へぇ?そう?
「少し、よろしいでしょうか?」
そう、彼女が声をかけてきたのは宴もたけなわになって来た頃。
輝く白銀の長く艶やかな髪にまるで海のような蒼い瞳。
その美しさを損なうどころか、引き立ててなお我を主張する美しいコバルトブルーのドレス。
欠けた所など一つもないような、計算されつくした優美な姿は嫌でも視線を集めた。
「ええ…構いませんよ」
「そうですか…お初にお目にかかりますわ、初瀬・アウトゥンノ参謀閣下。
私、ヴィルヘルミーナ・レンモルと申します…どうぞ、お見知りおきを」
変わらぬ笑顔のまま、美しい礼をする彼女に僕もまた、笑顔を貼り付けて礼をする。
……とんだ茶番劇だって言うのはわかっているさ。
だって彼女は、あのバルドロキ・エーリューズニル公爵の孫娘であり、その薫陶を受けて育て上げられた者…油断なんか出来るはずもないんだから。
「それでは、ヴィルヘルミーナ嬢…一曲、いかがですか?」
「ええ、喜んで」
彼女はそう、『敵』だ。僕に近づく理由だって、そう。
「さて…何が目的です?」
「あら…何のことかしら?」
「おやおや、白々しいことで…僕からならともかく、貴女から僕に近づくメリットはないでしょう? ヴィルヘルミーナ・レンモル子爵令嬢?」
―――――――ああ、だというのに…なぜだろう。
楽師の奏でるワルツのゆったりとしたリズムに乗りながら、可笑しなことを訊いたとばかりに笑う彼女を見つめる。
「ええ…確かに、ございませんわね」
「ま、僕にとっては近づく手間がなく好都合だったのですが…そこをはっきりさせておかないと後が怖いでしょう?」
「ふふ、それもそうですわね。私のメリットは…そうね、貴方に近づくことが出来るってことかしら?」
「へぇ? 僕にですか?」
「ええ。私、貴方に前々から興味がありましたの。珍しくお爺様が貴方には相当の執着を表していらっしゃるのよ? ご存知?」
「ええ…僕は随分と気に入ってもらっているようですね」
あの公爵は、厄介だ。
人としては嫌いじゃない…むしろ、好きなほう。でも、敵対しているこの状況じゃあそうはいってらんない。
恐らく、僕はあの御仁には勝てない。今のままだったらほぼ確実に負ける。
過小評価でも過大評価でもないよ…そんなことをしたら招くのは敗北と死だ。現についこの間そういう人を殺しちゃったしねー。
「だから、興味があったんですの。他ならぬ…貴方に」
「……それで? そのご感想は?」
ふわり。
ターンすると彼女のコバルトブルーのドレスの裾がふわりと揺れる。
縫いこまれている極々小さな宝石の欠片がシャンデリアの光を反射し、きらめく。
「…そうね―――――――――期待以上、でしたわ」
「はは、それはよかった」
まるで、会話のタイミングを見計らったらのように曲が終わる。
………ああ、もう、別れなきゃいけないか。
「―――――大変楽しい時間でした、ヴィルヘルミーナ嬢」
「ミーナ」
「は………?」
「私のことはミーナでいいですわよ、初瀬様?」
楽しげに笑った彼女に僕も笑顔を返す。
―――――――その笑顔が、貼り付けているものなのか…心からのものなのか、わかりもせずに。
「それはまたの機会に、ヴィルヘルミーナ嬢?」
「あらあら、つれない方ね…女性に愛想を尽かれてしまいますわよ?」
もう、引き際だ。
彼女もそれがわかっているからこそ、揶揄するようにそれだけ言って踵を返す。そして僕も、同じように。
―――――――――もう、疲れたし帰ろうか。
暇な貴族連中と違って僕らには明日から仕事があるんだし。
そう思って近くのベランダに目を移したら、そこにちょうど雪杜がいて…女の子が隣にいたって言う事実に自分の正気を疑ってしまったのは、その数十秒後の話。
ヴィルヘルミーナ嬢書けたーーーーーー!!\(^O^)/
ヴィルヘルミーナ嬢はどーも癖の強いキャラなので勝手に動いちゃって困ります…
リーゼを見習って! 超いい子だよ!? そのせいで場面考えるの難しいけど!!
今日から学校再開です…やだよー、学校行きたくないよー! 勉強したいことしか勉強したくないよー!!




