろうな、孤独なのか、孤独であるだけまだ孤独ではないのか、まぁ呪われてるよ」
「やっぱりいなくなった方がいいですね、アルディ」
「もう、死んでるわ」
「アハッ」
楽しいよ、これが生きてる意味なのかなぁ?
私は笑ってるよ、きっとね。
「死んで楽、アルディ?」
「まぁな……ハッ、本当やっと終わったのか……そうだな、やっと終わったな、本当に辞めたかったし、辛かったよ」
アルディが今までどれだけ辛かったのかは私にはわからないが、大きくため息を吐いて、過去を懐かしんでいる。
「あなたの目標は達成する物じゃないでしょう」
「もう、思い出させるなよ」
「仲良し〜」
「まっ、みんな一緒だからな」
「みんな一緒ですからね」
「そうだね、みんな一緒だからね」
そこは暗い、暗い、暗すぎる、何も見えない黒く塗りつぶされた場所。
何も見えないでも、声は聞こえる、リオの声。
そこは勿論、誰もいない、でも声は聞こえる。
でも、その声は、
「そう、私が全部やってる」
テンションがおかしいリオが答えた。
ここには3人はいない、リオしかいない。
「いや、私もいない」
私の精神だけがある。
「アリア、アルディ、明日は3人でお散歩しよう」
「歩くのめんどくせぇな」
「そんなこと言わないでさ、アルディ」
「私は公園に行きたいです」
「良いね、アリア」
「ねっ、みんな一緒だもんね」




