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魔王軍の軍師と将軍物語(仮)  作者: 神那 悠樹
―ambivalenza:バランスゲーム―
56/59

そう、楽しそうだね?


――――――――――雪杜視点




「はぁーーーーっ…」




初瀬に進められ、ベランダにでたオレはガラス戸一枚隔てた広間の喧騒から遠く離れた静かで澄んだ夜風に思いっきり息を吐き出した。


やっぱし、あーゆう場はオレには向かないんだよなぁ…




「あー…」




人ごみの中火照った体にちょっと冷たい夜風は気持ちがいい。

気分転換には最適で、静かに深呼吸すればそれだけで気分が落ち着くようで。


―――――――――ちょうどその時、だった。




「…ぃ! …ぉ……し…ろ!」

「…ゃぁ! は…て……ぃ!」




よくは聞き取れないけど、男と女の声。

そして、決して穏やかとはいえなさそうな声。


集中し耳を澄ませると、今度はちゃんと聞こえた。




「おい! 大人しくしろ!」

「嫌ッ! 離して…離してください!!」




声は足元下の方…広間の明かりが届かない、庭の片隅からだった。


………って、言うか、え、やばくね?




「誰だ! そこで何をしている!?」




誰何の声を上げながらオレは柵を飛び越え、ベランダから飛び降りる。


――――――――まぁ、ここ二階の割りに結構高いけどダイジョブだろ。

精々三メーターくらいだし…今のオレには余裕だ。




灯火ともしびよ、彼の旅人の行く手をを導け―――――――――『光明ランパ』」




着地するまでに呪文を唱えて魔法を発動させる。


え? とか思ったヤツ。ちょっと手ェ挙げろ。

あのな…いくらオレが魔術ぼろぼろだったとしてもこれ、超初級だから! 流石のオレもできるぐらいだし人間の魔術師程度でも出来るヤツだから!


………まぁ、初瀬はこのぐらい術名言うだけで、というか術名も言わないでできちゃうんだけどな…




「くッ、なんだ!?」

「なんだよも何も…えー、どうしよう、オレ婦女暴行事件の現場真っ只中に直面した経験とかないんだけど…」




何はともあれ、オレの出した明かりに照らし出されたのは今にも泣き出しそうな顔の女の子とその手を無理やり掴んでいたちょっと(…いや、かなり)脂ぎった青年だった。


OK、とりあえずこの男が目をくらませている間に深呼吸だ。それから現状確認。

………って、そんなことしてる場合じゃねぇ!!




「え、あ…!」

「君はこっち。大丈夫?」

「は、はい…」




女の子の手から男の手を外してそのままオレの後ろに庇う。


ふんわりしたパステルカラーのドレスがまだ年若い彼女に似合っていた。

うん、個人的にはさっきまで周りにいたバリバリ肉食系っぽい御姉様方よりこっちのほうが好きだなー…って何考えてんだよオレ!




「邪魔をしないでいただこうか!! 私はそこの娘と話をしていただけなのだが?」

「話を…なぁ。嫌がってんぞ、この子」

「ッ! 私をシチャボフ伯爵家の人間だと知ってのことか!?」

「おいおい…お前こそ、この舞踏会に出てるのにオレの事知らないのか?」




今、オレと初瀬は基本目立つこの正装をしている。

普段なら他の士官と変わらない軍服で通しちゃうけど、今回みたいに正式に呼ばれた場合はしょうがない。


白と金を基調にした初瀬と対になるこの軍服は、それだけで十分人の意識に残る。

………若干コスプレっぽくて恥ずかしいんだけどな!




「その軍服…! まさか!」

「わかったならさっさと失せな」

「くッ…、人間ごときが………ッ!」

「いい加減聞き飽きたぞそれ…まぁ、どうでもいいけど。

聞こえたならもう俺の視界に入ってこようとすんなよ。嫌がる女の子に無理強いさせるような下種は目障りだ…次視界に入ったらうっかり敵と勘違いしちまうかも知れねーし」




その少女の手を軽く引き、オレがさっきまでいたベランダに戻る階段を彼女の歩調に合わせてゆっくりと昇った。




「あの…っ! お助けいただきありがとうございました」

「いや…ただオレがあーいうの見過ごせないだけだよ。わざわざお礼なんていい」

「それでも…です。とても、助かりましたから」




ふわり、と笑う彼女はいつだったか見た…かつて関わったある女の子のものとそっくりで。


ドクリ、と…何かが波打った。―――――――――ような気がした。




「私、リーゼロッテ・ヴィルトって言います。あなたのお名前は?」

「………知らない、のか?」



いろんな意味で目立つオレのことを知らない貴族って言うのは珍しい。

本気なのかと聞き直せば、彼女――――――リーゼロッテはちょっと苦笑いをした。




「実は社交界って苦手で…今日参加したのだって、お姉さまに誘われたからなんだもの」




その笑顔にも仕草にも裏は見えず、本気のようだった。

社交界が苦手、というこの世界の貴族の娘としてはめったにないその言葉にオレはほんの少しだけ笑った。




「オレは――――――――――」





その時、オレは感じていた。

『彼女とは、きっと長い付き合いになるんだろう』と。


その予感がまさか本当になるとは……このときのオレは、思ってもいなかった。

投稿予約に失敗したらしくせっかくがんばって書いた最初の後書きが完全消失してブルーな悠樹さんです。


雪杜のお相手役、リーゼロッテ嬢です。

てきとーに考えたにしてはいい名前だな、うん。←


一応リーゼロッテ嬢の外見などなどを書いておきます。



栗色の髪に群青色の眼。でも本人は地味だと思ってる。

綺麗って言うより可愛い系。ふわふわ。


人見知りではないが社交的でもない。むしろ出不精。

明るく社交的な姉がおり、彼女に少しコンプレックスがある。


こんなトコかな。



次は初瀬のお相手なヴィルヘルミーナ嬢です。

脳内設定どおり描けるかな…?

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