11.夢
私の意識が完全に消失した。
……私に意識が戻った時、そこは暗く、だが数メートルはなぜか明るい。数メートルの見える範囲には、上から糸で無数の本がぶら下がっている。
私は糸がどこから伸びているのか、上を向くが、数メートル上までしか見えない。
私は次に手を見つめた、そこには手がある。
その時、自分が無意識的に地面に座っているような状態だと気づいた。
「なぁ、リオ」
私の後ろから声が聞こえた。
私はそのよく知る声がする方向へ振り向くと、誰かの足があった。
少し上を向くと、
「こっち見るなよ、リオ」
もう私は確信した、アルディだ。
「そうそう、アルディだよ」
「アルディ、ここはどこ?」
私はアルディという友達を見つけて安心しているのと、この見たことがない夢のような空間に焦りを感じている。
そういえば、アリアが……円を作った?
なんで、私はここに……
「俺はさ、超越的存在を求めたんだよ……」
アルディは自分語りを始める。
「超越的存在」? アルディは何を言っている?
私はそんなことを聞いていない……アリア、まるでアリアみたいなすれ違いがあるように見える。
「本当、めんどくせぇんだよな。 もう終わりたいねぇ」
「アルディ何を、」
「どうせ、ここでも終わらねぇんだよ、次でもどうせ終わらねぇ」
アルディは私の言葉を猜疑って、話を続けた。
アルディの言葉にはただただ、めんどくさいような、だが、それを受け入れているような言葉だった。
「アルディ」
「ん……なんだ?」
ここは夢? ここは夢なのか……
「そう、ここは夢だ」
私の目の前にナイフが現れた。そのナイフは私に向かってくる、私は咄嗟に目を閉じて身を縮める。
ナイフが胸に刺さり、大量に血が出てきた。
私はアルディに刺された。
だが、私の表情には驚きがある。
刺された……でも痛くない? なんで私を刺した、アルディが?
でも痛くない、まだ感情はあるはずなのに……そうか、夢だから痛くないのか……
「本当に夢なんだ……」
「そうだな」
「でも、私を刺すのは酷くない?」
私は少し、冗談めかしてアルディに言った。
だが、普通に私を刺して、証明するのがアルディらしくない、アリアみたいな証明の仕方をする。
そして、今もなぜかナイフが刺さった、私の胸からは血が溢れてくる。
「なぁ、見てくれよ。この本」
アルディはそこら中にぶら下がっている、本の1つを持ち、
「アルディってキャラ、出て来るんだぜ」
私へアルディは楽しげに糸にぶら下がったままの本を持ちながら言った。
「どんな、キャラなの?」
「丁度、こんな感じの糸で、人を操る能力だったな」
「へぇ〜」
私とアルディのやり取りは、この非現実な空間と反して、いつもの日常のようなやり取りであった。
私は夢とわかり、そしてアルディという人間がいることで、非現実を日常的空間としていた。
「そういえばさ、前に話した、アリアにまた会ったんだけどさ……」
そうだそうだ、アリアを最後に見て……そうだ、「円」がどうとか言ってたな。
アリアが円を作って……
「おい、何黙り込んでるんだよ」
「あ、そういえばさ、そのアリアが円? を作ってここに来たんだけど?」
「は?」
普通にアルディが「は?」と言うのもわかるほど変なことを私は言っている。
そう言えばアリアの腕が私の手を透けて……もしかしてアリアが家に来た時点で夢だった?
……なぜか、悲しいなぁ、アリアを少しわかった気がしたんだけどな……
「まぁ、知ってるけど」
私がここに来た理由を「知っている」……なぜ、アルディが?
……そうか、そうか、夢だから変なことが起きるのか……
「そうだな、不可解だよな」
ん? なぜ、私へ相槌ができた? いや、なんだこの違和感、アリアみたいな証明の仕方だ、不可解を起こして、不可解を証明するこの感じ。
「おっ、お前そろそろ死にそうだな」
私の下の黒い地面に、アルディに刺された胸から出た血が水溜まりのように広がっていた。
普通に、私は夢で死ぬとどうなるのだろうか?
「そろそろ、終わりだな」
そう言うと、アルディが遠くにいるように視覚的に感じた。
そうすると、今度こそ私の視界は暗闇に包まれた。




