さぁ、楽しませてね?
………その知らせは、瞬く間に王城ととあるバカのせいで緩んでいた黒の剣を含む軍部に緊張を与えた。
「グニパヘリル伯爵が謀反…か」
今回謀反してくれたグニパヘリル伯爵っていうのは、まぁ、エルドが王位につくときに反対してた一派の一人らしい。
しかも、信念があってとかじゃなくってそっちのほうが権力握れると思ったかららしい。
ずっと昔からエルドのこと馬鹿に…と言うより舐めていたらしいけど、結局エルドが優勢になったら手のひら返してきたんだって。馬鹿じゃない?
僕は当時の事知らないけど、なんかひと悶着あったらしいよ? エルドのお母さんがなんか立場がそう高くなかったとか何とかで………だから味方少ないんだね、ってこの間エルドの肩叩いたら泣かれた。
「まぁ、いずれやるだろうな、とは思ってたけど…」
グニパヘリル伯爵とは一度会ったことがある。
まぁ、バカ貴族の見本みたいな人で…頭固いし、うすっぱげをごまかそうとしてごまかしきれてないし、丸々した体を金メッキするみたいにジャラジャラ飾り立ててて…小物感バリバリ。
僕らのことも下に見てたしね……その後、若干おまじないかけさせてもらったけど(方法? ふふふ…野暮なことは聞かないでよ)
まぁ、そんなヤツに重役なんか任せらるはずもなく、僕たちがエルドに出会う前に僻地に左遷されちゃったんだけどね。
「でも、僕の予想より早い……早すぎるくらいに」
―――――兆しは、あった。
「凡そ兵を用うるの法、日に千金を費やして然る後に十万の師挙がる」っていうように、戦いには金がかかる。
僕らの世界で「戦争はビジネスだ」なんて言葉を聞いたことがあるけど、実にそう思う。
諸侯の持ってる私兵の数なんて国軍に適うもんじゃない、その分を傭兵なんかで補わなければいけない。んなもんだから食料や武器、飼料なんかをあわせると…とてつもない額の金が動くことになる。
いくつかの大諸侯が連携してたり、よっぽど上手く工作しない限り人間ならともかくアスガルズ王国の公正なる高官たちには適わない。
ばらさないように、なんて思って手近な農民に武器持たせたって、火器がない――――魔術なんてものが存在しているからか、科学なんてものはあってないようなもの程度でしかない――――この世界では、精々肉壁が精一杯。
………おっと、話がずれたね。
まぁ、元々いろんなグレー(時々黒)なことに手を染めて丸々と肥え太ってきたグニパヘリル男爵がここ最近連続してものすごい額の金をばら撒きだしてたんだ。
……こんなおおっぴらに反乱の準備整えるとか馬鹿の極みだろ。
なんて思ってしまったけど、僕は悪くない。だって事実だし。
「裏に何かあると思っても、間違いはない…かな」
まぁ、そのたくらみも何もかも、利用させてもらうけど。
さて、雌伏ってほど耐えてなんかいなかったけど、停滞していた時期はもう終わり。
計画を本格的に動かす、それだけの準備と時間はかけた。
「今までみたいに…引き分けで終わるなんて事はもう、しないからね?」
黒の騎士をコトリと動かす。
その行く手にあるのは白の王…逃げ道は、黒の僧侶に阻まれどこにもない。
「試合終了」
懐に収めたそれを一瞥し、僕はその場所を―――――自分の執務室を後にした。
チェスは結構好きです。お分かりかもしれませんが…
でも強くないです。むしろ激弱…コンピューター(難易度1)相手に負けたことあります。
初瀬は強そうですよね…くそぅ…




