何?僕に関係あるわけ?
タイトルがそろそろきつくなってきた…
ああもう、何で縛っちゃったんだよ、自分のばかぁああああっ!!!
朝日に対峙した敵軍の纏っている鎧兜が輝きを放っている。
しかし、明らかに統一性もなく数もこちらよりもずっと少ないそれらは予想通りではあったけれども、みすぼらしく、頼りなげに見えた。
「ははははは! あんな烏合の衆、ぼくの采配とこの軍勢を持ってすれば露も同じだろう!?」
「まったくですね、シュビール卿! なんとみすぼらしい…」
「それに比べてジスモルド様の采配は実に美しい! きっと敵は自ずから逃げ去りましょう!」
「あはははは! そうだろう! ぼくの采配の前ではこれしき敵ですらないわ!」
………うん、こいつらみたいに見かけだけで判断するのは愚の骨頂、だけどね?
自軍の配置を見下ろしながら頭の中で記憶したここら一帯の地図を展開させた。
――――――全軍を三つに分け、それぞれを右翼、左翼、中央隊に分けて敵と相対するようにそれらを置く。
基本から外れてはいないし、布陣のスタンダードな形ではある。
実際、僕もこの基本形は使ってるしね。
バカだアホだ使えないだの散々言ってきたけど、司令官殿は基本はよくできている。そう、できすぎているくらいに。
だけど、『基本』がいくらできた所で実践に役立つかどうかは…また別物だ。
「はぁ……」
バカ話をして笑っている貴族連中に聞こえないようにそっと一つだけため息を吐いて、僕は頭の中で策のシュミレーションを重ねる。
………僕も、雪杜もこんな所で、負けているわけには行かないんだ。
できる限りのことを、しなくてはいけない。
――――――――そして。
戦いの火蓋は切って落とされた。
―――――――――――――――――――三者視点
初瀬の心配とは裏腹に、戦況は王国軍の優勢だった。
雪杜が指揮を勤める中央隊とはなかなかに互角であり、接戦が続いていたが、見かけ通りの弱兵だったのか両翼はそうも行かないようですぐに撤退し、殿を出してはさらに引いていくというのを繰り返していた。
「あーっはっはっは! 追え!追えッッ! あんな弱兵、一人残らず討ち取ってぼくの前に並べろ!」
「ハッ、それでは私めが!!」
「貴様っ! 手柄の独り占めは許さぬぞ!」
組み易し、とでも思ったのかジスモルドの哄笑に彼の取り巻きである貴族出身の者達は我先にと出陣する。
その行動を止められるものはほとんど出陣し、出払っており、唯一止められる可能性のあった初瀬は『所用がある』と言って本部を置いている天幕から出て行って今だ帰ってきていない。
なので、残された口を出すことも許されない平民出身の下士官たちは悔しさをかみ殺しながらこぶしを握り締めることしかできなかった。
――――――――――
野営地から少しはなれた高台。
風が初瀬の纏っているローブをはためかせる。
ス、と片手を上げると空高くから『それ』は彼を目掛けて急降下してくる。
「ありがとう……アドラム」
初瀬は手に止まった『彼』のその濡れ羽色の翼をそっと撫でた。
「本当は休ませてあげたい所なんだけど…まだがんばれる?」
彼――――アドラムと言う名のその黒い鷲は気持ちがよさそうにその目を細めてくぐもった声で鳴き、羽を一つ羽ばたかせる。
「そっか…うん、頼んだよ。返事は無しでいいから…ゆっくり休ませて貰ってね」
アドラムが数枚の黒い羽を残して飛び立った後、初瀬だけがその高台に残されていた。
「――――――必ず勝つ。例え、どんなことをしようと……絶対に」
すぐ近くであるはずの戦場の音も不思議と聞こえないその場所では、その呟きは異常なほど響いているように感じられた。
次は主に戦術になる…かな。
わかりやすいように、且つ先を読まれないようにがんばりたいと思っています。
………え? もう見切ってる?
マジですか……?




