14.決まっている
いつも、決まっているのかもしれない。
「世界ってやつはいつも……気持ち悪いんだよな、なぁリオ?」
「どうしたの?」
「俺らは見る対象でもあり、見られる対象」
「アルディ……最近どうしたの? ちょっと違くない?」
「そりゃ、俺は別の人間だもんな、アリア的には、これはアリアが大嫌いな変化だな」
アルディは少し、笑いながら言った。
「そうそう、俺はこれを笑いながら言ったんだ。私はアルディがいつもと違く見える、と、さらされる」
1人で会話が成立する。
俺が世界を描写するから。
「なっ、リオ……お前は見られてるんだぞ、だってキャラクターだもんな」
「そうなの?」
「なんで、俺は一人二役してるんだろうな? 俺はこの時が嫌いなんだよな、自分が演じていると区別する時が、他者であって欲しいのにな」
でも、お前は俺にとっての他者であってくれるんだよな、なぜだろうな?
アリアとお前が俺の世界で、他者であってくれてるのかねぇ?
「私はいつも思うんですよ、あなたを見ると早く終わった方が良いと、」
「酷いねぇ……でも、お前にしては優しいねぇ。 お前も同じなんじゃねぇの?」
「私は叶えますよ、あなたは叶わない」
「どうかねぇ……お前の話してても進行しねぇか」
「私たちはアルディに描かれてるんですよ。私たちはキャラクターです。そしてあなたたちもキャラクターなんですよ」
「アリア……じゃあさ、私がこうやって話してることも描かれていることなの?」
私は悲しそうに言う。
「まぁ、そうですね、アルディならこの会話も運命と言うでしょうね、私たちは決まった通りに動いているだけですから」
「じゃあさ、私たちって何のために存在するの?」
「アルディなら、娯楽と言ったかもしれませんね。私はそうとは思わないですよ、主体が存在してしまいますからね、アルディもそれは同じことを思うでしょう。私たちは何のために存在するかは浅く言えば娯楽なんじゃないですか?」
「じゃあさ、私のこの気持ちも感情も書かれているのに存在するの?」
「私には意思という物がよくわかりませんね。感情相場が物語に実在するのも事実ですけどね」
私は沈黙していた。
何だろうか、この虚無感……空虚なんだ、心が、痛いんじゃない、苦しいんじゃない、無いんだ。
だから、こそなぜか冷静なんだ……
「感情相場が存在する物語とはどこなの?」
「私たちからしたらそれが現実と言うんですかね、アルディは物語と言うでしょうけど、あなたもそのうち物語というかもしれませんね」
このアリアとの会話もアルディに言わされているのか……考えよりも先に言葉が出たけど、それが矛盾しない設定なのかな。
アルディ……私の友達だった人、よく遊んだし、幼馴染だった。
少し高圧的でも、1番優しかった、1番人を思う人だった。
なんで、かな、涙が出てくるんだろう?
描かれているのになんで、心が……描かれているから心が苦しいのだろう。
「感情とは、素晴らしいと思うんですよ、私はこんなことを言わないと思いますけどね。 私は精神を知り切れなかったと思いますけどね、アルディもね」
「アリアは嫌じゃないの、全部決まってても?」
「運命というのは聞こえはいいかもしれませんが、結局は決まったことなんですよ、私たちはずっと決まっているんですよ、生きて死ぬまで」
「そこに、どんな価値があるの? それは生きた方が高いよ」
「あると思いますか、生きる価値、私たちにもあなたたちも」
私はなぜ生きているのか、決まっているならそこに生きてる意味はあるの? いや、生きるように設計されているの? なんで、こんなに辛く設計されているの?
「ねぇ、アリアなら私の考えが読めるんでしょ」
「それはあなたの気持ちの現れ、あなたたちは他者の人生を決めてしまってはいませんか? 感情って人が保存するでしょ?」
「人じゃない、それは装置、」
「なら、私たちもアルディからしたら物語の中の一種の成立装置であり、正当化されるはずではないですか? あなたが苦しむのはその中にも人はいるからではないですか?」
「ちが、くないのかな……」
「あなたは間違ってはいない、世界も間違ってはいない。 どちらも平等にあるだけ、その中の存在に価値はあるんでしょうかね?」
「アリア、あなたは、別にどうも思わないの? 決まっていても」
「う〜ん、さっきも言っていましたね。 私たちは受け入れるべきだと思うんですよ、私たちはただの物体だと思いましょうよ、ただ逆らえない中にいる、存在物」
「なんで、そんなに強いの」
私の精神は弱いのか、アリアの精神が強すぎるのか、私は生きているのが苦痛だ。私は自由でありたい。
「私にただ、精神がないだけですよ。 精神や社会があるから私は完結しない。 他者も感情も私の中にはいらない。 私のこの瞳もあなたを捉えてはいない、私の中にある物体を捉えている」
私はアリアの瞳を見ている。
アリアの瞳はいつも虚ろだった。
そこに映っていたのは人じゃなくて物体だった。
だから、いつも焦点が合わなかったのか、私の方へは向いた、でも私を見てはいなかった。
「みんな、幸せなの?」
「私はどうでも良い」
「俺はわからないな」
「そうなんだ、私たちを見ているあなたたちは本当に幸せなの? 幸せって生きる理由じゃない? でも、それが決まってるから、幸せなのかな? ねぇ、本当に私たちを見ているのかな?」




