え…?なに考えてんの?
難なく総司令官殿を下した雪杜の最後の相手……決勝戦の相手が姿を現したとき、僕は思わず言葉を失った。
「え…ちょ、はぁあああ!? なんでおまe……じゃなくて、あなたがここにいるんすか!?」
まだ叫ぶだけの気力があった雪杜の声が会場中に響き渡る。
―――――普段なら、五月蝿いだの喧しいだのと言うべきタイミングではあるけど、言わない。………って言うか、言えない。
「えー…だってー、お前ら俺がただ見てるだけでつまんないのにこんな楽しそうなコトしてるなんてズルい的な? 俺だってストレスたまってんだから発散ぐらいしたっていいじゃねーか的な?」
「そういう問題じゃねーだろ、何やってんだ魔王陛下ーーーーーっ!?」
雪杜が再度シャウトする。
――――――――いい加減、この状況がお分かりいただけただろうか?
決勝戦の相手、それは他でもない…このアスガルズ王国、人間からは魔族(そういや今まで言ってなかったけど、魔物とはぜんぜん違うものだよ。人間のほうじゃごっちゃにしてるけど…もって生まれた魔力が高い種族なのかもしれないね?)が住まっていることから「魔国」と呼ばれるこの国を統べる王であり、血族的には最高の魔族である存在。
そして僕と雪杜の後ろ盾兼友人であり、僕にとっては数少ないお気に入りの一人。
エルドラーク・ジーリス・ルーデリーク、その人だった。
…………言いたいこととか聞きたいこととかそれなりにあるけど…取り合えず、一ついいかな。
―――――――――――――何やってんのアイツ…え、もしかして(総司令官殿はそ知らぬことだし当然僕と雪杜を代表者にしてるけど)僕が『黒の盾』と『黒の縄』の隊長さん達と膝つき合わせて議論に議論を重ねた今回の護衛案、全部パー!? なにそれ、ふざけんなよ?
「―――――――――あンの、バカ王……僕の睡眠時間返せよ、ばかぁ…」
怒ってもいいよね? オッケー、オッケー…僕の脳内会議で満場一致で「怒ってよし、ついでに暴力的制裁可」っていう判決いただきましたー。
『……おい、雪杜』
「うぇおわ!? え、は、初瀬? 魔術…だな、うん。どうしたんだ?」
揺風系初級第三位である、術者の声を対象のものに届かせる魔術を展開し僕の声を雪杜にだけ届ける。
―――――――ああ、ついでに黒の盾と黒の縄の二人にもやらなきゃね。
『お前の相手のソレ………潰せ、跡形もなく』
「え……は!? ちょ、ダメだろソレ!? 流石に俺もいらっときたけど!!」
『別にいい、潰せ……今すぐ、即座に。
――――――――別に構いませんよね、お二人とも』
前半は雪杜に、後半は黒の盾と黒の縄の隊長二人に向けて言う。
そしてその応えは即座に返ってきた。
『構わねぇよ、やれ。……っていうか、殺れ。それと、雪杜…オレも加勢してぇけど仕事中だからできねぇんだよ。代わりにオレの分も一発殴っとけ』
『……まぁ、そうですね。ほどほどなら構いません。私も立場上陛下に危害を加えられないので…私の分も追加、お願いしておきますね、雪杜君』
「って、俺ぇえええええ!?」
はい。以上、上から『黒の縄』のユリシーズ・リュプス隊長(とはいえ普段は硬いのが苦手な本人たっての要望で愛称のユーリで呼ばされてるけど)と『黒の盾』ローデヴェイク・ジークムント隊長(貴族出身なのに頭が柔らかくて話がわかる驚きの人なんだよね…家の良し悪しってこんなトコでも出るのか)でしたー。
『ってことで雪杜…Aer you ready OK?』
「ノォオオオオ! ノーです! ノー!!」
『なるほど、OKね? ちゃんと潰しとかないと僕とユーリさんとローデヴェイクさん+セイザークさんのフルメンバーで説教食らわすから、最低五発ぶん殴るまで帰ってくんな』
「うそだろぉおお!?」




