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魔王軍の軍師と将軍物語(仮)  作者: 神那 悠樹
―briga:戦い―
48/59

ねえ、知っていますか?③

「―――――――――流れ弾、ですね」




もう消え去ったはずの銃声も、耳に張り付いた残響のせいでまだ残っているように感じるほどの沈黙を破ったのは、僕ではなく居並んだ下級将校からの一言だった。




「そう、ですね。流れ弾です」

「こうなってしまっては仕方がない……初瀬・アウトゥンノ大尉。指揮をお願いします」

「どうか、我らに勝利を…――――――」




軍帽を被りなおしたり、そっぽを向き『見なかったこと』にながら口々に僕の行動を肯定してくれる彼らに、ほんの少しだけ僕は笑った。




「では…―――――――誰でもいいので火の魔力弾を空に打ち上げてください。それからこの地形図の更新をお願いします。それをしなければ何も始まりませんし…ね?」




即座に動き出した将校たちによって打ち上げられた魔力弾と、更新されていくホログラムの地形図に浮かぶ敵対勢力を知らせる紅い光と味方勢力を示す蒼い光が瞬きあうのを僕は静かに見つめていた。

―――――――そして静かに目を閉じる。


戦場において、甘さは不要。指揮をするということは、その兵士達の命の価値を決めると言うこと。

……言葉にするとどこにでもあるような言葉だけど、実感を持ってするとなると…そうは、いかない。


だけど僕は、それができなくちゃいけない。

誰かのためにじゃなくって、僕自身のエゴのために。



―――――――――強く、あらねばならない。



僕がまた目を開けたとき、そこにはもう迷いはなかった。

けれどその目が、紅く染まりきっていたことを。そして押し殺したナニかが傷つき、血を流していたことを。


僕自身すら、気付いていなかった。





――――――――三者視点





王国陣営から上がった魔力弾に反応して動き出す部隊があった。




「作戦は成功、か…副隊長の策を最初に聞いたときは驚いたが…意外とできるもんなんだなぁ…」




その部隊を指揮する立場にある青年がその崖の上から視線を下ろし、混戦きわまる王国軍右翼隊と伯爵の私兵たちとの戦場を若干の侮蔑を持って見下ろす。


普段は威張り散らしている貴族連中やそれに取り入って媚を売り、甘い汁を吸っている者達ばかりで作られた、実用性より美しさを重視した華美な鎧を味方の血と泥に汚しながら必死で命乞いを続ける者がほとんどのその部隊を。


――――――――――まぁ、数名だが剣を取って必死に抵抗している者もいないことはなかったが。




「いいか、お前ら…」




崖の上から馬に乗った青年が後続する部下に告げる。




「こんな混戦の中突っ込んでいくんだ。敵だけ・・・狙うのはできなくて当然だよな?」




その言葉に目を丸くする者も数名いたが、すぐに全員がゆっくりと首肯する。




「今必死に抵抗しているやつらのいる場所を覚えとけ。それで、それ以外はっても仕方がないってことで不問にしてやる。


――――――――――――行くぞ!」




彼は馬を駆り、崖を一気に駆け下りる。

夜風に彼の真紅の髪が舞った。




「我らが隊長殿に勝利を! 我らが副隊長殿に結果を! そしてアスガルズ王国に永久の平和を!

そのために命を賭けらんねぇヤツは俺たちの知ったこっちゃねぇからなぁッ!!」




それは、とてつもない暴論であり、極端論だったが………ある意味では、正論だった。


馬を器用に操りながらも、赤髪の青年―――――――――奇襲・強襲においては非常に有能だけれどもその有り余るほどの愛国心と矜持、派手さのせいで常に上司から睨まれてしまい、とうとう第七部隊に放り込まれた経歴を持つ彼……レインバルト・カーリズは叫んだ。




「アスガルズ王国『黒の剣』第七隊奇襲小隊隊長、レインバルト・カーリズ!! 只今見参、ってなァ!!!!」





――――――――――策はまだ、始まったばかりだった。

三人衆に日の目がやっと当たります。


三人全員に役割分担があるため楽しみにしていてください

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