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事件について

 オリアさんについていくと豪華な客室があった。さっきいた客室とは別次元だ。中には助けた子供2人とラジルさんがいた。


「おお、きたか。バニル君。この二人はダグラスとユリアといって、私の子供だ。」

「ダグラスです。この度は僕たちを助けてくださりありがとうございます。」

「ユリアといいます。初めまして。」


 ラジルさんが紹介すると、二人は僕に挨拶してきた。とても礼儀正しく、よい教育がみられる。


「申し遅れました。僕はバニルといいます。ダグラス様とユリア様がご無事で何よりです。」

「よいよい。バニル君、この二人は君と同じ年なのだ。そう固くならなくてもよい。そうであるな。」

「はい、お父様。僕のことはダグラスと呼んでくださいね。バニル君。」

「そうですよ。こちらは助けていただいた身。固い敬語はおやめください。」

「はい、わかりました。」


 二人の要望に応える。彼らは貴族ながら傲慢な態度をしないよい貴族だ。テストであったどっかの伯爵家の息子とは違う。


「しかし、ダグラス君は剣の秀でた方と聞きますが、どうしてあのように倒れていたのですか。」

「うむ、それについて話そうと思ったのだ。」


 ラジルさんが気になるのは今回の事件についてだそうだ。


「その前に、君は貴族だと聞いたが、うちと敵対するものか。」

「敵対?私はハップンベル元辺境伯家です。敵対するのは帝国ですので侯爵家とは敵対は致しません。」


 多分、ジークさんと話していた貴族と王族の対立から、ラジルさんは僕に聞いてきたのであろう。


「ほう。あまりソナタのことは聞いていなかったが、あのハップンベル家であったか。そうか、敵対はしないのだな。その言葉信じてよいか。」

「もちろんです。」

「そうか。では、今回の事件と我がニコラス家の問題について話そう。」


 僕の敵対しないという言葉にラジルさんはあっさりと信じた。やましいこともないし、敵対するのは同じ国の民ではない。


「この領はこの国一の税収とお金が動いている。もちろん周りの貴族は良くは思ってはいないが、問題はこの国の税収の60%が我が領で賄われていることだ。」

「なるほど、そこまで裕福な量なのですね。」

「ああ、だから王族と対立する貴族たちは我らに近づき、彼らの陣営の入ることを要求された。もちろん断った。我ら貴族は王族に仕える身分であるし、この国で内乱を起こそうとする者たちと手を組みたくないからだ。すると、彼らは我らを敵とみなし、攻撃し続けるのだ。これが我が領の問題だ。」


 この国の貴族は王族の臣下というものであるが、今日の彼らは敵対し、敵対する勢力を排除している。もちろん、僕もこんな頭のおかしな奴らとは手を組みたくないので、ラジルさんの選択には大いに同意できる。


「して、ユリア。どうして護衛がいながらこうなってしまったのだ。」

「はい。馬車で帰る途中盗賊の襲撃に会いました。盗賊が全員降りろといったので私以外武器を持って外に出ました。もちろん返り討ちにする計画でした。しかし、計画的犯行だったのか、私の背後に盗賊は回り込み人質となりました。武器を捨てることを要求され、その後丸腰となった護衛が剣で倒れ…」

「そして僕も剣を交わしたり、魔法で何とかしようとしましたが、毒霧で倒れてしまいました。」

「その後、私は腕を折られ痛みに負け気絶しました。」


 なるほど、計画的犯行であったことがうかがえるものだ。


「そしてその後、僕が来て助けたというわけですね。」

「なるほど、そういう経緯か。いや、バニル君には感謝しかない。」

「いえいえ、とんでもないです。」


 感謝をされるが、ただただ通り道を占領されているので戦う必要があっただけである。


「しかし、彼らは殺そうとはせずに装飾を奪っている、ただの盗賊に思えますが。これも何か因縁があるのですか。」

「ああ。多分盗賊は下賤な貴族に子供らのことをリークされて襲ったのであろう。多分子供を殺すのも頼まれていただろうが、彼らの良心か何かでまだ殺さなかったのか、それとも。」


 殺さなかったのは良心なのかはわからない。ただ、僕も腕を切り落とすのには抵抗があるし、やけどで捲れた川を見ると無残なものを見た気持ちになる。僕の場合は、何とか精神を強く保つようにと育ってきたから何とか耐えられたが、他の者にはゲロをはく光景であろう。おそらく盗賊も子供を殺すのに踏みとどまってしまったのかもしれない。まあ、その少ない良心のおかげで彼らがいま生きている。


「しかし、話を聞くと、バニル君は凄腕なのであるな。同じ国立中学に受験したそうじゃないか。」

「はい、一応魔法科の試験を受けてきました。」

「ほう、魔法科か。話題になっていたぞ。上級魔法を試験で使うものが5人と書いたそうでないか。君もそうなのか。」

「まあ、一応その中に入りますね。」


 あまり言われると少し恥ずかしい。


「やはりそうなのか。そうそう、この子らの受験した学科を言うとな、ダグラスが剣術科でユリアが貴族科だ。何か縁があったらよろしく頼むぞ。」

「はい、わかりました。」


 ラジルさんは僕ら三人が合格できる前提で話している。まあ、三人とも合格できるといい。


「それでニコラス侯爵。そろそろ両親が心配しているのでお暇しようかと思いまして…」

「おお、それには及ばない。しっかり連絡してある。今日は止まっていくがいい。メイドさんの分も部屋を用意してある。」

「そうですが、しかし…」

「もう、君たちの夕食も作っている。」


 ラジルさんが返さないと言わんばかりの圧力だ。仕方がない。


「わかりました。一晩お邪魔させていただきます。」


 はあ、アリス。怒らないでくれよ。

【次回】8月27日22時

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